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2.吉原暗黒譚−妖シリーズ外伝− 3.ジウT−警視庁特殊班捜査係【SIT】− 4.ジウU−警視庁特殊急襲部隊【SAT】− 5.ジウV−新世界秩序【NWO】− 6.ストロベリーナイト−姫川玲子シリーズNo.1− 7.ソウルケイジ−姫川玲子シリーズNo.2− 8.シンメトリー−姫川玲子シリーズNo.3− 9.武士道シックスティーン−武士道シリーズNo.1− 10.武士道セブンティーン−武士道シリーズNo.2− 11.武士道エイティーン−武士道シリーズNo.3− |
インビジブルレイン、歌舞伎町セブン、感染遊戯、レイジ、ドルチェ、あなたの本、あなたが愛した記憶、幸せの条件、ブルーマーダー |
ドンナビアンカ、増山超能力師事務所、Qrosの女、ケモノの城、歌舞伎町ダムド、インデックス、武士道ジェネレーション、硝子の太陽N、硝子の太陽R、増山超能力師大戦争 |
ノーマンズランド、あの夏二人のルカ、ボーダレス、歌舞伎町ゲノム、背中の蜘蛛、妖の掟、もう聞こえない、オムニバス、フェイクフィクション、アクトレス |
妖の絆、ジウX、マリスアングル、首木の民 |
1. | |
「妖(あやかし)の華」 ★★ ムー伝奇ノベル大賞優秀賞 |
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2010年11月
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ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞した、誉田さんのデビュー作。 2020年 5月刊行「妖の掟」の前作と知り、読むに至りました。 内容はというと・・・・こりゃ凄い。 現代における吸血鬼を主役にしたストーリィですから、まさにホラーと言うべきところなのですが、ホラーというよりダーク・サスペンス。 スピーディなストーリィ展開、グロテスクな事件、炸裂するかのような闘争シーン。まさに“姫川玲子”や“歌舞伎町セブン”シリーズの原点はここに在り、です。 警視庁目白警察署管内で男性の変死体が発見される。死体に残されていたのは、想像を絶する恐怖を味わったかのような表情、削り取られたような喉元の傷。そして付近に血痕がないにもかかわらず、死因は失血死とのこと。 一方、ヤクザの女に手を出しリンチされかかっていたヨシキの前に現れ、彼を救い出してくれた正体不明、でも美人の上にスタイル抜群の若い女=紅鈴。その紅鈴こそが 400年もの間生き続けてきた闇神(やがみ)=日本の吸血鬼族。 そして、何故かその紅鈴を探し求めている暴力団。 本作は、吸血鬼・暴力団・警察が入り乱れてぶつかり合うサスペンス。 サスペンス自体に魅力があるのは勿論ですが、それ以上に魅力的なのは紅鈴というキャラクターにあることは疑いようもありません。 強面である一方で、節度や優しさ、陽気さも合わせ持つ女性。 終盤の激突場面、その後の意表をつく結末、読み応え十分です。 なお、姫川玲子シリーズでお馴染みの、監察医・國奧定之助、玲子にしつこく付きまとう刑事・井岡博満が登場しています。 姫川シリーズと異なり、井岡は突出した捜査ぶりで、どうも美味しい役どころのようです。 |
2. | |
「吉原暗黒譚」 ★☆ |
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2013年02月
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“妖”シリーズ外伝。 江戸吉原で、狐面を付けた者たちによる花魁殺しが相次いで起きます。殺されたのは皆揃って、女衒の丑三があちこちの店に貸し出した(レンタル)花魁たち。 その狐面の集団を捕らえ事件を解決しようと挑むのが、南町奉行所の貧乏同心で吉原大門脇の面番所務めの今村圭吾。 そしてその今村とコンビを組むのが、元花魁「姫松」で現在は髪結いという彩音。 実はその彩音、「妖の絆」の終盤に登場する忍び夫婦の娘ということで、“妖”シリーズのスピンオフ、外伝という次第。 謎の狐面集団との闘いという設定なら、くノ一である彩音を主人公とした方がさぞ面白かろうと思うのですが、誉田さんへの依頼が男性を主人公にというものだったそうです。 また、ノワール小説の舞台として現代なら歌舞伎町、なら江戸時代だったら、ということで吉原を舞台に設定したそうです。 なお、今村圭吾と彩音の探索ストーリィの一方で、大店の主人である父親からこれ以上ないくらいの虐待を受け続ける幼い娘のストーリィが入り込み、少々戸惑う処もあり。 最後はそれが結びついて事件決着へと進むのですが、う〜ん、すっきりしない処が残るなァ、という感想。 キャラクターとして面白そうな彩音の活躍をもっと読みたい、という物足りなさも残り、今ひとつ惜しまれます。 |
3. | |
●「ジウT−警視庁特殊班捜査係【SIT】−」● ★★ |
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2008年12月
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警視庁特殊犯捜査係(SIT)に勤務する若い女性巡査2人、門倉美咲と伊崎基子は対照的なキャラクター。 美咲・基子が関わる前に起きた児童誘拐事件(利憲くん事件)。人質は両親のもとに戻ったものの、まんまと金は奪われ、捜査班は犯人を取り逃がしてしまう。 しかし、碑文谷署勤務となったものの美咲、SITでの上司だった麻井警部の配慮により碑文谷署に設けられた利憲くん事件の捜査班に加えられ、警視庁捜査一課殺人犯三係主任である東警部補と組んで、犯人を追うことに。 |
4. | |
●「ジウU−警視庁特殊急襲部隊【SAT】−」● ★★ |
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2009年01月
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本ストーリィの中に突然登場した、新潟の貧民窟のような場所で育った少年の話。いったい本作品のどこに通じるのやら? 碑文谷署に異動したものの門倉美咲巡査、東警部補らと組んで事件捜査を続けていたところ、再び児童誘拐事件に遭遇します。 ところがSATの一員が犯人側の一人に射殺され、基子は茫然。しかし、本事件出の活躍をネタに基子は自ら昇進を勝ち取り、上野署へ異動。 児童誘拐事件は解明されるどころか、ますます複雑化していき、何が核心なのかまるで捉え難い展開。 繰り返される事件の凶悪さは、慄然とする程です。それは“姫川玲子シリーズ”とも共通するところ。 |
5. | |
●「ジウV−新世界秩序【NWO】−」● ★★☆ |
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2009年02月
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凶悪な児童誘拐事件、その後の残虐とも言える経過と、これまででも充分ショッキングな展開でしたけれど、本巻でこんな展開が繰り広げられるとは。 一体これからどうなるのか。 犯人と心を通い合わせられたら、と願う心優しき女=美咲。 振り返ってみると、巻を追うごとにストーリィは益々スケールアップ、限界というものは鼻から考えていない、という風。 第1巻では想像もつかなかった物語が3巻を通じて展開されます。その間、緊迫感が薄れることは一時も無し。 |
●「ストロベリーナイト Strawberry Night」● ★★ |
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2008年09月
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ノンキャリアにしては異例の27歳で警部補に昇進、現在は警視庁捜査一課で殺人犯捜査係の主任警部補、という姫川玲子を主人公としたハードボイルド、第1作。 何といっても主人公、姫川玲子のキャラクターが魅力、というに尽きます。 事件は、溜池近くでブルーシートに包まれた惨殺死体が発見されたところから始まります。 最後は思いがけない結末となりましたが、それもかえって姫川玲子の魅力を高めたと言うべきでしょう。おかげで本シリーズの他の作品にも興味が湧きました。いずれ読んでみたいと思います。 |
●「ソウルケイジ Soul Cage」● ★☆ |
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2009年10月
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「ストロベリーナイト」に続く姫川玲子シリーズ、第2弾。 多摩川土手に乗り捨てられていた車から、血塗れの手首が発見される。一方、勤務先である工務店のガレージが血の海となっているという若い従業員から通報があり、被害者はその工務店主に間違いないと判断された。 むしろ私にとって本書の面白さは、姫川玲子がやたら嫌う同じ捜査係の主任である日下警部補にありました。 ※乃南アサ「風の墓碑銘」等に登場する女性刑事=音道貴子がしぶとく追求を極めるタイプであるのに対し、姫川玲子は軽々と発想を飛ばして、ヒラメキで勝負するタイプのようです。 |
●「シンメトリー SYMMETRY」● ★★ |
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2011年02月
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“姫川玲子”シリーズ、第3弾。今回は短篇集。 前2作が重厚な長篇ミステリ。そこで短篇集ですから、軽い小事件の羅列かと思って読み始めたところ、とんでもない面白さに気がつきました。 ・ヒラメキで突っ走ってしまうのは新米刑事だった頃から変わらることない、玲子のキャラクター。 警視庁捜査一課十係で4人の部下を率いる主任警部補の姫川玲子(30歳)が主人公となるのが5篇。 東京/過ぎた正義/右では殴らない/シンメトリー/左から見た場合/悪しき実/手紙 |
●「武士道シックスティーン」● ★★ |
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2010年02月
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自分でスポーツをやることは苦手。だからこそ青春スポーツ小説が好きという訳なのですが、そんな学園スポーツものの中でも本書はとりわけ楽しい一冊。 交互に語ると言ってしまえば簡単ですが、剛の香織と柔の早苗ですから、語り口からして対照的。 |
※ 映画化 → 「武士道シックスティーン」
●「武士道セブンティーン」● ★★ |
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2011年02月
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“武士道”シリーズ、第2作目。 ストーリィは、香織が孤高から脱して東松学園女子剣道部のために奮闘する一方、全国大会常連・福岡南高校の剣道部に入部した早苗は福岡南の目指す剣道に相容れないものを感じて悩む、という展開。 本作品の魅力は、女子高校生、青春と剣道とのアンマッチ、それに増す女子高生と“武士道”のアンマッチさにあります。 |
●「武士道エイティーン」● ★★ |
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2012年02月
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“武士道”シリーズ、第3作目。 香織や早苗のストーリィだけでなく、合い間に2人の周辺人物のエピソードを描く4短篇が織り込まれているのが、本巻の特徴。 何だかんだと言いつつも、香織のユニークさ、早苗のボケ、そして高校女子剣道部を舞台にした爽やかなストーリィ。 主ストーリィ+挿入4篇(バスと歩道橋と留守電メッセージ/兄、桐谷隆明/実録・百道浜決戦/シュハリ!) |
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