第5章 私的録音録画補償金

第104条の2 (私的録音録画補償金を受ける権利の行使)

第30条第2項(第102条第1項において準用する場合を含む。以下この章において同じ。)の補償金(以下この章において「私的録音録画補償金」という。)を受ける権利は、私的録音録画補償金を受ける権利を有する者(以下この章において「権利者」という。)のためにその権利を行使することを目的とする団体であって、次に掲げる私的録音録画補償金の区分ごとに全国を通じて1個に限りその同意を得て文化庁長官が指定するもの(以下この章において「指定管理団体」という。)があるときは、それぞれ当該指定管理団体によってのみ行使することができる。

     
  1. 私的使用を目的として行われる録音(専ら録画とともに行われるものを除く。以下この章において「私的録音」という。)に係る私的録音録画補償金
  2. 私的使用を目的として行われる録画(専ら録音とともに行われるものを含む。以下この章において「私的録画」という。)に係る私的録音録画補償金

2 前項の規定による指定がされた場合には、指定管理団体は、権利者のために自己の名をもって私的録音録画補償金を受ける権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

第104条の3 (指定の基準)

文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ前条第1項の規定による指定をしてはならない。

  1. 民法第34条(公益法人の設立)の規定により設立された法人であること。
  2. 前条第1項第1号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはイ、ハ及びニに掲げる団体を、同項第2号に掲げる私的録音録画補償金に係る場合についてはロからニまでに掲げる団体を構成員とすること。
    私的録音に係る著作物に関し第21条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であって、国内において私的録音に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
    私的録画に係る著作物に関し第21条に規定する権利を有する者を構成員とする団体(その連合体を含む。)であって、国内において私的録画に係る著作物に関し同条に規定する権利を有する者の利益を代表すると認められるもの
    国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
    国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)
  3. 前号イからニまでに掲げる団体がそれぞれ次に掲げる要件を備えるものであること。
    営利を目的としないこと。
    その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
    その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
  4. 権利者のために私的録音録画補償金を受ける権利を行使する業務(第104条の8第1項の事業に係る業務を含む。以下この章において「補償金関係業務」という。)を的確に遂行するに足りる能力を有すること。
第104条の4 (私的録音録画補償金の支払の特例)

第30条第2項の政令で定める機器(以下この章において「特定機器」という。)又は記録媒体(以下この章において「特定記録媒体」という。)を購入する者(当該特定機器又は特定記録媒体が小売に供された後最初に購入するものに限る。)は、その購入に当たり、指定管理団体から、当該特定機器又は特定記録媒体を用いて行う私的録音又は私的録画に係る私的録音録画補償金の一括の支払として、第104条の6第1項の規定により当該特定機器又は特定記録媒体について定められた額の私的録音録画補償金の支払の請求があった場合には、当該私的録音録画補償金を支払わなければならない。

2 前項の規定により私的録音録画補償金を支払った者は、指定管理団体に対し、その支払に係る特定機器又は特定記録媒体を専ら私的録音及び私的録画以外の用に供することを証明して、当該私的録音録画補償金の返還を請求することができる。

3 第1項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定機器により同項の規定による支払の請求を受けて私的録音録画補償金が支払われた特定記録媒体に私的録音又は私的録画を行う者は、第30条第2項の規定にかかわらず、当該私的録音又は私的録画を行うに当たり、私的録音録画補償金を支払うことを要しない。ただし、当該特定機器又は特定記録媒体が前項の規定により私的録音録画補償金の返還を受けたものであるときは、この限りでない。

第104条の5 (製造業者等の協力義務)

前条第1項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金の支払を請求する場合には、特定機器又は特定記録媒体の製造又は輸入を業とする者(次条第3項において「製造業者等」という。)は、当該私的録音録画補償金の支払の請求及びその受領に関し協力しなければならない。

第104条の6 (私的録音録画補償金の額)

第104条の2第1項の規定により指定管理団体が私的録音録画補償金を受ける権利を行使する場合には、指定管理団体は、私的録音録画補償金の額を定め、文化庁長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の認可があったときは、私的録音録画補償金の額は、第30条第2項の規定にかかわらず、その認可を受けた額とする。

3 指定管理団体は、第104条の4第1項の規定により支払の請求をする私的録音録画補償金に係る第1項の認可の申請に際し、あらかじめ、製造業者等の団体で製造業者等の意見を代表すると認められるものの意見を聴かなければならない。

4 文化庁長官は、第1項の認可の申請に係る私的録音録画補償金の額が、第30条第1項(第102条第1項において準用する場合を含む。)及び第104条の4第1項の規定の趣旨、録音又は録画に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ、その認可をしてはならない。

5 文化庁長官は、第1項の認可をしようとするときは、第71条の政令で定める審議会に諮問しなければならない。

第104条の7 (補償金関係業務の執行に関する規程)

指定管理団体は、補償金関係業務を開始しようとするときは、補償金関係業務の執行に関する規程を定め、文化庁長官に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 前項の規程には、私的録音録画補償金(第104条の4第1項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の分配に関する事項を含むものとし、指定管理団体は、第30条第2項の規定の趣旨を考慮して当該分配に関する事項を定めなければならない。

第104条の8 (著作権等の保護に関する事業等のための支出)

指定管理団体は、私的録音録画補償金(第104条の4第1項の規定に基づき支払を受けるものに限る。)の額の2割以内で政令で定める割合に相当する額を、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業のために支出しなければならない。

2 文化庁長官は、前項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、第71条の政令で定める審議会に諮問しなければならない。

3 文化庁長官は、第1項の事業に係る業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、当該業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

第104条の9 (報告の徴収等)

文化庁長官は、指定管理団体の補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、指定管理団体に対し、補償金関係業務に関して報告をさせ、若しくは帳簿、書類その他の資料の提出を求め、又は補償金関係業務の執行方法の改善のため必要な勧告をすることができる。

第104条の10 (著作権に関する仲介業務に関する法律の適用除外)

著作権に関する仲介業務に関する法律(昭和14年法律第67号)の規定は、指定管理団体が行う補償金関係業務については、適用しない。

第104条の11 (政令への委任)

この章に規定するもののほか、指定管理団体及び補償金関係業務に関し必要な事項は、政令で定める。