日本列島・全国郷土玩具の旅

----福岡県篇・第1回ー1----

---- FUKUOKA(1)-1 ----


今回より「九州編」に入ります。九州は郷土玩具の宝庫といえます。
じつに多くの種類の玩具があり、まだまだ一般には知られていないものが
埋もれているのではないかとも云われています。

福岡県の郷土玩具ガイド(掲載されていないもの、廃絶品を含みます)
福岡市   博多ちゃんぽん。お潮井のてぼ。山笠土鈴。博多ごま。
      古型博多人形。今宿人形。博多張り子。平戸ごま。博秀土鈴。
北九州   小倉土鈴。遊きん人形。起上りふく。孫次凧。
      道人凧。越前ブンブン凧。
芦屋    八朔のうま。だごびーな。
宗像市   幻のきじ馬。
津屋崎町  津屋崎人形。
太宰府   太宰府のうそ。
柳川    柳川凧。ありあけ福ちょうちん。尾崎人形。
小郡市   小郡人形。
甘木市   はたはた。
英彦山   英彦山(ひこさん)土鈴。
吉井町   雉子車。吉井土偶。
久留米   おきあげ。玉子人形。
筑後市   赤坂人形。
瀬高町   清水寺のきじ車。
大牟田市  三池の諸玩具。三池のきじ車。黒崎のガラガラ。三池姉様。
県内各地  八朔雛
県内各地  天満宮のうそ

 博多市の有名な「博多人形」は、土人形の域を脱して、工芸品として扱われるように  なっています。
 郷土玩具の研究家や収集家の多くは、現在の「博多人形」は、郷土玩具的な生命は失
 われていると考えています。

施設
秋月郷土館  甘木市秋月町野鳥532-2 TEL: 0946-25-0405
芦屋町歴史民俗資料館 遠賀郡芦屋町中の浜4-4・公民館内 TEL: 093-222-1681
三池カルタ記念館 大牟田市宝坂町2-2-3
             カルタックス おおむた内 TEL: 0944-53-8780

参考情報リンク
福岡県のホームページ(公式)
[F-TOWN](財)福岡県企業振興公社  →伝統工芸・物産館→伝統工芸品

【CPH】→郷土玩具マップ→「福岡」
「美伊土呂工房: 博多チャンポン」「幻のきじ馬木庵 :縁起木馬」「井上和代:八朔の馬」
「工房 筆誤庵 :道人凧」「太宰府天満宮: 太宰府のうそ」「坂田信義 : 柳川凧」
「大牟田市立三池カルタ記念館: ウンスンカルタ」の情報
 




博多ちゃんぽん(筥崎宮のビードロ)■
 筥崎宮が放生会(9月12日)に「博多ちゃんぽん」を授与しています。食べ物の長崎のちゃんぽんと誤解されがちですが、こちらは昔からあったビードロと呼ばれる郷土玩具です。 製作者の小川勝男さんは、その他に、玩具化したいろいろな変形ちゃんぽんを作っています。
 博多ちゃんぽんは、ガラス管の先に半球形のガラスがつき、そこに同じガラス質のごく薄い振動膜が張られています。細いガラス管を吹いたり吸ったりすると「ペッコン、ペッコン」と音がでるものです。いまは廃絶とされている兵庫県の「ポッペン」と呼ばれたガラス製の音のでる玩具と同様のものです。
 作者の小川さんは、元は九州大学の技官として実験用のガラス器具を作っていられましたが、定年退職後、廃絶していたビードロ作りに取りくみ「ちゃんぽん」を復活させました。
 筥崎宮でこれが売られるようになったのは、江戸末期からといわれ、放生会の露店で「ビードロ」を「長崎ちゃんぽん」となづけて売り出したところ、たいへんな評判で、毎年売り出されるようになり、ついに放生会の名物玩具になりました。
 昭和初期には廃絶していましたが、昭和32年に小川勝男さんが筥崎宮の宮司から復元の依頼を受けて、苦心の末、14年後の昭和46年に納得のいく「ちゃんぽん」を完成、翌年から復活させたものです。
製作者:小川勝男:福岡市東区箱崎1-18-8..TEL: 092-641-6052
筥崎八幡宮:福岡市東区箱崎1-22-1..TEL: 092-641-7431
お潮井のてぼ
「てぼ」:九州地方の方言で、竹篭のこと。
 筥崎宮前の海岸の真砂を「お潮井」といってこの砂で身を清め、家の入り口におくと、禍わいの入ってくるのを防ぎ福を招くといいます。春秋の社日祭に、この「てぼ」にお潮井をいれて持ち帰ります。 当日は参道の露店でも売られ、平素は社務所で授与されています。
山笠土鈴
博多山笠で知られる櫛田(くしだ)神社で、夏祭り(7月1日〜15日:祇園祭り)の頃になると、「山笠土鈴」が授与されます。この土鈴は10センチ余りの大型の土鈴で、博多人形師で人間国宝の小島与一氏が原形を作ったということです。
製作者:白石静子:北九州市小倉北区中井5-4..TEL: 093-571-6321
櫛田神社:福岡市博多区上川端1-41...TEL: 092-291-2951
博多ごま
博多独楽の特徴は、芯棒が鉄で重心が低く、非常い廻りやすく安定感があり、寄席の曲独楽に使われています。このプロ用の独楽作りの技術を生かして、趣味用の「博多ごま」がつくられています。
博多けんか独楽・東長寺独楽・掛け独楽・四独楽・当り独楽・ひねり独楽・占い独楽・二段独楽・おきあがり独楽・瓢箪独楽など、18種があります。
製作者:筑紫珠楽(博多独楽宗家):春日市惣利4-4..TEL: 092-595-1614
博多独楽保存会:福岡市南区横手4-12-14..TEL: 092-574-9569
平戸ごま
福岡で長崎県の平戸ごまとは変ですが、製作者の高増さんは福岡市に住んで、ここを中心に製作販売されています。平戸独楽は芯も胴と共に同じ木で挽いているのが特徴です。
高増さんのこま作りは戦後で、復員後仕事をさがしていた頃に、物産展の公募に応募したのがきっかけでした。
製作者:高増辻一「平戸独楽福岡店」:福岡市中央区六本松4-8-14..TEL: 092-712-5202


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(1999.5.9掲載)