Immunostain

 
 

   免疫染色

病理診断における免疫染色は腫瘍の鑑別診断ないし予後因子の同定を知るうえでも非常に重要な診断検査である。特に、癌と肉腫あるいは悪性リン パ腫等の鑑別には不可欠な検査である。

Micro Probe Staining Station の検討

 ー免疫反応における温度と反応時間の検討ー 小川勝成. 病理と臨床 1993,11:1457-1460

Fisher社製免疫染色装置Micro Probe Staining Stationを利用して30〜80℃間の検討を実施したところ、50〜70℃で温度の上昇に伴い染色性の向上を認めた。特に 本装置を用いた場合、60℃に設定する事により染色時間の短縮と染色性の向上を認めた。免疫反応の増強に加 熱処理が重要な事が証明できた。また、この発表を前後して免疫反応における電子レンジ等を用いた賦活処理が一般的になった。以下に関連する文献を示す。

『病 理技術研究会』における最近の発表より抜粋

  1. ホルマリン固定・パラフィン包埋切片のマイクロウェーブ処理による抗原性の回復
     国立がんセンター研究所病理部 鈴木 直:病理技術 46巻
    (病理と臨床 1992,1191-1197)
  2. PCNAおよびp53蛋白の免疫組織化学:ホルマリン固定パラフィン切片における抗原性賦活化の至適条件
     東海大学附属病院病理診断科  川井 健司:病理技術 47巻
  3. 加熱処理による各種抗原の染色性の変化について
    浜松医科大学病理学第一講座  五十嵐久喜:病理技術 47巻
  4. ホルマリン固定パラフィン包埋切片の加熱処理によるPCNA,Ki-67の抗原性賦活法の検討  − 90℃加温法,オートクレープ法 −
    ダコジャパン株式会社技術部   橋詰 薫:病理技術 48巻
  5. 免疫染色におけるマイクロウェーブ処理と酵素処理の組合わせによる抗原性賦活化の検討
    国立がんセンター中央病院検査部 岩井みなと,他:第49回 病理技術研究会



     病理部における免疫染色の現状

    当検査室において1996年6月に導入されたサクラ全自動染色装置IHS-20についてその使用経験とその評価について述べる。サクラ全自動染色装置IHS-20は、 反応トレイにスライドガラスを下向きに載せ毛細管現象で試薬を浸透させるキャピラリー方式である。その性能は1)処理枚数は最大20枚 2)三種類のタイムスケジュールプログラムを記憶できる 3)複数の異なった染色プログラムを同時処理が可能である 4)4℃、室温、37℃の三段階から処理温度を選択可能5)試薬分注量は200、300、400μl の三段階から選択可能 6)レポート作成が可能である。現在、賦活処理と組み合わせて二種類のタイムスケジュールプログラムを 用いて使用しています。特に、がん遺伝子シリーズとリンパ腫シリーズでは、週4回程度使用しています。



     * 私が使用している抗体希釈表を掲載致します。染色方法はSAB法で反応時間は1時間です。

    病理部使用抗体一覧 99/6/28

    リンパ球系抗体の希釈倍率を変更いたしました。
    今回 検討した結果、かなりの高倍率希釈でも使用可能です。                               


    悪 性リンパ腫における最近の抗体
     
以前、凍結切片でしか染色不可能であった、CD3,CD8等の抗体がパラフィン切片での染色が可能となり、悪性リンパ腫における診断の向上が 期待される。
CD5        T cell (thymocytes), Mantle cell lymphoma
CD10        immature T cell ,Follicular lymphoma
         Burkitt's lymphoma
Cyclin D1    Mantle cell lymphoma
CD56(NCAM)   NK cells,neuroectodermal tumors
bcl2        Follicular lymphoma


病 理部に新しく入れた抗体

   抗ムチンモノクローナル 抗体 M-GGMC-1(HIK1083)

胃で分泌される3型粘液を染める抗体です。子宮頚部の悪性腺腫等で陽性となること が報告されています。
Muc-2 Glycoprotein  colon and gastric tumors
HGM-45M1 Human Gastric Mucin
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