悪徳商法撃退ビギンズ

■ペンネーム「あんちゃん」さんからの投稿です。

 17年前の社会人一年生の時の話です。
 当時、名古屋近郊が勤め先で、僕はまだ未成年でした。
 
 名古屋へ大学受験に来た友人と、試験後に会うため名古屋市へ行く。
 夕方、友人と合流して納屋橋(名古屋市中区辺りだっけ?)辺りをブラブラする。
 
 そこで感じのいい兄ちゃんが、
「アンケートに協力して下さい」
 と、言われ何の疑いもなくアンケートに答え、おまけに住所・氏名・電話番号まで書いてしまいました。(あの時は世間知らずでした…。-_-;)
 
 それから1ヶ月ほどして…。
 寮事務所から「電話だよ」と取り次ぎ(当時、携帯電話はお大尽の贅沢な持ち物で、寮の居室には一般電話すらありませんでした)され、電話に出ると電話口から感じのいい姉ちゃんからの営業トーク。
 
ね 「あんちゃんさんは、印鑑登録はお済みでしょうか?」
あ 「はい、既に豊○市役所にて印鑑登録は済んでます」
ね 「どの様な、ご印鑑でしょうか?」
あ 「名字だけの物ですが…」
ね 「フルネームでないと、“実印”登録できない自治体もありますよ」
あ 「え!? もう豊○市役所で受理されてますよ」
ね 「豊○市役所ではそうかも知れませんが、他の自治体ではだめな場合もあります」
あ 「で、何が仰りたいのでしょうか?」
ね 「あんちゃんさんに相応しい“実印”“銀行印”“認め印”の三点セットをご案内します」
「で…、○×▽□●×△■(営業トーク炸裂)」
「◎▲◆@…ですが、如何でしょうか?」
 
あ 「はぁ…、一つ教えて頂きたいのですが宜しいですか?」
ね 「はい? 何でしょうか?」
あ 「“実印”と“銀行印”って、本当に売ってるんですか?」
ね 「え!? だから、今ご案内している商品がそうですが…」
あ 「それはおかしいですねぇ…」
ね 「だから何がですか?(苛)」
 
あ 「役所や銀行で登録してから、“実印”なり“銀行印”になるんぢゃないでしょうか?」
「いくら立派な印鑑でも本人が登録しなければ、ただ立派な“認め印”ぢゃないの?」
 
ね 「そんなのは屁理屈だ!(激怒)」
あ 「そー言われても、実際そーなんだから仕方がないですヨ♪」
「フルネームじゃないとだめな自治体があって、そこへ引っ越す時には新しい印鑑を父方の親戚の伯父さんに安く作って貰うから(大ウソ)ご心配無用です」
ね 「ああ!そうですかッ!お騒がせしましたネ!!(激怒)」
 
 ガチャッ! プープープー
 
 と、逆ギレ状態で先方さんから切って頂きました。
 
 逆ギレされても、本当に“実印”と“銀行印”は日本中どこを探しても販売されておりません。
 正確には「“実印”として登録するのに相応しい印鑑」だったり、「“銀行印”として登録するのに相応しい印鑑」とするのが適当な表現かと…。(屁理屈に見えますが、正論です)
 
 実際に印鑑登録をする際に、「フルネームでなければいけない」と言う自治体は耳にした事がありません。(もし、「うちの町はそーだ!」と仰る方がいらっしゃいましたらごめんなさい)
 大まかに「手彫りで」「8mm超〜25mm以下」「枠付き」であれば、名字だけでも名前だけでもハート形でも星形でも受理される様です。(この辺はネット検索するとヒットします)
 
 詳しい内容は、婚姻届を出す際に参考にした“★元市民課職員の危ない話★”を参照して下さい。
※元役所の職員だっただけに、印鑑登録だけでなく役所での手続きを、解り易く解説していますので、大変参考になります。
 
 これが僕の悪徳商法との第一次接近遭遇でした。
 昔からひねた奴だったんだなぁ…、とこれを思い出しながら書いて改めて実感しました。^^ゞ
 あの当時、象牙(高級印鑑といえば象牙!)がワシントン条約(でしたっけ?)の対象になる間際で、自由に売買できなくなり駆け込み需要を狙った悪徳商法(印鑑販売方法も昔から問題はあった様です)でした。
 今ぢゃ“霊感商法”でまだやってるのでしょうか…?

■あんちゃんさんからは6回目の投稿です。いつもありがとうございます。
 
■おお、なんてクールな切り返し。勧誘電話初心者で、こんなに冷静にツッコミ入れられるなんて。素晴らしい!
 
確かに、購入した印鑑がイキナリ「実印」だったらビックリです。
 
 でも、ちょいと傍らにあった通販雑誌を見てみると、
「高級手彫り本象牙印鑑 認印・銀行印・実印 三本セット」
「高級手彫り黒水牛印鑑 認印・銀行印・実印 三本セット」
「本水晶印鑑 銀行印・実印 二本セット」
「アルミ印鑑 認印・銀行印・実印 三本セット」
「チタン印鑑 認印・銀行印・実印 三本セット」
 ・・・
 ・・
 ・・・良く考えたら、限られた紙面に、いちいち「銀行登録用印鑑」「印鑑登録用印鑑」なんて書けないわなあ。暗黙の了解、というヤツですか。
「屁理屈だ!」と叫んだおねえちゃんに、少しだけ同情しておくことにします(笑)。

(2005.7.7)