2月14日

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Jリーグ 福岡×柏練習試合
(博多の森球技場、午後2時キックオフ)

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増島みどり著
シドニーへ
彼女たちの
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 鹿児島・国分から続いた2週間のキャンプ最終日を迎えた柏と、宮崎から地元に戻って調整中の福岡が練習試合を行った(結果は1-1のドロー)。
 柏はまだ韓国代表の3選手が合流していないが、現在の状況の中ではほぼベストメンバーを組んで臨んだ。しかし先制され(得点は福岡・野田知)、後半になってようやく大野敏隆の1点で同点に追いついたが、テーマでもある得点パターンの確立と決定力には課題が残った。柏は、15日に帰京し、18日からは韓国代表合宿から、洪明甫、新加入の柳想鐵も加わる。

 後半、両者のリズムがファールから狂ってしまい、後半残り5分、練習試合にもかかわらず福岡・前田浩二がレッドカードで退場を命じられた。
 柏のコーナーキックからゴールエリアでの混戦ならぬ乱戦となり、ピッコリ監督はスタンドから、西野監督はベンチから、全員がピッチ上に飛び出す騒然とした中、パンチ2発、膝蹴りが飛び交うなど試合は「最終12ラウンド」に突入。最後は、目じりを切る選手まであらわれため、試合は3分あまりを残して主審の判断からそのまま終了。攻守の切り替えが激しい「殴打戦」は、両者、判定引き分けとなった。

福岡・ピッコリ監督「(柏のマリオコーチからのパンチを)私はかわしましたよ、日ごろからトレーニングを積んでいるもんで。名前は知らないが、一人の人間が(マリオコーチを指す)暴れたのでああいうことになった。GK小島への暴力は許せないし、日本のサッカーが暴力を容認するのは理解できない。ゴール前で混乱が起きたとき、私はすぐに飛んで行って、主審に「没収試合にしてくれ」と頼んだ」(実際には練習試合のために形式はまったく関係なく、Jリーグ、協会への報告も必要はない)

柏・西野朗監督「エキサイトするのも多少激しくなるのも試合なので仕方ないが、あそこまで(殴打)行く試合だったとは思わない。ファイトする気持ちは全面に出すべきで、戦う姿勢を出そうと試合前には話したが、我々はまったく正当にプレーをしていただけで、あんなことになるようなものではないし、合宿最終日の試合だけに残念だった。森さん(森孝慈福岡統括部長)には、ロッカーで謝っていただいたので遺恨うんぬんという話ではない」

福岡・森GM「公式戦ではないので没収試合でもなければ、協会やリーグに報告しなくてはならないものでもないでしょう。ただし、フェアプレーは、公式戦でも練習試合でも、どんな試合でも同じに貫かなくてはならないもの。誰が何をしてああなったのかは、主審に伺ったし、うちとしてもイメージの問題もある。大宮との練習試合でも、途中で小競り合いが起きており、監督には、どちらがいい悪いの話ではなくて、そういうことが絡む試合をしないで欲しいと話をする」


「何の試合だったか」

 最初の小競り合いは、福岡の前田浩二と柏の北嶋秀朗の間で起きたようだ。これが後半35分頃で、以後、北嶋と福岡の選手を巡って両者がぶつかり合うなど感情的にエスカレートして行った。
 残り5分で前田が退場。結果的には最後のプレーになった、柏・大野敏隆からのコーナーで乱闘が始まった。
 コーナーに対して合わせようとした柏の選手の首に、福岡側の誰かがラリアットを見舞い、さらに福岡のGK小島伸幸がエキサイトしたところへ、柏のマリオGKコーチが飛び出し、小島を羽交い絞めにする格好になった。小島は、何か紳士的でない言葉を吐いたのか、あるいは小さなファールやぶつかることで「報復」を試みていた北嶋の尻を、後ろから抑えられながらも蹴り飛ばす。スタンドから飛び出してきたピッコリ監督が止めるかと思いきや、これまた火に油を注ぐ。
 マリオGKコーチに向かって、「マカッロ!」とポルトガル語で「猿」と蔑称したため、マリオが監督に右ストレートを繰り出した。ここは、完全にブラジル対アルゼンチン戦の様子となり、マリオコーチは、本来スペイン語を話すピッコリ監督がわざわざポルトガル語で「猿」などと言ったことに激怒したという。
 後は、小島から北嶋にパンチが入り、北嶋も北嶋で福岡の久永にボディブローを見舞うなど両者収集がつかなくなったために、主審はそこでホイッスルを吹いたが、鳴らすのはゴングでも良かったようである。

 乱闘に理論的な理由など存在しないし、見つけるのもバカバカしい。どちらがいいか悪いか、フェアプレーの是非を問うのも全く無意味で、言い分も何もあったものではない。
 この試合は、パンチの伸びや語学力を点検するためではなくて、2001年シーズンを戦う準備のために行なわれていたはずである。
 問題はただ1点ではないか。
 両チームとも、昨年1分に泣いたりしなかったか。たった1分で試合を失ったことはなかったか。あったはずだ。
 それなのにこの日、たった2分でも3分でも、多くのスポーツ選手にとって「神様」といえる時間を粗末に扱い、試合終了をきちんと果たせなかったことを、「スポーツマン」として振り返って置くべきだ。それだけだ。


「ワンボランチも……」

 チョコレートの紙袋を左手に持ち、サインをするために右手を動かしながら、柏の明神智和は「残念でした。あんな結果で。ゲームのキャプテンでしたから責任も感じています。ワンボランチになってからの課題が多かった」と、チョコの数とは裏腹に浮かない様子だった。新加入の柳想鐵がまだ合流していないために、柏の戦い方も現時点ではそれほどクリアにはなっていない。その中でもっとも注目されるのが、明神とのボランチ。しかし、西野監督の目論見には、高い位置での攻撃力もある柳を前に出して、明神ワンボランチというオプションもあるようだ。この日の起用は、そうした青写真の一端をのぞかせるものだった。
「本来は柳とのコンビで考えているが、明神が一人で幅数十メートルのカバーに耐えうるかどうかもみたかった」と監督は言う。18日からは、その明神、GK南雄太、大野、平山智規、北嶋ら5人が代表キャンプに招集されている。またもや分解状態での建築に取り掛からなければならないが、それでも明神のワンボランチの可能性など、パーツ、パーツでの耐久度を確認できたことが、この15日間の合宿における収穫となった。


★W杯チケット関連速報★
「またもや、ドタキャン」

 2002年FIFAワールドカップ日本組織委員会(JAWOC)は14日夜、15日から開始する入場券第1次販売の申し込みについてインターネットでの受け付けを延期すると発表した。発表はファックスの告知で行なわれ、その中には、詳細や理由などは明記されておらず、「FIFAからの要請でインターネットによる申し込み受け付けが延期されることとなりました」とだけ書かれている。FIFAからのインフォメーションはHP上に掲載されているが、ここでも詳しい理由は明らかにされていない。
 昨年の10月からインターネットでの販売が開始される予定だったものが、その際にも突然、システムの不備を理由にキャンセル。これを延期して万全の準備をするとしていたはずが、またもドタキャンとなった。組織委員会は、こうしたFIFAの態度に翻弄される格好となっており、遠藤総長は「現在、原因を含めて情報を収集中です」と、困惑した様子でコメントしている。
 なお、郵送による申し込みは予定通り、15日から全国25,000か所の郵便局、9か所のオフィシャルショップで申し込み用紙の配布を開始する。15日、JAWOCは記者会見を開いて、説明をすることになっている。

遠藤総長のコメント(JAWOCからのプレスリリースより)「多くのファンの皆様が期待していたインターネットでの申し込み受け付けが、FIFAからの連絡により突然、延期されたことは大変遺憾です。JAWOCとしては、インターネットでの申し込み受け付けについて、日本のファンのニーズの(原文ママ)応えるよう万全の準備をしてまいりましたが、こういう事態になり、まことに残念です。現在、原因を含めて、情報を収集中です」

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