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2.エトロフ発緊急電 4.黒頭巾旋風録 5.制服捜査 6.暴雪圏 7.廃墟に乞う 8.地層捜査 9.回廊封鎖 10.獅子の城塞 |
犬の掟、沈黙法廷、図書館の子 |
●「ベルリン飛行指令」● ★★ |
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1998/01/18 |
第二次秘話三部作の第1作。 何よりの魅力は、零式戦闘機が遠路ベルリンまで飛行する、という着想でしょう。もともと零式戦闘機にはわくわくする要素があります。それを格好の材料に、楽しくかつ気楽に読める戦時冒険譚と言えるのではないでしょうか。 |
●「エトロフ発緊急電」● ★★ 山本周五郎賞・日本推理作家協会賞 (長篇部門) |
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第二次秘話三部作の第2作。 率直に言って、期待したほどの面白さは感じませんでした。 |
●「ストックホルムの密使」● ★★ 日本冒険小説協会大賞 |
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1998/09/12 |
“第二次大戦秘話三部作”の完結篇。 2つのストーリィは同時並行して進みますが、最後には当然もつれ合い、日本のポッダム宣言受諾に至ります。 |
●「黒頭巾旋風録」● ★ |
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2005年06月 2011年03月 2002/09/13 |
江戸時代、松前藩の支配する蝦夷地に、アイヌたちを守る“黒頭巾”という人物がいた、というところから始まる時代小説。 主人公となる禅僧、恵然が蝦夷地にやってくるところからストーリィは始まります。恵然が副住職として赴任するのは、アッケシにある官寺・国泰寺。佐江衆一「北の海明け」にて舞台となったのと、同じ寺です。 こんな黒頭巾とあれば、思い出すのはマッカレー「怪傑ゾロ」。ストーリィ的にもかなり似ています。自分ひとりが悪を懲らしめるのではなく、人々が世の中を正すために立ち上がることが、究極の目的という点でも同じ。もっとも恵然が禅僧ですから、恋人となる美女は登場せず、ワクワク感に欠けるのは致し方ないところ。また、「北の海明け」のような深刻さは薄い。 |
●「制服捜査」● ★★ |
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2009年02月
2006/05/31
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北海道警察で起きた不祥事。その原因となった癒着を恐れるあまり、道警本部は同地域勤務の長い警官を無理やり転勤させるといった形式的な措置をとります。その結果、方面本部にも所轄にも専門性をもったベテラン捜査員がまるでいなくなるという、それこそ問題と考えるべき事態が生じます。 “心理戦”という理由のひとつは、地元が求める駐在さん像と主人公の意識のズレ。そしてもうひとつ見逃せないポイントは、発生した事件の重要性を感得できない所轄署員とベテラン捜査官だった主人公との間にある歪みです。 逸脱/遺恨/割れガラス/感知器/仮装祭 |
●「暴雪圏」● ★★ |
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2011年12月
2009/03/12
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北海道の志茂別町という小さな町で駐在所勤務する、川久保篤巡査部長を主人公とした「制服捜査」の第2弾、長篇もの。 北海道東部を何年ぶりかという雪嵐が襲う。 登場人物各々の思惑など吹き飛ばし、彼らを翻弄する暴雪こそ、本ストーリィの真の主人公であると言いたいくらいです。 |
●「廃墟に乞う」● ★★ 直木賞 |
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2012年01月
2010/04/04
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ある事件がきっかけで精神性外傷を負い、自宅療養を命じられて休職中という北海道警察・捜査一課の仙道孝司警部補を主人公とした連作短編集。 直木賞受賞作ですが、ストーリィの面白さより、ストーリィ設定の妙が本作品の魅力でしょう。 各篇、捜査官ではないが故に、事件解決のヒントだけ与えて仙道は現地を去る、というのが恒例パターン。 オージー好みの村/廃墟に乞う/兄の想い/消えた娘/博労沢の殺人/復帰する朝 |
8. | |
●「地層捜査 Geological Investigation」● ★☆ |
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2014年07月
2012/03/17
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公訴時効撤廃により、15年前に起きた未解決殺人事件の捜査が再び幕を開ける。 当時の事件と捜査、つまり表層に隠れていた、奥深いところにあった問題を掘り起こす、という意味で“地層捜査”ということらしい。 |
9. | |
●「回廊封鎖」● ★☆ |
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2015年10月
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陸橋から飛び降り電車にはねられて即死、マンションの屋上から身を投げて首吊り自殺。一見どちらも自殺のように思えるが、他殺。自殺を偽装しようとした訳ではないことは明らか。 そこから始まるサスペンス長篇。 それなりにまとまりのあるストーリィでしたが、今一物足りなさも残ります。 |
10. | |
「獅子の城塞」 ★★☆ | |
2016年04月
2013/12/14
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信長の命令で安土城の築城に関わった石積み職人=戸波市郎太を主人公とした「天下城」と対になる作品。 上記物語のサイドストーリィとして語られるのが、旧浅井家の浪人である瓜生小三郎・勘四郎の兄弟の物語。堺の地で出会った次郎左に刺激を受け、日本国外で傭兵として生きて行く道を選びます。当然ながら兄弟の半生は、次郎左の半生と交錯します。 海外へ出るということが予想もされなかった時代に、遥か離れた西欧の地で、仕事という実績を残した日本人の足跡を描いた、大歴史長編。 |