【民芸館】......全国郷土玩具の旅


京都府篇(2)ー3

----KYOTO----



洛東・清水の豆人形(1)■
 清水寺へ登っていく清水坂の中ほどから北へ曲がると、産寧坂(三年坂)、二年坂と道が続き八坂神社へ向かいます。
 産寧坂には「瓢箪屋」、二年坂には「伴東山堂」のどちらも伝統のある店で、豆人形を制作販売しています。店先や店内には、目を近ずけないとはっきりはわからないくらいの「豆玩具」が並んでいます。また、この道や清水坂は、土産物の店がずらりと軒を連ねています。

洛東・清水の豆人形(2)■
 清水から2キロほど南、今熊野日吉町の井上佐知子さんが、自宅で伝統の豆人形を作っていられます。お母さんの杉谷マサさんが、平成8年に高齢でなくなられ、それを絶やさず継いでいられるのです。
 大豆ほどの土人形がていねいに彩色され、5、6体が1組で、小さな竹籠つきの信玄袋に収まっています。
 また、明治20年頃に中川正房さんが制作をはじめた頃は、「清水の一文人形」と呼んで作られていました。その頃は50種類もの形があり、一つ一つ数えて売るのがたいへんなので、小さな升に一杯二杯と売ったことから「はかり人形」ともいわれています。




まじない人形
 12体の豆人形が1組になっています。それぞれの人形に「まじない」の効能があるとされています。
この人形についている栞によれば、達磨=辛抱。黒猫=幸福。寿老神=頭痛。西行=腰痛。鍾馗=魔除。虚無僧=乗物酔。布袋=安産。蛙=縁起。招き猫=商売繁盛。傘狸=火災除。お多福=人気寄せ。ドクロ=勝負運。ということです。

行列人形■「静岳」(人形卸専門):桂憲之氏が制作。
 1センチ余の細長い飾り台に行列して並んでいます。掲載のもの以外には、大名行列。時代祭り。などがあります。
この店は、昔は清水焼の雑器を焼いていたのですが、明治初期、3代目から京人形を専門に作るようになり、現代の桂憲之氏は5代目です。

住吉踊り(人気笠)
 大和大路四条南、恵美須神社の「初えびす」(1月9、10、11日)は、十日えびすとも呼んでいます。この時、神社へ通じる大和大路通には露店が並びます。
その中に多くの「住吉踊り」を売る店が出ます。「人気大也」の紙が下がっているので「人気笠」とも呼ばれているのです。この笠は、「初えびす」の時以外には手に入りません。
京都市内の商家では、商売繁盛を願って年ごとに大きな笠を求めて帰り、店の隅や神棚の前に吊り下げる風習がありました。

---京都府、第2回...終り---


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(1998.2.2掲載)

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