2月22日

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サッカー

日本代表キャンプ
(福島県・楢葉町、Jビレッジ)

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 45人でスタートした今年最初の代表キャンプ終了日の前日、トルシエ監督が記者会見を行い、今回の合宿での収穫や感想、またこれまであまり話してこなかった、代表選抜の具体策、主将の理想像などディテールに至るプランを明らかにした。
 今回の合宿での体力測定は、「あくまでも選手個人のために情報を集めるもので、スタッフやセレクションの材料になるものではない」と、個人への還元を目的とすることを明言。代表45人を、1.昨年のシドニー五輪、アジアカップ2大会でのレギュラークラスで、2年前からトルシエ監督に召集され「経験をつないできた選手」のカテゴリー、2.これまで怪我などで呼ばれることがなかった選手の中で、すばらしいスピリッツとテクニックを持ち、カテゴリー1に近い選手、3.初めて代表に選ばれた選手、と3つのカテゴリーに区分け。さらに今回代表には呼んでいないが、いつでもカテゴリー2以上に入る選手15人のグループがいると、監督は自ら名付けた「エリート」60人が、2002年へのメンバーであるという方針を示した。
 またこの中から、今年中にはメンバーを10人〜12人に固定することも、初めて明らかにした。
「今年中に7〜8試合を行ない、その中で恐らく10〜12人が固定されるだろう。この後に残った40人くらいのメンバーは最後(本大会のエントリー22人)まで非常に強い競争を続けなくてはいけない」と、あらためて、最後の最後まで指定席を与えないことも断言した。
 また、今回初選出したメンバーの中では熊谷浩二(鹿島)について「非常にコンディションもいい。もし代表を27人に絞っても(フランス戦=3月22日への3月の合宿の意味)彼はおそらく残るだろう」と、第一試験での「合格」を与え、また市川大祐(清水)も「彼は正しい道を歩んでいる。油断せずに行って欲しい」と、高評価を与えていた。
 代表は23日でこの合宿を終了。この後メンバーはクラブに戻って3月10日からのJリーグに出場し、フランス戦を目指した合宿で再度27、28人程度でのキャンプを行なう。
 また、この日、故障していた小野伸二(浦和)、遠藤彰弘(横浜M)、三浦淳宏(東京V)の3人がチームに帰還。これでこの合宿の離脱者は8人となった。

小野(左太もも内出血)「今年最初の代表合宿で一緒にできなくて残念だった。早く治してまた呼んでもらえるようにしたい」

遠藤(右太もも痛)「初めての代表合宿で雰囲気を味わえたことはうれしかった。また呼んでもらい、今度は力を発揮したい」

三浦(右太もも裏に違和感)「早く治して、Jリーグの開幕からいいプレーをしたい。久しぶりに代表のみんなと会うことができて、とても楽しかった」


「求む、キャプテン!」

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 午前中の練習が終了し、トルシエ監督以下、代表スタッフとプレスでのゲームが30分行なわれた。監督も自ら、プレスチームの「スーパーサブ」として赤のビブスを着て出場。代表スタッフは、川俣GKコーチがGK、山本昌邦コーチがDFラインをコントロール、サミアコーチもMFで果敢にシュートするなど、そもそも体力的にかなり劣っているプレスチーム相手に、かなりマジで?プレー。結果は言うまでもないが、監督はご機嫌で、会見の冒頭に「きょうの試合で、ゲームというのは必ずしも監督のせいで負けるわけではないことがみなさん(プレスに)わかったと思う。今後は私の評価に寛大さを」と、会場を笑わせた。
 1時間もの会見では、選手の人間性を強調し、「サッカーチームなら、報道陣にもサポーターにも代表チームを作れる。しかし私は、ベストサッカーチームではなくて、ベストチームを作っているのだ(だから難しいということ)」と話し、現在のチームに呼ばれている代表選手は「脳ミソとガッツ」を持った男ばかり、と称賛していた。また、これまでゲームごとに順番に務めさせて来た「キャプテン」について、初めて2002年のW杯を率いるキャプテン像を解説。ポジションは、「GKからMFの後ろまでの間、FWではないほうがいいと思う」とした上で、「キャプテンは私のアシスタントコーチでもあり、グラウンドの内外で大きな役割を果たせる選手である。信用され、影響力を持ち、経験があること。キャプテンについてはこれからゆっくりと考えさせて欲しいが、まずはアシスタントコーチとして現役を引退して1年くらいの選手がふさわしいのではないかと、昨年も探した。こういう選手がいてくれれば、私のスタッフのほうも強くなるはずだ」と、現場と選手の太いパイプ役として、強力なキャプテンシーを求めている心境を明かした。

 トルシエ監督の会見より

 今回の合宿には本当に満足している。スタッフも入れて70人もの集団だが、そこもスムーズに組織され、しかも招待しているフランス人スタッフ(GKコーチ、ドクター、フィジカル)からも、日本選手がこれほど高いプロ意識の中でやっているとは思わなかったと褒められて、私もうれしくなった。

(以下は質疑応答から要旨を抜粋)
──今回、きょうで8人のメンバーが離脱したが
監督 もともと怪我をしている状態だったわけだが、私も今の時期に(トレーニング期間に)こんなに怪我人がいるというのは驚いた。どうしてこんなに怪我人がいるのか、同じ質問を、クラブにしてもらいたいくらいだ。

──テストの内容について
監督 これはあくまでも選手自身の情報のためであって、それを見て選手が自分のここが少し足りない、昨年よりも向上した、と思ってくれればいいものに過ぎない。4つのテストの内容は、スタミナ、スピード、パワー(もうひとつはジャンプ力など跳躍系)で個人のデータを知るためのものだ。

──来月のフランス戦については
監督 もしこれがW杯の前だというのなら心配もしただろう。しかし今はまったく心配していない。45人のグループで競争していく形は変ることがないし、中田と西澤については呼んでいないし、確かに試合には出ていない。しかし、世界のトップチームでの練習が、すばらしい経験となってチームに何をもたらすだろうし、私は彼らをわずか3分でも効果的に起用することができる。

──新戦力はどう評価するか
監督 今回、鈴木、熊谷、遠藤、波戸と呼び、遠藤は怪我で見られなかったが、特に熊谷はコンディションがよく、27人に絞っても残るメンバーだろう。

──45人で行くと言っていたが、この45人以外からは選ばないのか。
監督 45人から20人を選ぶことに変わりはないが、この外には今回は呼んでいない、しかし十分な力があるとわかっている15人を加えて約60人のエリートが存在する。最後まで競争をしてもらいたいし、あきらめないで、という私のメッセージでもある。今年中にあと7、8試合を行なって10〜12人を固定するだろう。そうなると残りの40人は非常に強い競争を最後まで続けなければならない。

──監督は常に人間性を強調するが
監督 その通り、今回の45人も人間性で選ばれている。アジアカップの優勝もサッカー選手の優勝ではなく、男の戦いを通じ、お互いに犠牲を払った男の勝利だった。男とは一言で「脳みそとガッツ」、それがサッカー選手でもある。

──テストの効果からもっとも進歩した選手は
監督 これでランキングを作るつもりもないし、あくまでも自分の意識のためで、例えば中村(俊輔)が、この数字を聞いても100メートルを10秒で走れるわけではない。ただ彼が、何か足りないと気が付いてくれればそれで成功なのだ。

──今回の合宿では29歳以上のメンバーがいないが、今後選ばないということか
監督 そういう考えはない。年齢の差別は一切ないし、今回呼んでいない15人にはそれ以上の選手もいる。今回のテストはすばらしいトップレベルにいるのだという雰囲気を作るためのもので、もうW杯の雰囲気に入ったのだと選手がどのくらい意識したかだ。

──このチームのキャプテンはいつ、どうやって決めるつもりか
監督 非常に重要な問題だ。ただいつも言うように、指定席を与えることはしたくないので、キャプテンも同様でW杯のメンバーが決まるまで言うつもりはない。同時にGKも今は7人を呼んだが、これも誰がNo.1なのかNo.2なのか今も決めてはいない。

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