2月17日

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Jリーグプレシーズンマッチ
ヴィッセル神戸×サンフレッチェ広島
天候:晴れ、気温:12度
観衆:7617人、14時30分キックフ
(高知県立春野総合運動公園陸上競技場)

神戸 広島
0 前半 0 前半 0 2
後半 0 後半 2

コリカ:57分
梅田直哉:88分

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 三浦知良が、神戸移籍後最初のプレシーズンマッチに出場、チーム状態もまだ半分の仕上がりだけにボールが前線につながる場面も少なかったが、それでも後半には2本のシュートを放って主将としてチームを牽引した。後半26分にはイエローカードを受けたが、90分通じて、フィジカルでは抜群の安定性を見せるなど、この日で終了した春野キャンプの収穫は大きかったようだ。
 試合は、広島が後半12分にはコリカ、43分には梅田直哉が得点し2−0で神戸を下し、ヴァレリー監督が就任してまずは白星でのスタートとなった。神戸はこの日でキャンプを打ち上げ、20日から地元での調整に入り、3月10日の開幕戦(対横浜F・マリノス)に備える。
 試合途中では、春野の競技場の隣でキャンプを行なっている西武ライオンズ、松坂大輔投手が紅白戦を終えてユニホーム姿で観戦。試合終了前に退席した。


「気持ちがよかった」

 三浦にとっては、V川崎、京都、そして神戸(2年契約)とJリーグ3チーム目となる。しかし、初戦のピッチのどこにも、新参者の一種独特な「違和感」というものが漂うことがなかった。
 ユニホームが似合うからではないか。
 試合前、やはり移籍した望月が「似合うんだか、似合わないんだか、よくわかんないなあ、これ」と新しいユニホーム姿を鏡で見て苦笑していたが、最後にピッチに上がった三浦には、なぜか「縦縞」がよく似合っていた。
「サントス以来10年ぶりくらいかな。気持ちよかったです」
 試合後はそう話していたが、ブラジルに移籍しプロとしてスタートしたときのサントスのユニホームがやはり縦縞だったという。右のウイングなら7番、左なら11番。多くの選手が移籍するたびにユニホームにフィットするのに時間がかかるように見えるが、三浦がそう見えないのは、彼がクラブを渡り歩くことで積み上げた歴史の重みに寄るのだろう。何を着ていても、三浦は三浦という存在感である。


 しかし、ユニホームほどに、チームプレーが機能するには時間がかかりそうだ。
「経験とかメンタルなものが原因だと思う。どうしても怖いんですよ、だから後ろに下げてしまう。戦術的に下げるんではなくて、消極的に下げてしまうから、どんどん距離が(FWと後ろの)開いてしまう」
試合のポイントをそう分析する。この日、神戸はボールを前線まで持っていくことができずに苦心した。中盤でプレスをかけられると、ロングボールに逃げるか、突破するのを恐れてボールを最後尾まで下げてしまう。このために、三浦との距離がどんどん開いてしまって、結局、ボールが足元に入ることが一度もなかった(前半はチームシュートも1本)。後半になって、途中望月が入るなどして若干修正されたためか、ボールが多少は回るようにはなった。三浦、ダニエルがシュート2本を放つなど、形らしい形は見えてはいた。
 今後、新加入のサントスが復調してくれば状況は好転するだろうが、三浦は「若い人たちが遠慮しているし、もっと自分の持ち味を出すことにこだわって欲しい。誰が戻ってくれば、ではなくて全員がやろうという意識を持つこと。そうやって全体の底上げをしなくてはならないと思う」と話す。
開幕まであと3、4試合をこなし調整をして行く。
 試合終了後、うなだれてそのままロッカーに引き上げようとするメンバーに、三浦が走ってスタンド前に行き、整列するように促し挨拶をした。
 若い選手に対して、「初心」を忘れないように吹き込む34歳のベテランの若さがそこにあった。

川勝監督「ボールをできるだけ(外に)出さないようにして、取られてもいいから勇気を持ってボールをつないで行こうと意識した。DFのリーダーシップを取れる選手がいなくて、苦労した。サントス、土屋が復帰してマークを確認すればスムーズにできるのではないか。今季の目標は何位とは言えないが、できるだけベストに近いメンバーを揃えていかないと、キャリアのある選手とそうでない選手の差が出てしまう時間帯ができてしまうので、けが人なくシーズンを乗り切りたい」

ヴァレリー監督「まだ始まって3週間なのでまだ迫力はない。勝ったのは良かったが内容はまだない。ベテランはコンディションがまだまだではないか。マイナス面では守備から攻撃に移るのが遅かった点と、ゴール前のラストパスにある。全体的にプレーが遅いので速くしなければならない。プラス面は、選手のやる気でプレーをしていたこと。練習でやってきたことをやろうと意識していたことはうれしかった」

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