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火だるまGのTHANK YOU REPORT


since 96.5.03

毎月3と9の日に僕のHEART AND SOULからお届けします。1カ月単位でバックナンバーに在庫していきます。

1997年6月3〜1997年6月29日

6月3日 I AM THANK-YOU(39)
9日  がんばれ伊良部秀輝
13日  それでも真実が知りたい!?/ロックうろちょろ
19日  WANNA BE A DOG
23日  その雄を知り、その雌を守れば、天下の谷となる
29日  能ある者はのし上がるしかない

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3日(火曜日)

I AM THANK-YOU(39)

01)6月1日19時43分記述開始。具合が悪い。
02)ここで書いたことが確実に今の俺の体調不良に関係がある。火曜日のところです。
03)と、ここまで書いたところで外出、渋谷のユーロスペイスに瀬々敬久監督の新作『雷魚』を見物しに行ってくる。こんな体調でも出ていくのは狂気か? マジメか? でも映画なんてマジメに観るものではないよね。
04)帰宅23時30分。映画はともかく、かかっているのは両方とも瀬々敬久なのに、昨日の亀有名画座での客層とユーロスペイスの客層の違いはなんだろう? 昨日の亀有では映画と映画の合間に支配人と世間話をするためにだけに来ている客が3人いた。映画の間はしっかり寝ていた。客は20人くらいかしら。一方ユーロでは同じく20人くらいの客がしっかりと係員に先導され入場していく。若いカップルで女性が煙草を吸っていて、その短くなった煙草を鼻先に突き出された男が遠くの灰皿まで捨てに行く光景を見た。
05)支配人もこの男性も優しいよなぁ。
06)行間。
07) あんまり冷静に自分の体調不良を分析するもの狂気だとは思うけど、火曜日のところで述べた通り、携帯の喘息スプレーを桜井よし子女史の薬害の指摘を受けて変えたのよ。ところがその「ペコタイド」というのは喘息の予防薬で気管支拡張剤ではないのですな。
08)すなわち、俺のようにガキのころに減感差療法とかやっても根本のところでアレルゲンが見つからないで、基本的には心の病の肉体表現としての喘息と長い友だちをやっている、あるいはその気で生きている(ここいらへんが精神病だな)やつは、なんとなく息苦しくなったなと思ったら、スプレーで口臭除去剤みたいにシュッとして、それで、はーぁ気持ちいいフレッシュ!!、とまぁこうなるのだが。おそらくなんとなく息苦しいも、そしてフレッシュも幻想なのですね。
09)ただし体は、子供が母親を信じ、恋人が男を信じるがごとく、その幻想を信じているから反応するわけです。梅干し幻想で唾液が出るのと同じ。
10)しかし「ペコタイド」が、それまでの「ベロテック」(これが7人の小児喘息者をバラしたといわれています)と違うことをも、それを受容する体はこれまたパツイチで認識するのです。双子の弟に体をまかせた新妻がこれは夫と違うとすぐわかる感じ。(なんだこりゃ)
11)くり返しになりますが、ここまでの話は実はすべて妄想の可能性が高いのよ。
12)すべて妄想の世界の話にもかかわらず、やはり「ペコタイド」は「ベロティック」と同様の効果を俺にもたらさなかった。そしてその結果、この一週間俺は90%ぐらいの肺活量で生活していたので、疲れたということです。
13)しかも90%ぐらいの体力にもかかわらず、月・火・水・木は店に出ているときと寝ているとき以外は原稿書きのバイト。火・木・金と朝まで酒を飲むという愚挙に出た。(これはいつものことだけど)
14)しかし実は問題は先程述べた亀有名画座に赴いた土曜日なのです。
15)お目当ての今岡信二監督の『痴漢電車・感じるイボイボ』は5時50分開始。それで俺は4時50分に部屋を出た。新宿御苑〜亀有は国会議事堂前乗り換えの千代田線で1時間弱、楽勝。
15)スプレーを忘れたことに気がついたのは、御苑のホーム。引き返すと映画に間に合わないのだ
16)それで俺は極端にスローモーに動き、なんとか映画を観て、店に出る前に部屋に寄ってスプレーを携帯して店に出るという作戦を立てて実行した。
17)これが実に疲れたのです。月で宇宙服着てマラソンしている感じかな。
18)くり返しになるけど、とにかくこれまでの話すべて幻想の可能性が高い話です。
19)それで亀有〜御苑の間のどこかからしゃっくりが止まらなくなったのだ。
20)スプレーを入手し最悪のパニックを逃れたのもかかわらず、それは店でも続き、閉店後、部屋に戻っても続き、寝ているときも続き(しゃっくりで起きたよ)、先ほどようやく止まったのです。
21)咳同様、しゃっくりというのも人間から極端に体力を奪うものです。体の真ん中に疲労の凝縮物が固化したみたいな感じです。現状。
22)しかしそれでも人間は生きていかなくてはならない。冷蔵庫が空なのです。買い出しにいかなくては。
23)それで肉小売大手「ハナマサ」に約2カ月分の肉の買い出し。野菜と魚は近所の「丸正」、これは1週間分ぐらい。夏だから実際は5日分くらいかしらん。
24)肉は、大きなズックの鞄を持って出て、牛、鶏、豚、合い挽き、サラミ、ウインナー、そして牛と豚はブロックもと、すべて500グラムずつくらいまとめ買いします。
25)そしてそれを75グラムずつぐらいの単位でラップして、冷凍し、2カ月くらい、野菜や卵と組み合わせて消費していくわけです。買う肉はすべてグラム1円以下と決めているので金は大したことはないけど、トータル5キロくらいあるし、ついでに、一番安いバーボンも買ってしまったし、これまたついでに、むきエビと貝柱の冷凍物もストックすることにしたので、これでトータル10キロ近くになって現状の体力では重いこと重いこと。
26)「丸正」での生鮮品の他に、薬局で5個297円のティッシュも購入したので、買い物に全部で2時間かかった。これはいうまでもなくセンズリ用。(今気がついたのだが、そのような体力状況にもかかわらず、昨日亀有に赴く前に一発センズリしている、もちろん、38歳最後の一発という思いをこめてである。しかし39歳最初の一発はまだだ。こんなの初めて、実は現在はすでに日々的には、2日の月曜日なのです。おそらく物心ついてから誕生日当日にセンズリしなかったのはこれが初めてだ。よっぽど体が悪いのだな。この事実が俺の人生になにがしかの変化をもたらすのだろうか?)
27)忘れていた。丸正の前にちょっと離れたところにある「サントク」により、リーの10倍(グリコ)・ジャワカレーの辛口(ハウス)・ゴールデンカレーの辛口(ヱスビー)も購入しました。俺の知る限り、近辺でリーを扱っているのはここだけ。
28)とか書くと、たいへんな辛党だと思うだろうけど、とんでもなく、俺は2週間に1回、上記カレールーを1/4ずつミックスしてカレーを作るが(上記カレールーをトータル4回で消費するということです)、それを100%のリンゴジュースで作るのですね。そうすると辛いのだか甘いのだかよくわからない、しかも各社の経験の蓄積が程良く混ざったカレーができます。これはうまいですよ。あとミルクも使う。
29)帰宅後、ラップの作業に1時間かかる。牛・鶏・豚の小包が各8〜10個づつ、トータル70〜80個くらいできるわけです。
30)そしたら、それを今度は2〜3個づつ、1セットにしていくのですな。スーパーのレジ袋に入れて冷凍させる。そして手前の袋から消費していくと、だいたい2週間単位で、バランスよく各種の肉が俺の腹におさまるのです。
31)体調不良にもかかわらず、上記作業を暑いからと素っ裸で行っていると(自律神経失調症そのものだ)、左肩あたりがひりひり痛い。
32)鏡で見ると、ズックの鞄の紐の跡がまるでSMの女王様に鞭打たれたかのよう赤々とくっきり残っていて、素っ裸の俺と、足下に転がるこれから2カ月間俺の胃袋を満たす食料、新聞を広げて作業していたから、その転がる肉の合間から、神戸の少年猟奇殺人とか、野村証券の社長の逮捕とか、ムツゴロウを救えとか・・・・・・。
33)不思議なことに、俺のしゃっくりは、そんな光景を俯瞰で眺めているうちに止まったのです。
34)それで急いでシャツを身につけた俺は熱い風呂に入り、この原稿を書き始めたのだ。
35)今日は俺の誕生日。そうそう昨日は二人の女性がプレゼントを持ってきてくれた。ひとりは金曜日に「明日は僕の誕生日なんです」ともらしたら、連日で来てくれた人。もうひとりは去年の今頃は一緒に暮らしていた人。しかししゃっくりが止まらない体調不良の俺はぶっきらぼうで、旧同居人などはプイと店から出ていった。彼女はいつも店に来たと思ったら金を払う。いつプイと店を出てもいいようにという布石である。変わらねぇな。
36)誕生日といえばマリリン・モンローも一緒で、エルトンの「キャンドルインザウィンド」を掛けようと思っていたのに、すっかり忘れてしまったな。これも体調不良のせいです。
37)店からの帰りぐでんぐでんでへたりこんでゲロ吐いている女性を見かけた。体調がよければ介抱したのかもしれない。もちろん下心こみで。しかしキスする前に歯を磨いてもらうのは難しいだろうな。
38)こうして俺は39歳。
39)THANK-YOU。

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9日(月曜日)

がんばれ伊良部秀輝

あっという間に忘れたれたというか、7月にメジャーにあがってくるまでの一休みというか、先月末日に4年契約1280万ドルという、メジャー新人としては史上一位の契約金でニューヨーク・ヤンキース入りした伊良部秀輝のニュースがパタッとマスコミにのらなくなった。しかしこれは佐藤栄作元総理なみに、入団発表で日本マスコミに対する取材拒否を宣言した伊良部秀輝に対する陰湿な意趣返しなのだろう。
それはそれでいい。それで俺は、この期間を利用して、老婆心丸出しで、この間に伊良部とその周辺で予想されるシナリオをいくつか並べておこうと思う。根がペシミスティックな人間なのでどうしても悲観的になり勝ちなところは平にご容赦のほどを。さぁ、あたるも八卦。

1)まず気になるのは、伊良部という投手は確実に潜在能力としては日本で2番目(1番は横浜の大魔人・佐々木主浩)であるにしても、その開花までに6年かかったという事実である。それは素材としての一級品が技術や経験を積んでこつこつと階段を上っていったという類の事実ではなく、ただ単に彼の精神的なひ弱さが彼の素質の開花を阻んでいたように、俺には思えるのが気にかかる。
すなわち彼は小心な上がり症な精神の持ち主である。これは生まれついてのものだろうから、いつでもどこでも顔を出す可能性がある。
世界一辛辣なニューヨークの観客とマスコミ・そしてあの有名なスタインブレナーというオーナーを前に彼が実力を発揮できるかというのが、まず一番目の見どころになる。
彼の日本での通算成績は47勝53敗11セーブ。944回で944個の三振をとり防御率は3・57であった。弱小のマリーンズとはいえエースとして胸を張れる成績ではない。


2)第一の問題はクリアーしたとしよう。
次なる問題の立役者は彼ではない、二人の他人である。ひとりは先ほどのスタインブレナー、もうひとりは、これまた悪名高い彼の代理人団野村。
この二人に共通する特徴はスポーツマンというよりも、ビジネスマンであるということ。今回の契約難航の裏にも、ビジネスサイドにおける両者の配分争いがあったといわれている。
身から出た錆、自分で選んだ道とはいえ、伊良部が野球に専念しきれない状況下におかれることは簡単に予想できることである。
猿岩石作戦とでもいおうか、成功するかわからない商品で商売しようとすれば、とにかくフレッシュなうちにいろいろやろうと考えるのがマーケッティングの基本である。したがい彼が野球での実力を見せるために全身全霊を打ち込むべき時期に、広告関連の仕事に忙殺され、疲労を癒したりデータを勉強したりトレーニングに励んだりする時間が奪われる可能性が大なのである。俺はそれを危惧するが、これだけ大金を掴めばもうどうでもいいのかなという気もする。日本では働こうが働かまいが、これだけ先に金をくれるチームはないからね。いろいろ条件は付いているとは思うけど・・・・・・。

3)力は発揮できたとして、ヤンキース及びスタインブレナーの性格からやりかねないなと思う、気になること。
現状のヤンキースはアメリカンリーグ・東地区でカル・リプケンのいるボルチモアオリオールズに9・5ゲーム置いていかれて2位である。(6月5日現在)問題は投手力で、だからこそ、伊良部は自分自身を高く売りつけることができた。
でも本当に足りないのはおさえなのである。もう少し詳しくいうと、ストッパーにつなぐセットアップという役割を担う投手。昨年ワールドシリーズを制したヤンキースには43セーブをあげたジョン・ウェットランドと8勝5セーブ防御率2・09のマリアーノ・リベラというスーパーコンボがいた。しかしウエットランドがテキサスに移り、リベラがストッパーに昇格し、現在16セープという素晴らしい成績を上げているにせよ、セットアップがいなくなったことが、確実に現在の成績に響いている。
当然伊良部は太く長くの先発希望だとは思うけど、このセットアップという役割をふられる可能性がある。ここで契約書がどうなっているかだけど、いくらなんでも、先発以外はやらないと書かせてもらってはいまい。野茂だって力が落ちればいつかはブルペンに回るのがプロ野球というものである。
ここで、伊良部で太く長く商売しようという団野村とヤンキースとの間になんらかのもめ事が起こる可能性は高い。そしてトレード。
大リーグはフリーエージェントという選手に有利なシステムもあるが、一方で、トレードは日常茶飯というドライな世界でもある。だいたいがニューヨークは親日的な場所でもなかろうから、それこそ、もともと伊良部が拒否し続けたサンジエゴとか、野茂のいるロスアンゼルス、長谷川のアナハイムあたりとトレードがまとまる可能性もあるし、伊良部という先発投手で最高のストッパーが入手可能となれば、フランス語文化圏のモントリオールやスペイン語のフロリダ、観客最小のピッッバーグあたりに売られても文句はいえないのである。現在の日米野球の関係からいうと、ロッテの河本との交換だって冗談とはいえない。
伊良部には自分が純然たる商品になったという自覚が必要なのだ。

4)成績が上がらなくなったら、これはもう地獄だ。ニューヨーク、マスコミ文化の町、偏執的なスタインブレナー。なんだかんだいったって、日本人は優しい、よっぽどのことがなければ直接的な悪口などいわれないですむ。しかしそうではないのがヤンキースの歴史である。レジー・ジャックソン、デーブ・ウインフィールド、そしてビリー・マーチン。ニューヨークという風土、スタインブレナーという人格に苦しんだ名選手・監督は幾多である。それが出ているうちはいいが、正札通りの力を見せない商品には容赦のないのがニューヨーク・ヤンキースというチームである。四国出身のカントリーボーイには厳しすぎる風土なのだ。(野茂は大阪のシティーボーイ)伊良部には『真夜中のカウボーイ』(69/ジョン・シュレシンジャー)を見ておくことをすすめたいね。

5)おまけに日本では国辱などという言葉が行き交うようになるだろう。彼が敵に回した、自己顕示欲肥大のマスコミのひねくれ者たちがてぐすねひいて舌なめずりしている。俺はいいたい、伊良部本当に勝負だぞ、がんばれ!!

6)さてここで俺が期待すること、初めがんばってみて、あっこりゃだめだ、あまりにも面倒くさい、決して楽しい世界ではないと思ったら、契約金の半分以上をロスすることとはなろうけど、ボブ・ホーナー、ケビン・ミッチェル、マイク・グリーンウエルを見習って、さっさと敵前逃亡すること。そして、なんやかんやいわれたら、俺はアメリカ人が日本でやったことをアメリカでやっただけだ、といってやるのだ。ここで初めて、対等な日米関係が成立し、日本にも個人というやつがいるのだと彼らにわからしめる契機になるだろう、などという俺は日本人だな。
それで巨人にはいって、長島さんを喜ばしてあげなよ。金満巨人ならきっと尻をふいてくれるし、長期的に見れば、清原が歯を食いしばってすがりついている事実が示すがごとくに、それが一番儲かるよ。

がんばれ伊良部!!

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13日(金曜日)

それでも真実が知りたい!?/ロックうろちょろ

1)6月10日付朝日新聞夕刊、日本におけるユング派心理学の親分、河合隼雄さん曰く「本当のことはたいがい有害。ウソは無難」。頭ガンとかち割られた気分。僕の知っている限り、「真実が知りたい」などという言葉をモットーとしているのは、故殿山泰司(大三文役者)、故山田花子(パンクでバンジーな漫画家)と僕だけです。もっとも僕のは敬愛する泰ちゃんの受け売りだけども。

2)たしかに最近、自分の心中も含めて、真実とはいえ知らずにすめばそれでもよかったのかな? と思うようなことが多い。それで気分が重い。

3)同じく11日付朝日夕刊。アイスマンというバンドの朝倉大介の発言。最先端のキーボードでは、コンマ5秒間に1000回近くキーボードを押すという人間にはできない表現も可能で、常に最先端の技術を使っていきたいと。これはどういうことだ? たとえば物書きが、クスリや酒を使って自失の状態を作り。その間にうわごとのように語られた言葉を録音しておいて、あとで文章化するようなことか?

4)しかし3)のような言い方はフェアではないな。たとえばビートルズは『リボルバー』の「ツモローネバーノウズ」の中で、テープの逆回転とか使っているし。その技術を使うとどんなぐあいになるかさえちゃんとわかっていれば、なんでもありなんだろうな。しかし気持ち悪い話だ。

5)ここで取り上げたABCインコンサートで、シカゴ(元有名ロックバンド)の1992年のライブをやっていた。リーダーのトロンボーン奏者、ジェームス・パンコウは僕らの世代にとっては、そう、故松田優作とか藤竜也とか原田芳雄といったカテゴリーに分類される人で、渋い人なのだが、50歳は過ぎているだろうに、あいかわらず太りも痩せもしないマッチョなランニングシャツとジーンズのスタイルで、「サタディインザパーク」で頭の上で大きく手を合わせて、観客にクラッピングを求めていた。名曲は名曲とはいえ、そこで大騒ぎして観客に拍手を求めるような曲ではないだろう。なんでこうなるの? 共産党の委員長が勲一等を受けるような感触。

6)「長い夜」のギターソロ。故テリー・キャスのフレーズを一字一句違わずに、名前不詳の新ギタリストがこなしていたが、なぁんにも感じないのは、どうしてだ? しかも、テリーが生きていて、あの場で弾いていても感じないだろうという確信はどこから僕にやってくるのだ? 『ころがる石ころになりたくて』(清水弘文堂)の134ページで彰が「学校で学んだことよりも、<シカゴ>のテリー・キャスの“長い夜”のギター・ソロから学んだことのほうが、いまとなってはおもい」と書いている。 もう僕に学ぶことはないということなのか?

7)上記シカゴのパートが30分で、残りがなんとニルバナ。故カート・コベインが「リチュウム」を唄っていた。歌詞が気になったのでここで歌詞を入手。

今日はとても嬉しい。友だちができた。いつも彼らのことを思っている。僕は醜い。でも平気。だって君も醜い。鏡なんて見なければいい。日曜日は好き。薄暗闇の中の蝋燭も怖くない。だって神さまと一緒。いぇーい。いえーい。

8)カートがジェームスより格好いいと感じるのは、死んだから、か、それとも若いからか。

9)ここで書いた、ルー・リードの「リサ曰く」予想通り、Iが正確な歌詞カードをもってきてくれた。自戒をこめて正誤表。

(正)IT'D BE SO NICE IF YOU GAVE ME A GREAT BIG KISS.
(誤)IT'D BE SO NICE IF YOU GAVE ME A GLAMY KISS.

(正)I'LL SING AND PLAY FOR YOU FOR THE LONGEST WHILE
(誤)I'LL SING A PRAY FOR YOU FOR THE LONGEST WHILE

この正誤表でわかったこと。
*1*僕は典型的な日本人で意味がとれないときにはLとRの区別が付かない。
*2*BIGという言葉の後に連続して次の言葉が続くと聴きとれない。ここで思い出すのは10CCの名曲「アイムノットインラブ」の間奏の語りの部分である。
5年ほど前に、ネイティブに、BE QUIET ,BIG BOYS DON'T CRYであると教えられるまで、BE QUIET ,BE VOICED UNCRY、だと信じていた。それにしても複雑な間違え方だよね。

10)VJ中村真理によると、ジェフ・バックリーはやはり水死対で発見されたそうである。死因に不審なところはないよし。親父ティム・バックリーはクスリのオーバードーズだった。早死にも遺伝するのでしょうか?

11)同じく中村真理によると、同じく最近51歳で死亡したロニー・レーン(スモールフェイセズ、フェイセズ、スリムチャンスの哀愁のシンガー)は、最終的には病院代にも事欠く有り様で、旧友ロッド・スティワートがそれを負担していたそうである。これは美談と取るべきなのだろう。

12)ビージーズが「アローン」という曲でカムバックした。シカゴより、ニルバナより格好いい。ずーっと格好いいままでいることはたいへんなことであろう。若いころより格好いいなんてなんて格好いいんだろう。しかしこれはルックスのことだけで、音はサタディナイトフィーバーの芸風そのまま。これもマァ格好いいけどね。

13)ここまで述べてきたような真実なら、びくともしない、しかしかなりきつい真実も人生にはあります。

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19日(木曜日)

WANNA BE A DOG

2週に一度の浅草の病院通い。WHAT A KIND OF FOLL I AM! AND AM I?  土曜日からの3日連続の朝までの深酒と、その昼間のハードな執筆バイトのつけは、いくらせっせと夕食を抜き飲尿に励もうとも、確実に俺の血糖値にまわってくるのだろうなぁなどとぼんやり思いながら、精算待ち、手持ちぶさたの俺は、彼と彼女のコミュニケーションを見物していた。
俺の愛する病院はエレベーターなど旧式の設備には眼を覆うばかりだが、なんせ浅草寺直営、小さいガタイの割にはしっかりした作りで、設計フランク・ライトと吹いても信用する人は信用するだとうという建物である。その病院のいぜんは喫煙コーナーだった、大階段をのぼりきった左右の踊り場の片方が、現在は、車椅子の方たちの溜まり場になっている。あぁこの言い方は正しくないなぁ、この病院のような地域密着の老人医療集中型の病院では、自力で溜まれる車椅子の人はまず存在しないわけで、正確にいえば、そこは車椅子を押している、看護婦さんや付添婦さんそれに、世間的にはいくつになっても嫁と呼ばれる人たちの溜まり場なのである。
そろそろ受け付けも終了しようかと、OL感覚の事務の女性たちがそわそわし始める暮れ方時に、太めの中年看護婦さん(それでも俺よりはきっと年下だな)と、上下ジャージの若嫁さんが、テレビの話題や病院内のうわさ話に舌鼓を打っているが、もちろん俺が眺めているのは、そのコミュニケーションではない。

最初に彼と彼女といった通り、俺が見ているのは、彼らに曵かれてそこに漂着した、二人の体の不自由な老人たちの有り様である。
看護婦側は、女性、若嫁側は、男性。だと思うけど、もはやそんなこと関係ないのではなかろうかと思われる、二人の人間。だれも彼女の顔なんて見ていないのだけど、おばあさんは、一生懸命、二人の話に振り幅の狭い相づちを打ち、くしゃくしゃの顔、もぐもぐと言葉にならない言葉で、井戸端会議に参加するファイトは満々。女の人は幾つになってもたくましいものであり、俺は、ちらと横須賀の母のことを思ったりする。
おじいさんは孤独。背中の後ろのカワイイ若嫁は振り向く力のない現状では眺めることもできないし、目の前は中年看護婦と自分同様のオババ。もはや気を失っているのか、大玄関の向こう、遠目に言問通りを行き交う車の方向をながめているようないないような、虚ろな瞳には生命力もさらさら感じられない。ここで自然死を迎えてもだれも気がつかないのではないか? 大衆の中の孤独決定版ですな。

これなら、飼い犬のほうがましだ、と俺は思う。老犬でも、犬なら、手綱を抱えた飼い主が井戸端会議にうつつを抜かそうとも、そこいらへんの匂いを嗅いだり、ションベンをまき散らしたり、少しは気が紛れるなにかを見つけることもできよう。

I WANNA BE A DOG


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23日(月曜日)

その雄を知り、その雌を守れば、天下の谷となる

昨日24日(日)は久しぶりに完全オフとして、寡黙な絵描きと夕方から街に出た。本日のタイトル「その雄を知り、その雌を守れば、天下の谷となる」は、その途中で寡黙な絵描きの口から出た言葉で、老子の言葉だそうだ。俺のアジトにはさすがに老子の資料はないので、漢和辞典をひっくり返してみたが、そのままの言葉は載っていなかった。
「谷神=奥深くて空虚なところに潜む、不思議な力/老子は万物をうみ出す働きにたとえた」(『学研漢和辞典』/藤堂明保)。ここいらへんがかすったところだろうか? 藤堂先生は俺の大学時代の担任だった。とっくに亡くなられたがHな本をたくさん残した大人であった。角川文庫に『女へんの漢字』という名著がある。古本屋ではたまに見かける。合掌。

1)この間、料理人=工と店で大貫妙子の『グレースカイズ』というデビューアルバムのジャケットを眺めながら、やっぱり女の人のブラウスは左前なのだね、といったら、料理人曰く、それは男の人がはずしてあげられやすくするためにそうなっているのだ。俺は女の人に脱がしてもらうのが好きだから、不利だな、あっそうか、ギッチョの女の人とお付き合いすればいいのか、と俺が続けると、料理人、後ろのほうから抱きつきながら脱がしてあげるのが好きな男もいるしね。

2)この間、某男のお客が、僕はもしかしたら男の人のほうが好きなのかもしれない、でも、自分でもよくわからない、というので、俺が独断と偏見で開発した、おのれのゲイ・ヘテロ確認テストを教えてやった。それは同性・異性どちらの前でパンツを脱いだほうが落ち着いていられるかというテストである。もちろんその場合、生殖器は興奮状態であることが条件で、銭湯や温泉でのひなびた感覚には意味がない。

3)エリック・クラプトンのライブアルバム『E.C.WAS HERE』のジャケットは裸の女の人の臀部の後ろ姿で、腰から尾てい骨のあたりに、E.C.WAS HERE、と書いてあるが、その意味をどう取るかで、世の男性はふたつに分類されるという不思議なジャケットである。すなわち、その部分に滞在していたものを男性の肉体の一部だと捉えるやつと、胎児のイメージで捉えるやつ。おそらくそれぞれに、なんらかの精神的な理由があるのだろうが、俺は前者です。


私のページ更新しました。今回は、ロック、映画、ロック画、の三役そろい踏みだけど、一部はズル。でも読んでください。

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29日(日曜日)

能ある者はのし上がるしかない

(1997年6月26日/横浜vs巨人14回戦から)

8回の裏、巨人・元木大介の隠し球(内野手がボールを隠し持ち、その間、投手は靴の紐を直すフリをしたり、なんとなく落ち着かない様子でピッチャーマウンドのあたり、このあたりというところがポイントで、ボールを持っていない投手がボールを持っているフリをしてマウンドに立ったらボークになります、そのあたりを動物園のゴリラみたいにうろうろして時間を稼ぐ。そうすると、一生懸命走ってきた、この一生懸命走ってきたというのも、もうひとつのポイントで、2塁打とか、内野安打とか、3塁をうかがったがあきらめて頭からあわてて2塁に戻ったとか、この場合の鈴木は最後のケース、ぎりぎりの走塁でその塁を獲得した走者がだいたい餌食になる、そのボールの行方から目を離した打者走者がなんとなく、ふらふら〜とベースを離れた時に、実はボールを持っていた内野手がタッチしてアウトにするという高等な野球戦術。これは打者走者もアホだけど、実は、一番悪いのは1塁、3塁のベースコーチ。彼らが球から目を離さなければ、こういうことはおきない。猛省せよ、岩井、青山、だいたい、俺は君たちが現役の時から一度として、これはというプレーを見せてもらったことはないよ、どうして君たちが管理職に登用されたのだ?)が、我が愛する、ベイスターズ・鈴木尚典に炸裂した時、さすが、現代野球界唯一の悪太郎・元木大介と感嘆しつつも、26歳、まだ若いワイとも思った。

俺? 39。

人間、自分から人を殴る奴(こういう奴を悪人といいます、元木が入る分類)、殴られたら殴る奴(ここに本当に強い奴がいる)、そして殴られても殴らない奴(他の人が殴られていたら殴っている奴を殴る奴も含む)にわけられるとして、好漢・鈴木尚典は典型的な2番目なのね。しかも超弩級。元木にはめられ、大観衆の前で辱めを受けた鈴木は、2塁上でしばらくうつむいたままピクッともしなかった。解説の元B級悪太郎・高木豊(元ホエールズ)が、「あれっ? タイムかかっていたのかな? これ隠し球でアウトなんだけど」って、不思議な沈黙の時間にたえきれず、本当の、おのれをさらけ出してしまった瞬間でもあった。(豊が悪党に徹し切れたら、一度くらいホエールズは優勝できている)元ホエールズ及びスワローズ監督の好々爺、関根潤三が、まったく隠し球に気がつかなかったことに比較すれば、0対0同点、8回裏ノーアウト1・2塁という、本日のクライマックスに、これは隠し球のチャンスだなどと、悪事を想起していた豊には、天性の才能があるにしてもね・・・・・・。


さて、隠し球を炸裂させた、本格的悪太郎、元木大介は、あろうことにか、ざまぁみやがれとへらへら笑っていた。そうそうそうでなくてはいけないともいえるパフォーマンスではあるが、結局、マジで鈴木の怒りを買ってしまったから、最終的に9回の裏の鈴木のサヨナラヒットが出たともいえるわけであります。もしかしたら、なにかいっているかもしれないね、ついでに、バスケットでいうところの、トラッシュトークという奴をさ、ばぁ〜か、とか。元木は、きっと、鈴木にまで打順が回った時に観念したはずです。この打順の鈴木の集中の度合いは、テレビで見ていているこっちが凍り付きそうになるものだった。

だから、元木はいくら味方のピンチを救い、相手にダメージを喰らわす、一石二鳥の絶好のチャンスとはいえ、はめる相手の性格を見極めなくてはいけなかったのですね。少なくともへらへら笑う部分はよけいだった。

さてもうひとつの問題、これが実は本日のタイトルにつながるのですが、見ていて俺が泣きたくなったのは、その元木の最高の芸術に、他の巨人の選手がシンクロしなかったということです。今の巨人は、松井、清水に代表される若手か、それなければ、外国人や、元スワローズ、ライオンズ、バッファローズの4番バッターといった、心も頭も体も重くて固い人たち、あと後藤みたいに、徹底的に入ってしまう危ない人(現バッファローズの山本和宣に代表されるタイプの人たち)のパッチワークで、だれにも、それを理解する頭脳がないのでした。長島さんだけが、喜んでおりましたが・・・・・・。これも、やーい、やーい、って感じだったけどね。

そして、その元木の悪事の片棒を担いだ、投手が、現在巨人の代表取締役社長、すなわち自他ともに認める一番えらい人、斎藤雅樹であったことも、元木の不運といえば不運でした。鈴木、ローズに連打され、絶体絶命のピンチを自ら招いた斎藤は、元木に助けてもらったのもかかわらず、嬉しそうではなかった。逆に元木ごときに助けてもらわねばならないような状況を生み出してしまったおのれを恥じ入るような表情をしていました。まじめな斎藤は、それ以後、むきになって打たれちまった。相手が桑田だったらよかったのにね。

元木君。辛いとは思うけど、タメ年の仁志は、すんげぇプレーを決めたなって、くり返しくり返し、喜んでいたし、そういう人たちとのお付き合いを深めて、自分の居場所を確保し、そしてレギュラーになり、末は大巨人のキャプテンといわれるような道を君は歩まねばならない。能ある者には、のし上がる義務があると、俺は思います。
天才の君が軽い気持ちで、かき回した、人間の感情が、結果的に、いかに濃厚なドラマをうみだしたことか。俺は、しっかり、楽しましてもらいましたよ。
おまけに横浜勝ったしね。君の、あのプレーがなければ、負けていたかもしれない試合をさ。


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