日本列島・全国郷土玩具の旅

----佐賀県篇・第1回----

---- SAGA(1)----


佐賀県の郷土玩具ガイド(掲載されていないもの、廃絶品を含みます)
唐津    唐津曳山。でこ唐津んやま。絵馬唐津んやま。
伊万里   トンテントン祭り。
神崎    尾崎人形。
鹿島    のごみ人形。
西川登町  弓野人形。
施設
佐賀県産業振興センター  佐賀市松原1-2-35:商工会館 TEL: 0952-24-5161
その他の施設については、下記の「佐賀県の観光案内(リンク)」内のメニュー「ジャンルでGO」などをご覧下さい。
参考情報リンク
佐賀県のホームページ(公式)
佐賀県の観光案内:→「ジャンルでGO」多くの関連情報が得られます。




尾崎人形
 吉野ケ里遺跡のある神崎町に「尾崎人形」があります。この人形は何度も廃絶のうわさがありましたが、八谷至大(はちやとしみ)さんにより復元されて、いまも伝統が受け継がれています。
また、もとはこの地で「尾崎人形」を焼いていた伊東征隆さんが、福岡県の柳川市で、本業の茶器の製造のかたわらに作っています。
 尾崎人形は、地元では数年間、姿を消したままでしたが、「このままでは尾崎人形の伝統の灯が消える」と、当時尾崎地区長の八谷至大さんが、平成2年に「尾崎焼保存会」を組織し、蒙古屋敷跡近くに空窯という人形焼きの特殊な窯を築きました。現在は主に八谷さん夫妻が仕事の合間に製作しています。
 この人形は福岡の赤坂土人形とよく似た淡彩の土人形で、胡粉地に赤・青・黄・緑などの絵の具(ニカワと混合)でわずかに彩色されています。
 この地では「赤坂人形」は「ててぽっぽ」と呼び、この「尾崎人形」は「テテップー」と呼ばれていて、多くが土笛です。
 掲載作品は、右の5点が八谷さんの作、左の6点が伊東さんの作です。
「由来」:尾崎人形の始まりは、鎌倉時代の蒙古襲来の「文永・弘安の役」からです。捕虜となった病気の蒙古兵が、尾崎の人々の手厚い看病で一命を取りとめ、そのお礼として自国の人形作りの技術を伝えたといわれています。この人形の存在はあまり知られていず、昭和10年頃、郷土玩具研究家の松尾信夫氏により世に紹介されました。
 明治の中頃、水町甚三は、同じ集落の山田武吉からこの人形の型を譲り受け、陶器を焼くかたわら細々と人形を製作していました。(昭和17年没)。この当時は50種類あまりの型があり、その中には、天保12年(1841)11月の銘の入った大黒の大型もあったといわれていています。
 その後、残っていた型は大谷家に継がれて市販されることなく製作されたり、中断されて、上記の伊東さんに受け継がれましたが、伊東さんは柳川市に移転しました。地元での復活は上記のように八谷至大さんにより行われました。
製作者:八谷至大(はちやとしみ):神崎郡神崎町尾崎西分639-1..TEL: 0952-53-5402
製作者:伊東征隆:柳川市西蒲池11-1..TEL: 0944-73-0527
弓野人形
 武雄市と嬉野市の温泉町の中間、西川登(かわのぼり)で、古博多の流れをくむ「弓野人形」が作られています。
 「歴史」:弓野人形の始まりは、明治15年頃にさかのぼります。
 博多人形を5年ほど修行した原田亀次郎は、博多人形の「作られた美」にあきたらず九州の各地に修行に出ました。旅の途中に立ち寄った貴船神社前の茶店が縁となり、茶店の主人の世話で、弓野の造り酒屋の奥川権左衛門の家で土人形を作ることになります。
 明治21年、亀次郎、30才のとき、この人形師の腕を見込んだ同地の旅篭(はたご)若松屋の主人、江口友三郎が、彼を長女マサの婿養子に迎えます。こうして「江口人形屋」が開かれ本格的に弓野人形が作り始められて、節供人形や、床の間の置物の土人形、子供用のはと笛などが売り出されました。
 亀次郎は昭和15年、81才で亡くなり、江口家は、現在3代目・勇三郎さん、4代目・誠二さんが継いでいます。
 もう一軒の諸岡家は、江口亀次郎の弟子の竜八に始まり、現、3代目・利昭さんへと続いています。
---製作者と主な作品---
江口勇三郎・誠二(親子):人形(花持ちおいらん、三味線持ちおいらん、
   馬乗り清正、角力とり、天神、福助、その他)。えびす面。大黒面。
諸岡利昭:えびす面。大黒面。が中心で、人形も製作。
大宅元次:(主)貯金玉(郵便ポスト、招き猫、だるま、他)。
古瀬幾雄:(主)浮立面。

製作者:江口勇三郎・誠二:武雄市西川登町弓野14900..TEL: 0954-28-2193
製作者:諸岡利昭:武雄市西川登町弓野14774..TEL: 0954-28-2033
製作者:大宅元次:武雄市西川登町弓野14807..TEL: 0954-28-2024
製作者:古瀬幾雄:武雄市西川登町弓野14718..TEL: 0954-28-2038


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(1999.7.11掲載)