Last Up Date 2001.12.01          

日記を物語る 2001年11月INDEXホームに戻る              


11月29日(木曜日)

「《青表紙本『源氏物語』》原論」は脱稿。88枚。次は『狭衣物語』とまたまた『源氏物語』。がんばらなくちゃ。

角川書店・飛鳥企画から角川ビキナーズクラッシックス『源氏物語』などの古典文庫を頂戴する。『源氏物語』り解説には僕のサイトも紹介されていました。

11月30日(金曜日)  Thanks 78000 Hits!!

明治大学。「論文演習」は「構成を考える」。宿題を忘れずに。

青山学院女子短期大学。三時限目は「日本音楽史の中の『源氏物語』」。四時限目「浮舟」巻。匂宮と薫の間で揺れ動き入水に至るまでの物語を夕顔物語と絡めてまとめて見ました。5:00からはクリスマスツリー点火祭。 風が強くてキャンドルの火が何度も消えてしまいました。。僕の隣の幼稚園くらいの児に何度も火を分けてあげました。

三田の慶應大学。本日の『小右記』は長元元年(1012)六月二日条。大嘗祭の差配のこと。大江匡衡と赤染衛門の登場する六日のレポーターが当たってしまいました。

先日の「風俗博物館」からリンク完了のお知らせ。ご利用下さい。


11月01日(木曜日)

東洋琴学研究所の稗田先生から、11月10日土曜日(13:00)から始まる中国音楽(琴学)講座(於・日中友好会館)の御案内を頂戴しました。講師の小野さんは、上海音楽学院(古筝の伍芳さんもこの大学でしたね)に留学され、現在お茶の水女子大博士課程に在籍されています。とりわけ、東京国立博物館蔵で、世界に唯一残る隋代の琴譜「碣石調 幽蘭」(孔子が遊説する国々で自説を受け入れらなかった時、道に咲く蘭の花にその悲憤を紛らわしたと言う逸話がある曲)の研究者として著名な方。余明先生のところでもレッスンも受けておられ、初心者の僕は先生に小野さんの話はいつも聞かされていました。日程に都合をつけて僕も参加したいイベントです。七絃琴の来歴と実演に興味のある方はぜひどうぞ。

11月02日(金曜日)

三田の慶應大学。本日の『小右記』は長元元年(1012)六月朔日条。左大臣道長が倒れたためか、『御堂関白記』に六月の記事はありません。帰りの中華料理に食べたペキンダックおいしかったですよ。先生、いつもありがとうございます。

11月03日(土曜日)

母校の院生発表会、の午後の部の講演会に顔を出す。質疑応答が活発なのには驚きました。以前は、質問するの、僕だけなんて状態が続いていましたからね。“慎み深い”まま消えて行くなんて大学院に来た意味ないのだから。

11月04日(日曜日)

古代文学研究会の『古代文学研究第二次/第十号特別号』が届きました。《草子》の特集には学ぶものがありました。僕のは「書評・藤井貞和著『平安物語叙述論』のためにです。

11月05日(月曜日)

明治大学。すっかり学生たちも冬の装い。「国語」は『一夜』を終えて『それから』に。「論文演習」は手紙の書き方と敬語の使い方。それにしても寒い一日でしたね。

11月06日(火曜日)

今月締め切りの原稿の準備に費やし、夕方、國學院へ。久しぶりの『うつほ物語』の会。レポーターの準備がしっかりしていると質疑も活発になりますね。またどんなに忙しくともこうしたレポートに誠実に対処する人は、結局論文にも安定感があるものです。逆にレポートの調査が杜撰な人の論文はねぇ。。。。

11月07日(水曜日)  Thanks 76000 Hits!!

明治大学。こちらも『一夜』から『それから』へ。テキストを持ってこないで、『メンズ・ノンノ』を広げている学生(もちろん、男)に当然の如く「退場」を勧告する。時々、箍(たが)がはずれた学生の出現するのは季節の変わり目だからでしょうか。

先日の「書評」の著者からお葉書を頂戴しました。「こういう先生に学問を学べる学生は幸せである」と思いました。

11月08日(木曜日)

この暮れは話題の映画『千年の恋 ひかる源氏物語』関連の書籍がいくつか用意されているようですね。そのうちの一冊が僕のページを紹介してくれるとのこと。もちろんメインは大和和紀さんのインタビューなどのようです。刊行されたら、また御紹介します。

11月09日(金曜日)

明治大学。「手紙を書く」。もうちょっとドラマ性を期待しましたが、次回提出者に期待しましょう。青山学院女子短期大学。創立記念日、勤労感謝の日と以後休みのため、雨でも無理して琴を持参しました。先生方の前ではうまく指が動かなかったものの、授業ではなぜかワンテイク ? ベストの運指で◎。。。三時限目は「宇治十帖の音楽」で「東屋」巻の薫の「浮舟は琴なんか弾けないだろう」と口にしてしまった話。おなじく四時限目も「東屋」巻。どちらも話の構成はなかなかよかったんじゃないでしょうか。雨の中、寺本直彦・井上宗雄先生らの大著を十五冊以上借りてきました。明日からが勝負です。

11月10日(土曜日)

所沢の松井公民館で古典に親しむ会『源氏物語』「少女」巻。五節の舞姫となった惟光の娘に夕霧が恋をする話のあたり。会員のみなさんのいつも熱心な姿勢に頭が下がります。夜は寺本直彦先生の『源氏物語受容史論考・正続』などを丁寧に読んで深夜に至りました。

東洋琴学研究所 の伏見靖先生が、幽琴窟琴学陋室 を同研究所のページから独立されたとのこと。先生の琴史と演奏は必見・必聴です。『うつほ物語』、『源氏物語』の琴(きん)場面を思い浮かべつつ。。。

11月11日(日曜日)

終日原稿を書き、時に文献を探す。肩が凝ったらジムでランニングと水泳、なんと健康的な一日。

11月12日(月曜日)

明治大学。「国語」は『それから』。「論文演習」は手紙の書き方と敬語の使い方の続き。昼休み、傘に入れてくれた学生さんたちと意気投合、明大前駅の炭火焼御飯へ。三人で中国に短期留学すると言うことで、かなり盛り上がる。次の講義に間に合ったのでしょうか。

本年度、第23回の角川源義賞は藤井貞和さんの『源氏物語論』(岩波書店、2000年)に決定。もちろん僕も昨年の『詩の分析と物語状分析』に引き続き本書を推薦いたしました。授賞式は12月03日、東京会館です。二年前の神野藤さんの時を思い出しますね。

11月13日(火曜日)

映画公開に伴って刊行される『源氏物語』で僕のサイトを知り、訪れてくださるであろう、読者のため、紫式部・関係年表をアップしました。所収の論文集では枚数制限のため、必要部分のみ掲載してあります。しかし、カットした所も諸説検討して、古記録を煎じ詰め、苦労して考証したものでしたから、なんとか活かしておきたかったのです。これこそ、「生成する年表」なので訂正しやすく便利です。でも、これをコピーしてレポートにする学生さんがいたらおおいにお叱りいただきましょう。

夜は國學院で『うつほ物語』の会、宿直の編成方法、命令書の御判など、このテキストの情報は面白いものがたくさんありますね。

11月14日(水曜日)

明治大学。『それから』。キャンパスの紅葉も盛りを過ぎかけた感じですね。

11月15日(木曜日)

あちこち移動生活する一日。お昼に立ち寄ったレストランで、「日本文学」に目を通す。そこには見なれぬ「提言」なるコーナーがあって、中川成美氏の近代文学界に流通する「カルチュラルスタデーズ」を批判した論文に目が止まりました。そして釘付け状態に。これはすごい内容ですからぜひ御一読を。

11月16日(金曜日)

明治大学。「敬語」。本日は青山が創立記念日のため、そそくさと帰宅して勉強でした。

11月17日(土曜日)

どうしても原稿が間に合わない事が判明、日本文学協会大会初日は参加を取りやめて勉強に専念する。夕方、神田へ出向いて古本屋で一冊購入、友人と待ち合わせ。神田も土曜の夜は、元気がない感じですね。

11月18日(日曜日)

青山学院大学の日本文学協会大会に参加。総合研究所の11階は極めて眺めが良く、代々木公園・新都心、ぐるっと回って東京タワーも美しい。テーマである「外国語としての日本文学」はキャストがなにより良かったと思います。ふだんはなかなか話せないみなさんとも交流できたし。佐伯先生のお気遣い、心から感謝します。

11月19日(月曜日)  Thanks 77000 Hits!!

明治大学。「国語」は『それから』最終回。ラストシーンでは、全員が固唾を飲んで見守りつつ、熱い視線を注いでいるのがひしひしと伝わってきました。ありがとう、森田芳光監督。。。「論文演習」は手紙の書き方。ドラマチックな物語を綴った手紙がありました

11月20日(火曜日)

日本雅楽会の『源氏物語絵巻』を池袋の東京芸術劇場で。第一部「太食調音取」、「仙遊霞」、「抜頭」、第ニ部「五節舞」第三部は「萬歳楽」「陪臚」「長慶子」。五節の舞姫のおひとりは7月の日本文学協会で文字通り「五節の舞姫」を発表なさった院生の方でした。「陪艫」と言えば、昨日更新した『源氏物語』への招待のなかの「源氏物語音楽用語事典 Ver.04」の和琴の項に、飛鳥井雅有の『嵯峨の通ひ路』(文永六年 1269)を引いておきました。「(十月)五日。「若菜」の残りより「柏木」にいたる。――女あるじ(阿仏尼)のいはく、「『源氏』には、ことさら和琴をなむ褒めたれど、今の世になりては、弾く人多からねば、いまださやかなる音を聞かず」とて責めらるる。病年積もりて、清掻をだに忘れぬる由を、たびたび反さひしかど、あまり拒むも、なかなか上手のここちして、かたはらいたければ、取り寄せて、緒合せばかり掻きならすほどに、やがて(阿仏尼)琴より楽を弾き出だし侍しかば、耐へずして付けぬ。楽二、三の後、「興あり」とて「陪艫」の早弾き弾き出だす。この早弾きはなべてせぬことなれば、覚えずながら、ところどころ付く。暁になれば、帰りぬ。まだきびはなる音の、しかも打ち捨てて、行方知らずなりにしかば、さこそはありけめ」と見えていて、雅有は和琴の名手であり、また御子左家当主・藤原為家の側室・阿仏尼もまた筝のことを巧みに弾きこなしていた事が分かります。この時代には和琴も余り聞かない音色だったのでしょうか。そういえば和琴の琴柱もちょっと倒れ、「陪臚」の舞の刀が抜け落ちると言うハプニングも記憶にインプットされました。帰りは、地元の大学に御栄転の先生とおきなわ料理。また連れて行ってくださいね。

11月21日(水曜日)

明治大学。教室にふたりの見慣れぬ学生登場。「見たことない人がいるね」「今日は始めてきました」「単位は出ません。でも講義に出席する権利はある」クラスメートもはじめて見た人のようで、顔を見合わせてキョロキョロ。もうひとりは付き添いの男か。こういうのに限って、(僕の大嫌いな、だらしないタイプの)●●会系だったりするんだよね。結局、すごすごと引き上げて行きました。「国語」はこちらも『それから』最終回。性悪説であればこその法学部生が、漱石の描く人間の情念「義侠と自然の児」をどう考えるのか、彼ら・彼女らのレポートが楽しみです。

11月22日(木曜日)

先日は河添さんから『想像する平安文学−−《平安文化》のエクリチュール』(勉誠出版)を、本日は吉海直人さんから『源氏物語研究ハンドブック3』( 翰林書房 )を頂戴しました。お二方に感謝。みなさんも御高架をお願いします。

11月23日(金曜日)

宗教史の三橋先生のお宅に伺う。本とパソコン、どれもみな驚嘆するばかりの装備。研究者かくあるべしと肝に命じました。夕方は、池袋で、萩谷朴先生を囲む親睦の会。先生には来年刊行予定の雑誌に掲載するための図版を御著書から使わせていただく許可を頂戴しました。近著『語源の快楽』(新潮文庫.2000年)も文庫売上ベスト10入りしたようでなによりです。もちろんサインも頂戴しました。「明治の予科(=教養課程)に行ってるのかね」とは先生らしいお言葉ですね。

Penginの館をリンクしました。近代文学関係のリンクが充実しています。

11月24日(土曜日)

日本大学文理学部で物語研究会。石阪さんの「浮舟物語の問と答」は大長編論文の一部のようです。機関誌の合評会、さらに年間テーマの検討。そのテーマは急転直下、三年計画の「母・父・子」のうち、来年度はまず「母」とすることに決定。キリスト教文化における「母なるもの」と日本古代の「母なるもの」には当然偏差があるはずで、歴史学の成果もこと平安に限ってはバラつきがあるところ。僕も諸手をあげて大賛成。若い力になんだか大きな勇気をあたえられたような。これからのものけん、目を離せませんよ。

11月25日(日曜日)

本日、憂国忌。終日机に向かう。80枚の原稿はやや予定枚数を超過したものの目途がつきました。

11月26日(月曜日)

明治大学。「国語」は恒例、三島由紀夫。「論文演習」は『日本語練習帳』にもある、構成を箇条書きにまとめる作業。『それから』のクライマックスを見ながらプロットの要点をまとめるのです。なかなかまとめられない人、何事もマッピングできる能力を身につけましょう。2年生はゼミの選択でさまざまな情報が飛び交っていました。ゼミマニュアル本も売れ行き好調のようです。

11月27日(火曜日)

編集担当の先生に電話して枚数超過などを報告して了解を得ました。安心。でもまだ頭の中はタイトルの「《青表紙本『源氏物語』》原論」がグルグル回っている状態。夕方の國學院『うつほ物語』の会は、よく調べてあったし、よい気分転換になりました。夜空も美しかった。

11月28日(水曜日)

明治大学。「国語」はこちらも三島由紀夫に入りました。

朝届いたおかしなメールのお蔭でパソコンがしばしばダウン。どうも同様のウィルスに感染したようで、知人からも西ヨーロッパ言語の開けないメールが届き始めました。あまりにも手の込んだイタズラは困ったもの。勝手に未読メールやHTMファィル付きのメールに添付ファィルを発信しているとのこと。もし僕の開けないメールが届いたら即座に廃棄してください。


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