The Conti入院g Story of Bungalow Bill 第9章

using JavaScript
【過去の下つゆINDEX

 2018.6/28(木)  179 

1日目 【肺炎ドロー】

おとといから38℃39℃の熱が続いて咳痰頭痛喘鳴おびただし。どう見ても肺炎である。夜が明けたらしかたない,呼吸器内科に予約外診療をしてもらおうと決意した(大熱が出たら町医者に行かずに救急外来に来いと言われていたのだ)。

起き出してシャワーを浴びて洗髪してぐったりし,ちょっと熱下がってるし行ったところで何も加療してくれない可能性は高いし,もう1日我慢してみるかなあと弱気になる。行くのは大儀だでな。しかし夕べの決意はこの日和見を見越してのことだ。9時過ぎにウチを出て最寄り駅へ歩き,タクシー乗り場へ回ると1台だけ待っていた。クルマの正面側からスローモーに詰めよって運転手を覗きこむ刹那,反対側から往年の古手川裕子似のご婦人がキャリーバッグを引いて現われ,ほんの1mの差でおれのタクシーを浚っていったのであった。嘘だろん。皇帝(エンペラー)を出す間もなかった。そしてその後20分はタクシーが来なかったのである。ベンチの端(列の先頭)に坐り,やっぱり引き返そうと思うたびに風が爽やかに吹き抜けて慰撫するので待ちつづけ――おれの後ろについた人は諦めて離れてしまった――朝イチの受付を得る計画が出だしから転けていた。

呼吸器内科の受付に辿りついて窮状を訴え待つこと1時間,主治医まで話が通って血液検査レントゲンのオーダが出,外来の隠しベッドに横にならせてもらって1時間,すると肺炎と言うより胆管炎ではないかという数値が出た。え,おなかは痛くないよ。

舞台は消化器内科に移って2度目の血液検査とCT撮りの結果を見ると何と,三月に入れたステントがなくなっていて胆石が詰まっているようなのである。え,おなかは痛くないよ。

即日入院である。うへえ。本日中に例の内視鏡術でステントを胆管に常駐させ,溜まった胆汁を排出させる。しかしステントの先は十二指腸でなく,食道を通って鼻から外出しなのである。これなら消失しない。いやその。

消えたステントはどこへ行ったの? たぶん既に排泄されている。マジすか。おれ自分のはよく見るけど,気づかなかったなあ。肛門通過時に感じないものかなあ。

18時から前段の術式。左腕に点滴ルートを設え,眠くなるクスリを入れますと言われ,眠くならないなあまた意識がある中で痛いオペは厭だなあと思う間もなくめでたくブラックアウトした。

ぼくの胆汁

気がつけば救急病棟で右の鼻の穴から外径2mmほどの黒いチューブ(ステント)が1.5mばかし伸びて外径9mmの半透明チューブに接続され,1m先の「胆汁・ドレナージバッグ350ml」へ続いている。既にしてああ胆汁だなあとしか思えないカレー色の汁がしとどに溜まっていた。

現金なもので熱が下がる。指先で測る血流酸素量が93%とえらく低いのが気になるな。

即日入院を予期していなかったわけではないが――長い点滴が始まるとかで――泊められても翌日には解放されると踏んでいた。きょうの午後と夜のぶんのクスリ,それからモバイルバッテリを一丁忍ばせておいたのだが,鼻から管だしといて数日で退院はないよなあ。やばい,デデ電池ガ。

 2018.6/29(金)  180 

2日目【キスより胆管】

6時に採血。37.8℃。P(小便)。9時清拭・着替え。喘鳴つづく。

10時半にネブライザがあり,緊急病棟を追われて消化器内科病棟へ移動となった。P。

胆汁バッグは点滴袋と同じスタンドに掛けられ,どこへ行くにも引きずって歩く。右の鼻の穴から管が出ていて頬と耳にテープで固定されているのは目立つであろうが,まあ,街中でもたまーにこういう人見かけますな。鼻に管を挿れて酸素ボンベをキャリーする方も多い。

きょうの昼食から給食開始。うどん・茄子煮付・酢大根。うどんだけ啜るも鼻ステントは食道を通っているから嚥下しにくい。唾だけ飲むと嘔吐中枢をさわりそうでおっかない。

何しろ即日入院で着の身着のままであり,レギュラーの服薬は院内処方で新たに起こされる。それが案外はやく来て,きょうのぶんも半日と遅れなかったことになる。

午後ずっと37℃台で不穏。ハラが痛くなってきた。点滴に鎮痛剤。血流酸素95%。

夕食。ごはん・吸い物・鮭ケチャップまみれ・もやし・杏仁フルーツ。ひっさびさの甘味が超うめえ。泣ける。

19時21時クスリ。とにかくだるい。21時半と28時半にQ(大便; QはPを含む)を試みるも空振り。

 2018.6/30(土)  181 

3日目【セーラー服と汚胆汁】

6時半37.3℃。Zenfone3Maxにモバイルバッテリから充電する。持ってあと3日か。

朝食。ごはん・味噌汁・オムレツ&ブロッコリー・切干大根・牛乳180mL。ブロッコリーも我慢して飲み込むおれはえらい子。朝のクスリは牛乳で飲んだが,牛乳の甘みがもったいないから次からはDルームのカップ水を貰ってこよう。

9時半初のQ。清拭していたら急激な吐き気。口まで戻ったのを強引に飲みこむも,第3波を抗しきれずに吐いてしまう。以降敗走。ハラが痛くて鎮痛剤と嘔吐止めを点滴してもらい,痛って痛ってと唸りつづける。ずっと眠っていたいと願う。昼飯は中止。15時ごろやっと収まった。P。

血液検査とCT撮りを追加して,膵炎の疑いまで出てきて困ったな。当面経口食は中止して点滴で炎症を抑えることになった。重厚長大な点滴と尿量計測を始める。レギュラーのクスリを飲むための水だけが許された。

19時P300cc。尿は検尿カップに受けたのを専用の計量機械に投入する。機械のパネルに対象患者の名前が出ているからタップして――伸ばした爪の先で感圧するけど気分は良くない――続いて名前確認・投入口オープンのタップがあり,金網フィルタの掛かった受け皿に検尿カップをだぱあとあける。計量開始のタップをしたら終了である。脇の足踏み式ごみ箱にカップを捨てる。

検尿カップは目盛300ccだが,おれが尿意を催してトイレに行き,カップにちんこを這わせて小便を注いでいくと,毎度まいど実にどうもちょうど溢れるかどうかギリッギリな感じなのだった。最後まで出し切れるか2杯目のカップのために括約筋をいったん締めるべきか本当に迷う。2本目に行ったところでちょぼちょぼだったりして,そのときの敗北感はやるせない。

23時半P300cc。29時半Q(P350cc(2カップ使った))。


counter