The Conti入院g Story of Bungalow Bill 第10章

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【過去の下つゆINDEX

 2018.9/26(水)  269 

1日目【今にも痛みだしそうなハラの下で】

呼吸器内科の通院で高い娘はうっふんな注射を打つ。と,院内に居るおれのケータイに病院から着信があった。なんぞこれ。返信せず看護婦さんに訊くと,呼吸器外科のDr.が急遽診察したいという話で,おれがもう帰ったと思ったDr.が直接電話くださったらしいん。ふええ。

要するに前日の血液検査の数字が芳しくないからきょうこのまま入院しろということであった。ただちに抗生剤を点滴して炎症(恐らく胆管炎)を抑えないと10月1日の手術に支障が出かねないという厭な見通しなのである。元もとあさって28日からそのための入院の予定であったのが2日早まるのはいいとして,さすがにその足で病棟に入るわけには行かない。いったんウチに帰らないと……と猶予を貰う。夕方には戻れますよと言ってみたら難色を示されて驚き,昼過ぎに出直してくる線で妥協する。

10時過ぎに病院を出て,まずは区役所に回ってきのう果たせなかった書類を出す。思いのほか混雑して16人待ちであり,いつもは分速待ちの秒速手続きなのが小一時間かかった。時間重視で電車を選び,概ね正午にウチに着いた。「昼過ぎ」なら14時着院目標でよかろと勝手に決め,心の中で決める。

冷蔵庫を開けて鮭パスタ弁当を食い,1Lパックのぶどう水を取り出して電源OFF。流しの洗い物を済ませ,ごみ袋を綴じる(出すのは退院後だ)。トイレの便座と脱臭器の電源OFF。洗濯と入浴の時間はない。

入院の準備は半ばできているからあんまり忙しくならなかった。ぶどう水を何とか飲みほして13時過ぎにウチを出る。タクシーをケチって電車。

14時に呼吸器内科へ戻って顔を出すと,入院手続きを跳ばして病棟に上がれと言う。六人部屋に入り,今回は窓際のベッドを貰えた。着替えて身長体重測定(数値不明)。36.7℃・112mmHg。ナースセンタに入らしたDr.にきょう造影剤CTを撮るよと言われ,あぁ夕方来たんじゃ遅いてのはそれかと腑に落ちた。

待機中に入院手続きをしに入院着姿で一階の受付へ降り,諸もろの書類を渡す。財布を病室に置いてきたので入院保証書が未完となり――現ナマ十万円かクレジットカードの提示が要るのよ――また出直しが発生した。きょうでなくてもいいそうだけど。

16時前に呼ばれて造影剤CTを撮りに車椅子で移動(看護師に押してもらう)。入院手続きには歩いて行かせたのにと思うが,帰りは造影剤で気分が悪くなる人があるからその用心だろう。通常午後検査で昼飯は禁忌だが,三時間経過していればOKだそうだ。

16時半・18時P(小水)。当面は絶食モードだそうである。それはいいけど,毎度おなじみの点滴ルートがまだだなあ。造影剤のとき挿れたのを残してくれればよかったのに。

空調が寒くてふとんにもぐる。ハラへったなあと久しぶりに感じた。

19時Dr.来て左腕に点滴ルートの設置。19時半抗生剤と水分補給の点滴開始。歯磨きとP。

窓の手前は飾り棚のように張り出していて洗面台が1基あり,ベッドの前にエアコンの吹き出し口が真上を向いて開いている。はめこみ式のルーバーが皆こちらを指していたので,窓側へ流れるように入れ替えてやった。

早く寝てしまい,21時半P。22時半・25時半P。頭痛がする。

久びさに大学再入学シリーズの夢を見た。が,卒業しないまま放置しており学費だけは引き落とされているのを発見して後悔するという情けないもの。以前卒業を諦めた夢も見ていて自業自得であるが,何とか路線変更できないものだろうか。しかし講義に出席した夢がほとんどないからなあ。

 2018.9/27(木)  270 

2日目【空腹の儀式】

6時半P。寝覚めの気分はよろしくない。おなかは痛くない。

7時半に週イチのクスリ。今回は入院中の服薬はおれの自主管理でなく,看護師さんが都度持ってきてくれるらしい。んでこれは起き抜けの空腹時に飲むやつだからちょっと遅いのだが,おれも忘れていたし朝飯抜きなので結果的に問題ない。8時過ぎまで待ってレギュラのクスリ。

9時清拭。9時半P。寒くてふとんをかぶって寝ているとすんなり眠くなってうとうと。点滴を換えに来た看護師さんが,エアコン送風口の脇のハッチを開けて温度を上げてくれた。あ,変えられるんですか。あとで覗いたら風量「中」の26℃になっていた。

入院用に買った『ゴルゴ13(190)』終了。『露伴は戯れない』『無常の月』『ハヤカワ文庫2000』を併読し,『ブラックライト』再読中。

11時半Q。13時半P。ハラへったなあ。

14時半36.9℃・93mmHg・96%。15時にきのう持ち込み忘れていたレルベアが院内処方されてきた。ひと吸いして看護師さんが回収する。

15時半・17時半P。18時半クスリ。20時半P。割とずっと眠りっぱなしである。

23時P。Q(大便)空振り。

 2018.9/28(金)  271 

3日目【リハビリの街角】

6時P。あー,ウチの目覚まし時計を止めてこなかったな。

8時クスリ,ブイフェンドなし。9時に清拭と着替えとカーテン交換が同着。どれも終わらぬうちに看護師が採血に来られ,それが鼠蹊部から採ると言う! 前代未聞だにゃ。横になってパンツを下ろす。さすがに侵襲強く,穿刺から吸血の間ずっと痛い。痛いだろうなあと思っていたところへ痛いので,長く感じる。わざわざ現場近くの血を採るのはそれなりにそれなりなのだろうなあ。

9時半に検尿とQ。10時に麻酔医が入らして説明を受ける。今回は硬膜外麻酔がありそう。

10時半Dr.来。ナースセンタに移動してPC画面を見ながらの手術の説明。同意書に3通署名する。アスペルギルスに冒されている右上葉を切除してアレルギー反応を低減するのが目的である。現状のアレルギーを抑える・抗真菌剤でアスペルを殺すという二本立ては背反する方策でこのまま続けてもアスペルに押し負けるので,アレルギーを抑えなくていい状態にしようというわけだ。右の脇腹を20cm切り裂いて肋骨の隙間からメスを入れるそうである。取ったあとの空隙は広背筋の一部を折り返して埋める。臓器の癒着や出血の程度によっては術式中止の可能性がある。輸血は必至。今後の生活で酸素ボンベが必要になるようなことにはならない見込み(まだ余裕がある)とのことだ。そこは期待したい。

6時間から8時間という大手術である。おれとしては眠ってるうちに死ぬならそれでも構わない。ケーススタディになればイイ。無論そんなことお医者に言いはしないが。

11時半点滴交換で,この隙に着替えをする(点滴が繋がった状態では袖をとおせないのだ)。36.7℃。クスリ。12時半P。

13時リハビリ室へ術前術後のそれの話を聞きに行く。専門の部屋があるのね。問診のあと,体力測定とかで部屋の中を6分間周回させられた。なるべく早歩きとのことで,あいにくおれが目測できなくて距離は不明だが2周/分くらいかなあ,学校の教室くらいの広さはあったと思う。指にポータブルな血中酸素量計測器をはめ,点滴スタンドを引きずっての勤行である。驚いたことにそれでおれが成人の7割ていどの運動能力とわかるらしかった(もっともそれはこれまでの検査で知らせれていた)。それから椅子に坐って首・肩・腰のストレッチのやり方を教わる。どれもどうと言うことはない,曲げたり傾けたりの単純運動である。息を吐きながら曲げるというのがポイント。暇なとき毎日10セットやれとのことだ。そりゃ暇だわい。

14時には麻酔科へ説明を受けに行く。胆嚢除去の際きいたのとほぼ同じで,硬膜外麻酔が追加される。同意書に署名。帰りにP。

14時半クスリ(レギュラの下剤)。15時半,予定より早く落ちきったので点滴のコントローラ(ぽたぽた落ちるのが見える所)を高精度なものに交換するそうだ。リハビリのせいじゃないのん?

15時半P。今回ポケットラジオも持ち込んでてAM・FM・1セグが聞けるのだが,ふだんの番組表を把握してないので聞きたいものがわからない。漫然と聞いてもつまらんしなあ。で,さっきTBSに合わせたら「たまむすび」のおしまいで,もしかして「一之輔のマクラ」を聞き逃した瞬間かとがっくりした。聴きたい「タモリ倶楽部」なんかはウチで録画が回るハズだし……。

そうそう,直近で録りたい「ジョジョ五部」はスタートがもう少し先で録画機の番組表からは選択できなかったため,その時間帯の現行番組を「毎週予約」しておいたのだ。うまく録れるといいがなあ。

16時P。17時半レントゲン撮りで2Fへ。入院時のルーチンのひとつらしい(結核の有無チェックとか)。ついでに宿題になってる入院誓約書とクレジットカード提示のイヴェントをこなすチャンスではあったが,受付時間的に危ういんで先延ばしにした。いよいよとなれば事務方から殴りこんでくるだろう。

ハラへったが術後まで絶食なのは確定的。飲料は自由なんでアイスクリームくらいならいんじゃねと思うけれども,まぁここは自重の一手。万一の医療事故に及んだ際おれに瑕疵があってはならない。

19時半クスリ。20時半P。看護婦さん来て両の足首と脹ら脛の外周を測る。静脈血栓予防に穿く弾性ストッキングのサイズ決めである。前回と同じくSであった。その場で術着と一所に支給された。

22時と26時P。タモリ倶楽部は寝坊して未聴に終わる。

 2018.9/29(土)  272 

4日目【Exodus】

7時Qちょっぴり。これが最後かな。7時半クスリ。電動髭剃り。

10時Qちょっぴり。いわゆる宿便(腸壁にこびりついて落ちない腐敗性のオブジェクト)の存在は否定されたと思っているが,3日前に食ったパスタでもないだろうし,腸液と腸内細菌の亡骸なのかねこれは。

12時P。あした日曜日は風呂がないはずなので,きょうのうちにシャワーを浴びといたほうがいいだろうなと16時の枠を押さえておき,看護婦さんにその旨お窺い。点滴をいったん外してルートに防水ラップを巻いてもらわないといけないからな。

13時クスリ。36.8℃・105-65mmHg・96%。14時P。

15時半に防水してもらい,16時からシャワー。またがっくりと肉が落ちて怖いくらい細くなっている。きのうの採血で鼠蹊部に貼られていたガーゼをちょっとびびりつつ剥がす(すっかり忘れてた)。ついでに歯磨き。20分で出てパンツを穿きかえ,16時半過ぎにナースコールして点滴を再開してもらった。

18時半クスリ。ハラへったなあ。吉野家の牛丼たべたい。19時P。絶食中で飲料自由の場合アイスクリームは舐めてもいんすかねと看護師さんに(ダメ元で)訊いてみると,ははは,だめであった。ヨーグルトなんかも固形物に見なされる。

マンガ版けものフレンズの第1巻が期間限定無料配信だそうで,ありがたくKindleで読んだ。リカオンかわいい。通常販売でも第2巻と共に半額になっているが,んーまあいいや。

窓際に小さな空気清浄機だか加湿器だかが置いてあってチカチカチリチリ鳴っているので何かと思ったら,何と電池式の蚊取り器であった。へえ,こんなのあるのか。ウチで使ってみたいな。

20時半クスリ。21時半Qちょっぴり。

23時半Pのときに放屁のつもりがQがちょろっと顔を出してしまう。うひー,面目ない。ノーパンでそろそろと部屋に戻り,くい止めてくれたパンツを廃棄して穿きかえる。ああ,今後は屁をこくにも深慮が必要なのか。参ったなあ。

 2018.9/30(日)  273 | 56.4kg

5日目【腸の卵】

6時の採血はふつうに腕から。Qちょっぴり。うーん,切りがないなあ。

起きていたのに「志の輔ラジオ」を聴きのがす。twitterで調べると志ん生の『犬の災難』だったらしいから,まぁ惜しくない。

8時クスリで,抗血液凝固剤中止。おっと,手元で管理してたらたぶん飲んでたな。8時半清拭。悪いけど汚物がついてないかおしりをよく拭く。使い捨ての紙ナプキンじゃないから,肛門を直接こするような不作法はしないんだぜ。

9時半爪切り。爪切りはここの売店で買った梃子式のものだが,刃物扱いで入院時にナースセンタ預かりになっていた。今までは単に申告しなかったからスルーだったのか病棟によって統治が違うのかは不明。今後は黙っておこう。

10時Dr.来。血液検査の結果は悪くなってなかったという微妙な言い回しであすの手術はGO。おなかの調子を訊かれたので,絶食してるのにQが止まらない旨いちおう申しあげておく。腸壁の新陳代謝があるから食べなくてもどんどん出るそうである。言わば腸自身がQするのだな。

10時半クスリ。シャワー室は日曜日はお休みである。だからしてきのう入っておいたのだが,術前の患者は希望すれば別の小部屋で洗えるそうだ。それじゃあというので15時を予約してもらった。

11時点滴交換。36.8℃・110mmHg・99%。

12時半クスリ。看護師さんと相談して酸化マグネシウム(下剤)は中止にした。昼は整腸剤のみ。

「浅草お茶の間寄席」が聴けたが特におもしろくもなく空振り。

13時にICUの看護師さんが入らして術後の説明を戴く。ICUは7床+3隔離室で,7床はほぼオープンだそうだ。手術が終わったらここに入るのだが,24時間いないハズ。翌日火曜日の午前中に今の病棟に戻る予定である。2001年のときは4日ぐらいICUに居てべらぼうに腰が痛かったのを憶えている。

14時看護婦さんにICUへ持ちこむ荷物をチェックしてもらう。歯ブラシ歯磨きと箱ティシュー・コップとストロー,それと何故か電気シェイヴァ。ICUで髭剃る? これら以外は一切合切(着てきた服を含め)パッケージして,術前にコインロッカーに収めることになっている。ナースセンタで預かっても管理しきれないということだ。それでコインロッカー代数百円ぶんの硬貨が必要になった。アイス買っていいすかと訊いてみたら,乳成分の消化があるからだめだそうだ。あー,そういうことね。だから水分のみと言っても牛乳や甘い缶コーヒー(乳飲料)もアウトなのだ。ただ,ポカリ系機能飲料の糖分はOKらしい。

15時シャワー。いつものシャワー室は日曜閉鎖で,介護用の浴室へ行く。介護士と一所に入る部屋なのでずっと広く,メカニックな浴槽1基とシャワーカランが2基あった。20分ほどで出る。

ひと休みしてコインロッカーを見に1Fへ降りる(点滴スタンドを引いて)。聞いていた所にはなくて捜しまわり,正面出入り口から入ってすぐの,ほとんど外界にあるのだった。そりゃそうか。小中大で100円・200円・300円/12hr。解錠時に100円づつ足して時間ぶん払う。使用中の箱はなかった。何とか小に押しこみたいものだ。

24時間で受け出せるとは限らないから百円玉をもう少し確保しておこう。万札を崩すために売店でウィルキンソン炭酸(\108)を買う。と,もういちどガイダンスを読むに,炭酸水も禁止であった。あちゃ。ナニ,きょう中に飲みきればいいのさ……。

ここでポメラが電源ダウン,電池交換する。ラジオにも電圧警告が出ていたのでeneloopに換えてこの古電池を挿れたら復活した。

18時Qちょっぴり。打ち止めにしたいが。直腸で待機してくれるのはいいが,ガスと一所にこれ幸いとエクソダスされると困る。四十を過ぎると透かすことができなくなるでな。18時半クスリ,整腸剤のみ。

19時兄者からTEL。ケータイエリアへ移動して折り返し現況報告。台風24号は通過したあとらしい。無事で何より。

20時半Q。22時半・24時P。土風激しい。

29時半P。Q空振り。もう晴れている。


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