レベルメーター付きD級アンプの製作 (2006/6/2 〜 6/4, 2007/8/1〜8/10)

(Last update:07/08/26)


まずはラフに部品を配置してみる。
意外に余裕がなく実は愕然とした(爆)
左:電子ボリューム基板、右:レベルメータ用アンプ
レベルメーター動作確認中
組み込み後の様子。
配線が美しくないな・・・(汗
DCコントロールボリューム基板付近。
VALANCE, TREBLE, BASS ボリュームは
やむなく基板上に実装
正面
設置の様子。
中央がインターネットラジオ端末
ミュート回路図
ミュート回路基板

カマデン・キットとの出会い:

 ひょんなことから、久々に電子工作の虫が疼きだした。そこでネットでネタを探したところ数年前からカマデンのデジタルアンプキットが好評を博しており、既に多数の製作記がネット上に存在していることを発見。他人の作品を見せつけられると無性に自分でも組み立てたくなるのが自作派の性(笑)。ちょうどインターネットラジオを聴くのにアンプが欲しかったところだったので、早速秋葉原に直行しキットを購入した次第。

 このデジタルアンプ、発熱が殆ど無く、しかも通常オーディオ装置には禁じ手ともいえるスイッチング電源を使っても音質に影響はほとんど無いという触れ込みで、これだけでも「小型アンプの製作」というテーマでそれなりに楽しめそうではある。しかしキットを組み上げるだけでは物足りないのも事実。そこで光モノ好きの定番、レベルメーターの組み込みが確定。また以前から興味があった DC コントロールボリュームを使ってみることにした。これなら高級なボリュームは不要だし、磨耗してガリガリとノイズが入ることも無い。また通常のボリュームを使用した場合の宿命であるL側とR側の抵抗値のばらつきによる小音量時の LR バランス崩れも無くなるというメリットもある。

 ま、ピュアオーディオ愛好家からは様々なツッコミを入れられそうな企画ではあるが、もともとシビアなリスニング環境ではないので、そこらへんは気にしないことにする ^^;

製作:

 かき集めたパーツは

 ・カマデンの D級アンプキット・スペシャルバージョン(\6100ぐらい)
 ・スイッチング電源 12V 4.1A (若松で \2300 ぐらい、多少値は張ったが小型大容量のため採用)
 ・電源平滑用電解コンデンサ ELNA 50V 6800μF (\600ぐらい)。縁起物ということで購入 ^^; 結構でっかい。
 ・昔、秋葉原の鈴商で買って死蔵していたステレオ12連レベルメータ(レベルメーターIC付き、\400ぐらい)
 ・DCコントロール電子ボリューム用 IC (東芝 TA7630P) とその他部品たち計 \2000 ぐらい)
 ・ケース (リード EX-2006、\3700ぐらい)、コネクタ類(\2000ぐらい)

 とまぁ、なんだかんだで \18000 ぐらいかかってしまった(汗)。とりたてて音質に気を使うわけではないのだが、普段は使わない OS コンとかを大量に使ったのが一因か。これも完全にオーバースペックだな・・・(爆)

 まず、部品をケース上にラフに配置し、部品同士のとりあい具合やパネル面の配置を考えてみる。この段階でかなりスペースに余裕が無いことが発覚。電子ボリューム IC にはボリュームコントロール以外に BASS, TREBLE, BALANCE 調整機能もあるのだが、パネルスペースが確保できないため、これらのボリュームは基板上に実装することでお茶を濁すことになった・・(もう少し大きなケースを買えば良かったか・・・ 意外とレベルメーターにパネル面積取られたな・・)

 ま、そこらへんはともかく、気を取り直して製作開始。まず最初にカマデンのキットを組み上げる。難しい部分は特に無く、1時間もかからずに製作完了。動作確認してみると、確かに音はクリアだわ発熱しないわで感動し、最終完成に向けてテンションが一気に高まる。

 次に LED レベルメーター用のプリアンプ部(回路は嘉穂無線のレベルメーターキットから転用、オペアンプを使ったごく一般的な増幅回路+検波・平滑回路)と電子ボリューム(回路はデータシートの応用例そのまま)を製作。今回はスペース上の制約、かなり小型の基盤に実装する必要があるのだが、DCコントロールボリュームはマイラコンデンサと電解コンデンサが林立するため部品配置が結構パズル状態。あちらを立てればこちらが立たず状態で、部品の配置検討にたっぷりと数時間を要した。結局ほぼギリギリで実装を完了。この段階で動作確認してみるとレベルメーターDCコントロールボリュームどちらも動作良好であった。

ケース加工:

 さてここまで出来上がると、次は最大の難関(というか面倒な)ケース加工である。穴の位置出し等は何度も現物を配置しながら慎重に行いケガキ線を入れていく。で、いよいよ最大のヤマ場である穴あけに突入。せっかく正確に穴の位置出しをしても穴あけの段階でズレしてしまっては元も子も無い。特に前面パネルの加工は見栄えを左右するため、今回の製作の天王山とも言える。

 だがしかーし、ここで管理人は今回新兵器を用意していたのである。従来はハンドドリルでちまちまとケースに穴を開けていたので時間もかかったが、今回は電動ドリルを投入。効率良く穴あけが出来るので、最初に小穴で正確に位置出しをしておいて、次に大きな刃に付け替えて所定の穴を空ける、という技を使って穴の位置ずれも皆無。まさにパーフェクトである。たださすがにレベルメーター用の長方形の穴はハンドニブラでちまちま拡張+ヤスリがけ仕上げをせねばならず、小一時間かかる ^^; が、こちらもほぼパーフェクトに加工完了。

完成!:

 で、最後に部品を組み込み〜配線。が、ここで若干トラブルが発生。今回のようなでかいオーディオ用の電解コンデンサを使ったのは初めてであったので半田付けにかなり手間どる。どうも端子の熱容量が大きいようで、20W は言うに及ばず、60W のコテを使ってもなかなかきれいに半田付けするのが難しかった。どうやらこの手の部品にはもっと大容量の半田コテが必要のようである。

 それはさておき、ともかくケースに収めて動作確認してみる。が。音が正常に出ない。というか一応音は出てるんだがあまり増幅されていないし、そもそもボリュームが正常に動作していない。しばらく配線をチェックしたりしたが原因がわからない・・・。まぁ、こういう時は得てして頭を冷やした方がうまくいくことが多い。気分転換に水槽の掃除などをしているうちに、案の定、原因に思い当たった。その原因とはボリューム基盤からのアース配線のし忘れであった(爆)。普段ならアース線など真っ先に配線するのだが、なまじオーディオ製作の鉄則「1点アース」など普段やらないことをやったおかげで、綺麗さっぱりと最後の1本のアース線の配線を忘れていたのである(爆)。

 というわけで、件のアース線を配線したところ見事に完動〜感動。スピーカーは昔のミニコンポのリア用スピーカー(6Ω/26W、フルレンジ)を流用し、机の上にセッティングしてみるとこれがなかなかの見栄え ^^。ソースにインターネットラジオをつないで聴いてみると、特別音質に気を使わなかったにもかかわらず音も悪くない。管理人はピュアオーディオの世界は素人だが、少なくともパソコン用と称して売られている安物のアンプ付スピーカーセットとは別次元の音であることは実感できる。また何よりレベルメーターが光モノ愛好家の心をくすぐってくれるし、DCコントロールボリュームの感触も良好。回転角にリニアに音量が応答してくれる。

今後の予定等:

 ただ、若干問題点も残った。電源投入時はさほどでもないのだが、電源切断時に非常に大きな「ブチッ!」というポップノイズが出るのだ。今使っているスピーカーは安物なのでいいとしても、将来的に高価なスピーカーを繋ぐにはとてもじゃないが気が引ける。この IC にはミュート端子もあるので、いずれ対策を施さねばなるまい。

 またこの IC の発熱は確かに少なく、キットのマニュアルではヒートシンク不要とあるし、ネットの製作例でもヒートシンクを装着しないものが多い。しかし長時間使うとそれなりに IC が熱くなるので、スペースが許す限り放熱対策はしておいた方が良いだろう。せめて IC を金属ケースに熱結合するだけでもだいぶ安心できる。

 というわけで、若干のトラブルと積み残した問題点はあるものの、極めて満足度の高い製作であった。あとはボリュームのツマミをもう少し高級なものに変えてより見栄えを良くしてやるか、などと考えている。ま、それにしても今回オーディオ用の高級部品を初めて使ってみたわけだが、高級オーディオ自作道ってのは凝り具合的にも金額的にもまさに底無しの世界・・ これ以上深みにハマるのは老後の楽しみに取っておこうと固く決意した管理人であった。


ミュート回路の作成 (2007/8/4 追記)

 一応製作してから1年が経過したわけだが、どうにも電源切断時のポップ音が気になりだし、ようやくミュート回路を作ることとした。

 まずはポップ音の原因探しだが、電源オン・オフ時にアンプの入力を GND に落としておくとポップ音が出ないことから、どうも電子ボリュームが悪さをしてるらしいことが判明。電源仕様から考えて、電子ボリュームよりもアンプの方が低電圧に強く、電子ボリュームの断末魔(汗)をアンプが増幅している模様。他のページで読んだ限りでは、TA7630P を本来の正負電源ではなく、今回のような擬似±電源で駆動すると出るらしい(当方未検証)。

 幸い、このTA-2020 にはミュート端子やスリープ端子があるので、まずはこの端子でなんとかできないかとあれこれ試してみる。確かにミュートやスリープ機能に移行した後に電源を落とせばポップ音は出ないのだが、ミュート回路も含めた全ての電源を落としながらこれらのモードに移行させるのはなかなか難しい。ミュート回路を常時通電しておいて、PIC で制御してやればパーフェクトに解決できそうなのだが、残念ながら管理人はまだ PIC ライタを造ったばかりの PIC 初心者。まだそこまで PIC を使えるスキルが無い(爆)。一応ディスクリートの制御回路も検討し、結局、一番オーソドックスなスピーカーをリレーで切断する方式にすることにした。

 回路はこちらの遅延ミュート回路(改良版)を参考にさせていただいた。手持ちの関係上、リセット IC はセイコーの 4.5V 品を使い、作動電圧が微調整ができるよう、抵抗による分圧方式とした。使用した MOS-FET は部品箱に転がっていた 2SK679A (Id=0.5A) としたが、N-ch MOS-FET なら大抵のものが使用可能であろう。なお、2SK679A (というか大抵の MOS-FET)には保護ダイオードが入っているので本来ならリレーとパラレルのダイオードは不要なのだが、縁起物として入れてある ^^;

 調整はいたって簡単で、何度か電源を ON/OFF しながらポップ音が出る前にリレーが働くよう、調整用 VR を合わせ込むだけ。ただし案外設定がシビアなので、VR は多回転式のものをお勧めする。

 ともあれ、管理人宅では電源オフ時のポップ音はほぼ消すことができた。ピュアオーディオ的な発想からすれば、下手なリレーを使うと音質を損ねそうだし、動作中ずっとリレーに 50mA 近くも電気を食わしておくのもシャクなので、いずれ PIC をきちんと使いこなして完璧なミュートをブチかましてやろうと目論んでいる。


ミュート回路の作成その2 (2007/8/8 追記)

 上記リレー式ミュート回路で一定の効果をあげたものの、やはりパーフェクトなミュートを実現すべく、いよいよ PIC を使ったミュート回路の開発に着手。その結果、案外簡単にできた(って、いきなりかぃ)。詳細は別ページ



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