丸の内も有楽町も空地だらけだったな……
勝利の日までビル建設もじっと我慢の空地だ
ふと秋風に戦争知らないバッタが跳ね遊ぶ

　　虫籠のバッタ眺める軍国少年……
　　戦中平気のバッタ雌雄が仲良く交わっている
　　イナゴなら甘辛煮にして食っちゃうんだぞ！
　　天高く腹減る昭和の軍国少年つぶやいた

サイレンが鳴った、空襲警報だ！
家の前の路に浅く掘った防空壕に駆け込む
向かいの置家の芸者も飛び込み、壕内は二人きり

　　近くに爆弾が落ち、キヤツ！　と抱きつかれた
　　少年の大和魂が凹み、チロチロと秋の虫が笑う
　　綺麗な芸子だったよ……昭和老人の淡い自慢話