The art of getting help 助けの求め方

助けの求め方

The art of getting help
Virginia Shea著 Netiquette、(翻訳版は「ネチケットひつじ書房刊)
で脚注にあがっているPhil AgreさんのファイルThe art of getting helpを
ご本人の承諾を頂いて翻訳掲載するものです。(1996年10月8日)
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                T H E  N E T W O R K  O B S E R V E R

  VOLUME 1, NUMBER 2                                 FEBRUARY 1994  

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  このファイルにはThe Network Observerからの"The art of getting help"という
  記事がはいっています。これはインターネットのディスカッショングループ
  を調査プロジェクト等で援助を求めるため使う場合のガイドラインを提供するもの
  です。専門家のコミュニティーを築きあげるためにインターネットを使うという
  ことについて論じたより長い論文は、以下のメッセージを送れば入手できます。

    To: rre-request@weber.ucsd.edu
    Subject: archive send network

   TNOの、この記事(原文)はWorldWide Webでは下記で読めます。:

   http://dlis.gseis.ucla.edu/people/pagre/tno/february-1994.html/



  RREアーカイブの全索引は以下のメッセージを送れば入手できます。:

    To: rre-request@weber.ucsd.edu
    Subject: archive send index

  Subscriptionおよび著作権についての情報は、このファイルの一番下にあります。 
  配布自由。

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助けの求め方

Risks Digest 15.57で、Dan Yurmanは、インターネットでの憂れうべき新現象について苦情をのべています。"学生が、まず大学の図書館でこそ探すべき情報を調べるのに、テーマ別Listserves(ニューズグループ)を手軽な頼みの綱として利用してしまう。"というのです。Danは、大学の授業で、環境問題についてのレポートを書くのに、Listserveグループに書き込まれたメッセージを使うように指導された学生の話しを書いています。その結果、エコロジーの専門家のグループに対して、基本的な質問が洪水のように押し寄せるのです。このDanの文章、そのもの自体価値のあるものです。(日本語訳文)RREアーカイブに下記の様なメッセージを送れば入手できます。

 To:rre-request@weber.ucsd.edu
 Subject: archive send courtesy

Danによれば、基本的な問題は、ティーチングアシスタントも学生も、インターネットの先には人がいるということがわかっていなかったことにあります。目の前に見えたのは、答えをだしてくれるコンピューターだけだったというのです。それは事実かもしれません。私には、この話はより広範な重みのある問題を提起しているように思われます。つまり、学生に、インターネット上、インターネット外、それぞれの場における援助の求め方を教えるという課題です。大学で教師をした私の経験から考えても、大半の学生は援助の求め方について、ほとんどわかっていません。たとえば、教師の勤務時間中に尋ねていって援助を求める場合には、どうしても誰かに服従する様に感じてしまいます。こうした感情をもってしまうのは、教育機関という環境内にあることが原因かも知れません。私がここで問題にしたいのは、そういうことにたいしてどうすべきか、これにたいしてインターネットはどう役にたち、あるいは役にたたないのかという点です。

まず、3つの当然な事を認めることから始めるべきでしょう。 (1)あらゆる自前のプロジェクトで、人の助けを必要とし、助けを求めるのは、当然のことです。そして (2)助けの求め方というのは、技術なのです。そして (3)生まれつきそうした能力をもっている人はいないのです。 助けを求める場合、基本的なきまりは何でしょう? いずれも、あまりに当然のことばかりと思われるかもしれませんが、初心者にとっては決してそうではないのです。 以下の文書を、初心者の人々か見つけやすいところに置いておくと良いでしょう。

 *自分が調べようとしていることついて説明ができること。
自分が調べようとしていることについて、相手が理解できるような言葉で説明できない場合には、一度振り返って、自分は何をしようとしているのか、よく考えてみましょう。

 *聞きたいことが何かが、自分でわかっていること。
誰かに相談する必要がありそうな気がするからといって、あなた自身、相談すべきことがよくわかっているとは限らないのです。聞きたい質問自体を、自分ではうまくまとめられないという場合には、まずその質問をまとめるための助けを求めましょう。

 *当然なものを最初に調べておきましょう。
しかるべき参考書、つまり百科事典、年鑑、カード索引、電話帳などを調べずに、他人、あるいはよく知らない人にものを尋ねてはいけません。自分で当然すべき調査をせずに人にものを尋ねるというのは、強い反感を引き起こすことが多いのです。

 *図書館の司書の人と仲良くしましょう。
司書の人は、そもそも情報を探そうとしている人をお手伝いしたいという気持ちがあるから、その仕事を選んでいるのです。情報の探しかたが良くわからないという場合は、司書の人に相談してみましょう。インターネット上よりも、ずっと良い、しかも我慢強い対応をしてもらえるでしょう。 相談のしかたがわからない時には、たとえば「Xということがらで調べものをしていて、Yについての情報をみつけたいのですが。こういうことはどなたに相談すればよいのでしょうか?」という具合に。

 *質問は、ふさわしい相手にたずねましょう。
自分の質問は、果たして基本的なものなのか、高度なものか考えましょう。 高度な質問でない限りは、専門家にたずねてはいけません。 司書の人に、基本的な情報の探し方について相談するのはかまいません。

 *背景も説明しましょう。
質問そのものだけで、すぐ調べたいことがわかるようなものでなければ、最初に何のことがらについての調査なのかを説明しないと、質問だけではほとんどの人にとって意味がわからないでしょう。

 *インターネットにこだわらないように。
インターネットというのは情報資源、コミュニケーションメディアという大きなエコロジーの一部にすぎないと考えましょう。単にインターネットが流行だとか、簡単だから、という理由でそこに答えを求めないように。現状、インターネットには、非常に強い部分もあれば、非常に弱い分野もあるのです。

 *ちょっとした配慮を。
人にはあなたを救ける義務はない、ということを心に留めておきましょう。人は皆忙しく、あなた同様に自分の生活があるのです。そこで、質問をメモですませようとはしないように。きちんとした文章をかいて、つづりにも注意を払いましょう。英語圏でない人がわからないような言い回しは避けましょう。皮肉なユーモアを盛り込もうなどと考えないように。皮肉なユーモアは、e-mailではうまく伝わりません。一つか二つの文で自己紹介しましょう。文末にはたとえば「何らかのご提案をいただければ幸いです。」といった丁寧な文章をおきましょう。

 *人の役にたつようにしましょう。
あなたの質問が、他の人にも興味がありそうに思えたら、入手した答えをまとめ、興味のある人には誰にでも提供するようにしましょう。該当の話題について役立つ情報ファィルを作って保守したり、同じ立場の人にそうしたものが手にはいるということを広めるようにするということも考えて見るとよいでしょう。

 *誰にたずねたらよいかをたずねましょう。
「どなたも回答をご存じでなければ、どなたか知っていそうな方を教えていただけますか?」というような文章をいれておくようにしましょう。下記の様なたずね方をするというのも良いでしょう。つまり、「どなたか、Xについて教えていただけますか?」と書く代わりに、「どなたか、どうやってXについて調べればよいのか教えていただけますか?」とするのです。

 *Reply-toフィールドを活用しましょう。
ヘッダ部分だけでは、書き込んだ人がだれかはっきりしない場合には、メッセージにあなたのe-mailアドレス署名をいれましょう。

 *お礼をいいましょう。
あなたの依頼にたいして好意的な回答をくれた人にはそれぞれに簡潔なお礼のメールを送りましょう。最初の依頼の文章中には、「あらかじめ、ご協力に感謝します。」といった決まり文句は書いておかないようにしましょう。こうした文章は、インターネットはさらに非人間的な雰囲気にしてしまいます。

 *時間をかけましょう。
かならずしもすぐに回答がもらえるわけではありません。また、かならず答えをもらえるとも限りません。インターネットの使い方を覚えるには多少の時間がかかります。それが人生です。

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  Philip E. Agre
  Department of Information Studies
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翻訳:小原信利
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この文章は、http://www.asahi-net.or.jp/~IR4N-KHR/gettinghelp.htmlにあります。
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