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        1924年発表
         
        
         
        
        1969年12月 
        創元推理文庫 
        
           
        
        
        2005年12月 
        
        新版 
        (660円+税)       
               
              
               
        1971/08/03 
        2006/07/27      
               
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         本書を初めて読んだのは、今を去ること35年前、高校時代の夏休みのこと。 
        創元推理文庫の<冒険もの>に行き当たり、その面白さに熱中しました。オルツィ「紅はこべ」、デュマ「黒いチューリップ」等々。その中で特に熱中したのが、本書とサバチニ「スカラムーシュ」です。今振り返っても、そのおかげで楽しい夏休みだったと思う。 
        それ以前の「ゾロ」との関わりは、TVドラマの「怪傑ゾロ」ぐらい。 
        映画化も何度かされ、その度にゾロの怪傑振りは派手になっていきますけれど、私にとっては単純でクラシックな原作のゾロが魅力的です。 
        原作の面白さのポイントは2つ。ひとつは、ヒロインであるセニョリタ・ロリタの口説き落し方。 
        女性の口説き方が見事な小説というと、私にとって忘れ難いのは本書とシィエクスピア「リチャード三世」。後者は悪人による騙しですから、良い方では本書が筆頭。 
        もうひとつは(それが本作品の最大の魅力なのですが)、気が好い面倒臭がり屋のドン・ディエゴ・ベガと颯爽たる恰好良さのあるゾロとの組み合わせの妙です。「ジキル博士とハイド氏」と同じ趣向なのですが、ドン・ディエゴ・ベガが居てこそのゾロの魅力なのです。 
        ドン・ディエゴとゾロ、どちらが良いかと問われても、そこはそれ、セニョリタ・ロリタの意見同様、どちらも捨て難いのです。 
        古典的な冒険小説。「スカラムーシュ」と合わせお薦めです。 
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