民芸館‥広島県(3)
日本列島・全国郷土玩具の旅

----広島県篇(3)----

----HIROSHIMA----


べっちゃー土鈴
 べっちゃー土鈴は、尾道市の吉備津彦(きびつひこ)神社の秋の祭り(11月3日)に、露店で売られます。このほかに(掲載できませんでしたが)べっちゃー面も並びます。
 「べっちゃー」とは、祭りの時の子供達の囃子(はやし)言葉です。
 祭りでは、主役の天狗(ショーキ)、大蛇(ソバ)、武悪(ベタ)、がそれぞれの面をつけます。この面を「土鈴」にしたものです。
 張り子のべっちゃー面は、市内の橘高 誠さんが作られいましたが、お亡くなりになり、今では妻のムラコさんがわずかに作られていて、祭りの頃にしか手に入らないようです。

「土鈴」制作所:尾道クミカ工業株式会社(陶芸研究会)
       :尾道市長者原
2-160..TEL:0848-48-1213

「べっちゃー面」制作者:橘高ムラコ:尾道市長江 2-12-37..TEL:0848-37-6909

三原だるま
神明市(だるま市):三原市の神明市(しんめいいち)は、2月の第2金、土、日の3日間、JR三原駅東、旧三原城下町の東町通り一帯でさまざまな露店の並ぶ春の市で、「だるま市」ともいわれてます。
「神明だるま」:このだるまは戦前に「三原だるま」とよばれ廃絶していたものを、復元して平成4年頃から売られるようにりました。
 元三原小学校長の久保等氏の指導で、60余年ぶりに復元されましたものです。
 昔は神明市(いち)で小さいだるまを、家族の数だけ求め、その背に家族の名前を書いて神棚に飾り、家内安全、無病息災を祈ったといいいます。
「広虫だるま」:御調八幡宮の祭神、和気広虫姫(和気清麻呂の姉)にちなんだだるまで、やさしい顔の女だるまです。
三原市八幡町の御調八幡宮での授与されています。
「たこだるま」は戦後の新作だるまです。
◇これらのだるまは、常時は「三原市シルバー人材センター」で、制作、販売もされています。

三原市シルバー人材センター:三原市円一町 1834-47  サンライフ三原..TEL:0847-63-2266



廿日市張り子
 廿日市張り子は、江戸中期、元禄8年(1695)に近江国大津から移り住んだ大津屋清右衛門が、初代と伝えられています。
 2代目の清蔵が京都の伏見人形を習い、これを基礎に独特の意匠を加えた人形を制作、人気を呼びました。長い伝統を継いで現在は7代目の大島都美子さんが作っています。
 廿日市張り子は、全体に柔らかい調子の張り子で赤を主調にしたいわゆる赤物玩具が多く、「おぼこ」がよく知られています。そのほか、鯛車、獅子頭、張り子の面があり、面類は40種ちかくあります。これらの面は、秋祭りの神楽や亥子(いのこ)の行事に被られるものです。
 なお、この張り子は、どこにも売られていませんので、直接、大島さんを訪ねるか、郵送依頼を連絡しなければなりません。

制作者:大島都美子:廿日市市廿日市 2-5-11..TEL:0829-31-3709

宮島の諸玩具
 厳島(いつくしま)神社で知られる宮島は、昔からいろいろな郷土玩具がありました。なかには廃絶したものもあり、また新しく生まれたものもあります。

宮島町伝統産業会館佐伯郡宮島町 1165-9 ..TEL:0829-44-2017
ここには島内の伝統工芸のすべてが展示されています。島内観光案内地図も用意されています。

鹿猿:明治35年刊「うないの友」にすでに紹介されています。大願寺本堂右手に「宮島名物鹿猿」の看板が見えます。手捻りで制作しながら売られています。
制作者:北林キヨメ:佐伯郡宮島町久保町..TEL:0829-44-2721

宮島土鈴:戦前から作られ、最近の土鈴ブームで脚光をあびています。宮島の歴史や観光をテーマとしています。300種類ほど作られています。
 宮島土人形:厳島神社に奉納される舞楽や能楽をモチーフにしたもので、蘭陵丸、万歳楽、翁、羽衣、紅葉狩り、など20種あまり。
 「宮島土鈴」「宮島土人形」どちらも越智宗政さんが焼いています。
制作者:越智宗政:佐伯郡宮島町 237 ..TEL:0829-44-0336

宮島鳥居:実物を縮尺して、6種類があり、木組みの細工。彩色も光明丹(鉛丹。赤色顔料)を塗るという本物志向です。
制作者:阪田整治「阪田手ずくり処」:佐伯郡宮島町中江町 237 ..TEL:0829-44-0174

宮島張り子:昭和後期より作り始められた玩具です。鹿猿、龍、天神、牛など、そして亥子面となずけた面が各種あります。
制作者:田中司郎「宮島民芸工房」:佐伯郡宮島町 663 ..TEL:0829-44-2090

竹蛙(廃絶):竹の根株を一刀彫りしたもので、金引蛙、無事蛙、など縁起物として人気がありましたが、最後の作者、天野さんがなくなられて廃絶しました。



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(1999.2.14掲載)