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2.色ざんげ 3.あんたのバラード 4.ザ・ピルグリム 5.「愛されなさい」 6.野球小僧 ※ 猫姫(藤水名子監修「しぐれ舟」収録) |
●「てなもんやシェイクスピア」● ★ |
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2000/08/13 |
シェイクスピア戯曲6篇のパロディ。 6篇中、比較的うまく書けているパロディは「近江の商人」「リヤ不動産店」「もんた牛乳店」の3作。 近江の商人/リヤ不動産店
/もんた牛乳店/ハム列島/オセロ/赤い雨 |
●「色ざんげ」● ★★ |
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2005年03月
2005/07/25 |
1936年(昭和元年)年に起きた猟奇的な殺人事件・“阿部定事件”を題材にした作品。 殺人を犯したそのうえに相手の男性の一物を切り取るという信じ難い犯行だっただけに有名な事件ですが、殺人事件の割りに5年という短い刑期で定は釈放されています。 数人の証言で定という女性を語るという構成が、お見事。 1947年・秋
山本某/1920年・春 慶大医学生/1921年・梅雨
稲葉正武/1936年・春 板前某/1936年・初夏
大宮先生/1941年・春 稲葉正武/1946年・冬
天ぷら屋某、織田作之助/1968年・春 進一/2001年・春
阿部 定 |
●「あんたのバラード」● ★ |
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男と女の恋愛の終わり、別れを回想的に語って切なさを描き出した8篇の短篇集。その8篇ひとつずつに、かつてのヒット曲が各々添えられています。 どの作品も、比較的淡々としたストーリィですが、突然出奔した3年後に再び自分たちのアパートを訪れたナツキを描く「アイ・ラヴ・ユー、OK」、20代初めの一時期共に暮らした継子との縁を描いた「星屑のステージ」が心に残ります。 悲しい色やね/アイ・ラヴ・ユー,OK/星屑のステージ/帰れない二人/少しは私に愛を下さい/大阪で生まれた女/いいわけ/あんたのバラード |
●「ザ・ピルグリム」● ★★☆ |
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2005/06/17
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四国八十八ヵ所を巡るバスツアーに無理やり母親から放り込まれた、小学生の直人。その直人が巡礼ツアー中に海岸で見かけたものは、なんとキリンだった。 まるでドミノのように登場人物が次々と相互に関わっていく。その展開が読み手を少しも飽きさせません。パニック小説などではよくある手法ですが、本書では、人の輪がどんどん広がっていくような楽しさを覚えます。 僅か
270頁程の短い長篇の中で、幾つもの人間ドラマを展開してみせ、各人が自分を見つめ直す様をあっさりとユーモラスに描いてしまう。何とも巧妙かつ楽しい作品です。 直人の章/高橋夫妻の章/山沖夫妻の章/すべてのバスの章/すべての夫婦の章/すべてのお金の章/ストックホルム症候群の章/握り合う手の章/台風十三号の章/そっちが来ないならこっちから迎えに行くの章/フロム・ザ・ニュー・ワールド |
●「愛されなさい」● ★★ |
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2010/05/06
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信用金庫に10年勤めた江夏愛花。支店長から呼ばれると、辞めて欲しいような様子。折しもそんな時に愛花をスカウトしたのは、大口預金顧客で、銀座の高級クラブ「レジェンド」のオーナーママである小林芙美子。 桂望実「Lady,
GO」は、自己否定的な若い女性がキャバクラ嬢になって初めて自分を開花させるという物語でした。 一種の業界小説。何故か幽霊の登場するところが業界小説にしては異色ですが、銀座ホステスという稼業が長い年月にわたる女性たちの営みによって培われてきたことを物語る、象徴なのでしょう。 |
●「野球小僧」● ★★ |
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2012/08/19
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ボーイズリーグで好評価を得ていた佐久間雪彦、てっきり有力高校野球部への推薦が得られるものと思い込んでいたのですが無しのつぶて。致し方なく誰でも入れるような工業高校に進学したものの、趣味的な野球部に失望して高校まで退学。ぶらぶらしていたところをバイトで働き始めたのは、甲子園グランドの整備を行う“タイガー園芸”という会社。 野球の道を閉ざされたと思い込んでいる元野球少年、有力校野球部に入部したものの絶望した高校野球部員、野球をしている人が好きという訳有りの青年、元有望選手だったが挫折してブローカーとなった中年男性、怪我で選手の道を諦めその後グラウンド整備に一生を捧げてきた定年間近の整備人と、野球と様々な関わり方をしている人たちが登場します。 |