真空管(6BQ5 シングル)アンプキット製作 (2007/8/18)

(Last update:07/08/22)


開梱の儀。
受動部品は意外に少ない
真空管外箱。ロシアの
匂いがプンプンと漂ってくる ^^;
今回の主役、6BQ5 と 12AX7 まずはトランス類を取り付けて・・・
電源トランスがやたらと重い・・・
予備配線したコンデンサ部や
ボリューム類を取り付けていく
配線途中の図。
ラグ配線が想像以上に面倒・・・
完成時の内部。
「芸術的な配線」には
遠く及ばず ^^;
外観
アナログ/デジタルのコラボレーション (?)
先日製作した多機能セレクター
組み合わせて使用することに
結局 RAID-NAS 部屋に設置。
CD プレーヤーは22年前の
ミニコンポのもの @o@

前フリ:

 ついに禁断の世界に足を踏み入れてしまった・・・。はまり込んだら底なし沼のオーディオの世界、しかもピュアオーディオの世界(の、ほんの入り口)、かつ、ひと癖もふた癖もある真空管アンプの世界に・・・。

 管理人は、幼少の頃(1960年代後盤)から半田ごてを握り、電子プロック、BCL、アマチュア無線と、当時の流行を一通り経験してきた正統派のラジオ少年(死語)である。

 父親が電気系エンジニアだったこともあり、管理人が幼少の頃、父親のジャンク箱にはごく普通に国産真空管が転がっていた。また当時はゴミ置き場にはよく真空管テレビが捨てられていて、真空管を抜いて持って帰った記憶もある。まさに真空管とは因縁浅からぬ、といったところ。

 そんなこんなで、今まで真空管にノスタルジーは感じつつも、ピュアオーディオに必須な「感性のある耳」もないし、どうせ圧縮音楽(MP3とか)しか聴かないんだから、という理由でお手軽なデジタルアンプなどを作ってお茶を濁していたわけである。

 しかしひょんなことから、どーしても真空管アンプが作りたくなった。しかもプリント基板を使う今風のものではなく、ラグを使った古式ゆかしい手配線で。正統派ラジオ少年を名乗るならば、これは避けて通れない通過儀礼なのだ(嘘)。そこでこの機会に1台真空管アンプを製作することにした。ただしケース加工までは面倒なので(トランスやら真空管ソケット用の穴をいくつも開けるのはさすがに気が遠くなる)、手頃なキットで作ることとした。

 そこで、(1) 予算5万円以下、(2) ラグ配線、(3) ボンネット(真空管部のカバー、これが無いと火傷の可能性大)付き、(4) 最大出力は数W程度で十分、の観点からキットを選ぶことにした。


どのキットにするか:

 昨今、真空管アンプ・キットで一般人に最も知名度が高いのはエレキットのものであろう。当初は数量限定販売だったものが何度も再販されていることからも人気の高さが伺われる。しかしエレキットのものはいずれもプリント基板を使う「今風」のもので、「手配線」の楽しみ(苦しみ)が味わえない。そこでいろいろと探したところ、三栄無線のキットが目に付いた。このショップは以前は秋葉原に店舗があり、マニアには有名な店だったらしいのだが、数年前に通販専門になったらしい。

 購入したのはオーディオ用MT管 6BQ5 を使ったシングルアンプ。しっかりとしたボンネットも付いて4万円弱ならコストパフォーマンスもさほど悪くはない。届いたので開梱しようとすると、ズッシリとなかなかの重さ(ほとんどトランス類の重み)で、昨今の半導体アンプにはない、文字通りの重厚さを体感 ^^;


組み立て:

 実はモノが届いてから、1ヶ月ほどは放置状態であったが(こいつを完成させる前に前哨戦として別作品の製作に勤しんでいたため)、夏休み後半に突入し、いよいよ組み立てを開始。

 開梱してみると、部品類の他に、カラーコード一覧、カラー実体配線図、完成後の内部カラー写真等が同梱されている。また組み上げ前の前処理として、シャーシの一部塗装剥がし、ボリュームとコンデンサ部の予備配線等の手順を図入りで示したマニュアルもある。

 で、手順に沿って製作を開始。最初にシャーシの一部の塗装を剥がさねばならないのだが、別途紙ヤスリが必要で、いきなりホームセンターに行くハメに ^^; これぐらいはキットに同梱しておいてくれればいいのだが(紙やすりなんかは大したコストアップにはならないだろうし)。

 で、塗装剥がしが終了したので、ボリューム周りから予備配線を進めていく。実体配線図には配線の長さが書いてあるので、指示に従ってケーブルを切っては被覆を剥いて、半田アゲして、半田付けして・・・ の繰り返し。ぁぁ、なんて地味な作業。この後に続く内部配線もこの繰り返しで、ワイアーストリッパーが無いと仕上がりまで1時間は余計にかかるのではなかろうか。

 それはさておき、ようやく下準備を終わらせ、シャーシにトランス類を取り付け、本格的に内部配線を開始。ふむふむ。まずは中心となるアース線を引き回し、次にヒーターへの配線と・・・。ん? ヒーターには極性なんかないはずなのに、同ピン同士を繋げるのが重要・・・と、マニュアルに記載されている。んー、真空管アンプとは何とも奥が深いものよ(汗)

 それにしても今回のテーマであるラグ配線、なかなかに手ごわい。なまじユニバーサル基板での製作癖が付いていると、部品配置などで根本的な発想の違いに戸惑うことしきり。何度となく、回路図、実体配線図、実物、と見比べを余儀なくされる。はっきり言ってもう2度とやりたくありません(殴)。いや、マジな話、モノグサな人は下手に真空管アンプに手を出してはいけません(ぇ?)。手間を楽しめる人以外は絶対にエレキットの方を薦めます(そういう結論かぃ)。

 ちなみにコテはいつも使っている 20W のものでほとんど事足りた。唯一 60W 級のコテが必要だったのはスピーカー端子の部分への半田付けだが、これもいざとなったら卵ラグを使えば 20W でも製作可能。

 ともあれ、ようやく配線完了。今回はキットなのでケース加工済みなのが救い。以前作った多機能オーディオセレクターとかケース加工だけでのべ3日もかかったから、今回はまさに「お大名」な製作である ^^; とはいえ、予備配線から始めて結局一日弱を費やした。深夜 1 時に完成したのだが、はやる心を抑えて動作確認へとなだれ込むことに。


動作確認:

 一部配線間違いがあったものの、配線し直して最終的に動作を確認。特にハムノイズが乗ることも無いようで一安心。新鮮だったのは、電源を入れてからカソードが温まって音が出るまで10秒程度かかること。そういえば幼少の頃、真空管テレビの電源を入れてもしばらく音や画が出なかったことを思い出した。ぁぁ、何ともレトロな感覚 ^^;

 また逆に電源を切っても10秒程度は音が出続ける @o@。おかげで、これと組み合わせている多機能セレクター側の電子ボリュームの最後っ屁(爆)を思いっきり増幅してくれるので、真空管アンプ電源 OFF から多機能セレクター側の電源 OFF までの待ち時間を延ばすよう PIC のプログラムを書き換えておいた。

 それからこれは余談だが、真空管はかなり熱くなるので、しっかりとしたボンネット(真空管カバー)が無いとマジで火傷しまっせ・・・。エレキットの真空管アンプを購入するならオプションのカバーは絶対に購入しておくべし。また電源トランス、チョークコイルも長時間動作させているとかなり熱くなるのでこれも要注意。どうにも真空管アンプってのはエネルギーを無駄遣いしているなぁ・・・


感想等:

 管理人宅には専用のリスニングルームが無いのでさほど大きい音も出さないし、スピーカーはミニコンポからの寄せ集め(爆)。聴くのも MP3 メインでたまに CD 程度であるから、音質云々という議論はハナからするつもりなど無いのだが、そんな管理人のスタンスで、このキットの音を聴いてみると・・巷に言う「真空管独特の柔らかい音」ってのは全然体感できませんでした(爆)。やっぱりちゃんとしたスピーカーでそれなりに大きな音を出さないとわからないのかもしれない。それにまだ十分なエージングもしてないし(汗)。

 とはいえ、意外に大きな音も出るし、低音が不足するようなことも無い。現在は管理人の隠れ部屋(謎)で素敵な音楽を奏でている。



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