きまぐれ日誌 960316



先週の土曜日。またplanBに出かけた。歩いていける近所にあるのは便利なことこの上ない。今の住みかに住みはじめてから、5年近くになる。あの場所はずっと気になっていたのだが、前を通りすぎるだけだった。機が熟して、気が集まって縁ができたということなのだろう。

先週土曜日のイベントは、相倉久人さんのパフォーマンス・ジョッキー「重力の復権」だった。映像方面に疎いぼくにとっては実に勉強になるキワモノ映像を見せていただいた。ビデオ操作を映像作家の黒川芳信さんが担当されていた。前月のミーティングにおいてテーマを設定し、そのテーマに沿った映像を相倉さんが集めて、構成され、その映像を映しつつ、絶妙のトークと解説を展開されるというパフォーマンスである。

明和電機、ナム・ジュン・パイクのパフォーマンス・ビデオ、「ハタリ」、初期のCG作品、「Max Head Room」、「JM」、マイケル・ジャクソンのモーフィングとローテク・モーフィングの作品の対比等。今回のテーマは「ロー・テク」というもの。PCなどのハイ テクのマス・プロのおかげでテクニックが蔓延するなかで、実にさまざまなロー・テクの方が表現として鋭い、何かが伝わる・・・。こういうことを認識するに十分なさまざまな映像であった。相倉さんの見識を共有させていただけるだけで、十分に勉強となる「コンテンツ道場」のような「場」であった。

パフォーマンス終了後、planBの会議室で次回のテーマについてのディスカッションがあった。「ぼくたちが決めちゃうと、拡がらないので」という相倉さんのお考えで、毎月行われるパフォーマンスのあとで必ず次回テーマをディスカッションしているのだそうだ。この姿勢に感激した。「帰郷」等々の提起があったが、ぼくが「病気を治す----という意味の『癒す』というのはどうでしょう」と提起したところ、採用されてしまった。次回は4.26。これは行かねばならない。どんな映像に出会えるか今から楽しみである。

相倉さんのコレクションには驚く。近々引っ越しをしなければならない事情なのだそうだが、それが憂鬱であると。アナログのレコードが数千枚。CDが数千枚。本と雑誌が1万冊くらい。ビデオ・コレクションが数千本。数tトラックを使わなければ無理だろうとのことであった。わがアジトでは、アナログレコードなし、CDは10分の1以下、本と雑誌は20分の1くらい、ビデオがその100分の1。それでも引っ越すなんて事態になったら結構パニックになりそうなのだが、このコレクションたるや驚嘆である。

残念でならないのは、オーディエンスが少なかったこと。相倉さんの勤め先の教え子とおぼしき学生さん(皆、女性でしたが)と渡辺さんというぼくより多少年代がうえの方とぼくだけだった。あまり大規模になってもあの打ち解けた雰囲気がなくなってしまう ので、何だなと思うのだが・・・。

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(960316)




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