研究テーマ->楽器->オリジナル楽器の制作
センサーからの値で音を出すという装置を仕事で制作をする機会が何回かありましたので、所見をまとめてみました。超音波センサーとか、二酸化炭素の濃度センサーとか、そんなものを使って音が出るアート作品もありましたし、運動量をはかる健康器具的なものもありました。ちなみに、電子楽器ではありませんが、自分では、風鈴楽器 というものを制作したことがあります。(電子楽器ではないが、電気は使用します。)
参考ビデオ1 参考ビデオ2 参考ビデオ3は、DTMマガジンで使用したビデオの一部です。編集部に、まるごとそのまま載せるのでなければ使っていいよ、と言われたことがあったので、一部を削って、コソっと載せていますが、関係者の方で、問題があるという方がいる場合は掲載中止しますのでご連絡ください。
 
センサーを使用した電子楽器
センサーを使用した電子楽器を制作したり、制作のお手伝いをしたりする機会が何度かありましたので、そのことについて考えをまとめておきたいと思います。
このような楽器の場合、その構成を下記の2つに大きく分けられると思います。
センサー機構 超音波センサー、タッチセンサーなど、なにか周囲の状況の変化をとらえるためのセンサー部分です。たとえば、電子ピアノでは、この部分は、白鍵、黒鍵と、その下につけられたタッチセンサーということになります。トランペット型の電子楽器では、息の流れを感知するブレスセンサーと、指の動きを感知するボタン(タッチセンサー?)などの組み合わせになります。
発音機構 実際に音を出す電子音源のことで、たとえば、電子ピアノでは、サンプリングされたピアノの音を合成し、スピーカーから音を出すという仕組みが備えられています。
思い切って、MIDI出力ということにしてしまうと、発音部分は不要で、MIDIの出力を他のMIDI機器に接続するということで楽器が成立します。
逆に、モーターなどと接続して物理的に音を出すような仕組みをそなえたりすることも可能です。
マッピング・ソフト このような楽器では、センサーからの値として取得した周囲の状況の変化によって、どのように発音を行うかという関連付けを行う仕組みが必要です。たとえば、超音波センサーを利用して、人が近づいてきたら、距離に応じて、だんだん高い音を出すなど。
電子ピアノでは、反応のあったセンサー(打弦されたタッチセンサー)の位置に対応させてドレミの音をだしたり、打弦が強ければ音を大きく、弱ければ音を弱くするという関連づけ(マッピング)が行われています。この場合、打弦が強ければ必ず音を大きくしなければならないということはなく、逆に、強く打弦するほど、音を小さくするというような関連づけも可能です。
楽器に必要な条件
楽器としておおくの人に受け入れてもらえるには、いくつかの条件があると思います。
 
最初に演奏するときのハードルが低い事 その楽器を長くつづけるかどうかは別にして、最初に、どんなものか、ちょっと弾いてみよう、という状況があります。このとき、音を出すのが非常に難しいようだと、楽器として広めるにはかなり苦しいと思います。たとえば、トランペットやサックスなどは、それまで演奏をしたことがない人であれば、音を出すだけでも大変です。古くからあり普及している楽器ならそれでいいかと思いますが、新しくつくる場合は、ちょっと考えたほうが良いでしょう。
一方、おもちゃの鉄琴などであれば、ある程度の音が簡単にだせます。もっと簡単なのは、打楽器でマラカスなどは幼児でも音が出せます。
私の考えでは、すこし説明を聞いたあと、「きらきら星」ぐらいの曲の演奏が、誰でもができるようなものが望ましいと思います。
練習に時間をかけたら、かけただけの上達が望めること 簡単に習得できても、すぐに飽きるようではこまります。たとえば、ギターなどであれば、初心者は初心者なりの演奏が、上級者は上級者なりの演奏が楽しめます。練習によって楽器としての限界がすぐにきてしまうものはダメで、いわゆる「奥が深い」というようなことが望まれます。
ある程度の音は、すぐにだせて簡単に演奏が始められるが、練習によってどんどん上達し、さらに凄い演奏ができるようになるというのが理想です。
 
音の数
新しい楽器を考える際に、選択しなければならないことがいくつかあります。そのもっとも重要なものが、出せる音の数だと思います。出せる音の数を多く使用とすると、センサーの数も多くなりますし、演奏の習得も大変になります。
微分音を出せるようにするか ピアノなどの楽器は、ド、ド#、レ、レ#…など、きまった音しか出せません。、ド、ド#の間の音を出すことはできません。一方バイオリンは、指の位置をド、ド#の間におくと、ド、ド#の間の音が出せます。微分音を出せるようにする場合は、そのための仕組みが必要ですし、演奏者もそれを習得しなければなりませんので大変です。
和音を出せるようにするか 和音を出すためには、仕組みづくりと演奏の習得が大変になります。演奏の習得を軽減するために、なるべく、不協和音が演奏しにくいようにしておくということが考えられます。たとえばギターは6本の弦をひくさい、音の間隔が適当にばらされていますので、隣接する半音の音を弾いて、不協和音を出すということがしにくいようになっています。また、フランス・シターという楽器では、伴奏のための和音があらかじめ用意されていて、和音の構成音を1つ1つ選らんで弾くのではなく、あるひとかたまりを弾けば、目的の和音が発音できるという構造になっています。
音域 ピアノは例外的ですが、たいていの楽器は2〜3オクターブ内の音域 で演奏するようになっています。音域を広くすると、楽器を大きくしなければならない可能性があります。
音階 ド、ド#、レ、レ#…など、オクターブ内の12音すべて発音できるようにすることもできますし、あるいは、ドレミファソラシドと、半音をのぞいた8音だけ発音できるようにすることもできます。さらに、ドレミソラなど、ペンタトニックにしぼったりすることもできます。打楽器的なものだと、なにか1つの音だけで良いということにもなります。
もちろん、音の数が多いほど、演奏は大変になりますが、習得の甲斐もあります。逆に、ペンタトニックだと、初心者がでたらめに演奏してもなんとなく音楽に聞こえるという、とっつきやすい面がありますが、練習しても、ある程度以上のことは望めないということになります。
楽器ではなく人の動きを反映する演奏装置を作る方法
人の動きにあわせて、発音を変える楽器を作るのではなく、ある程度の演奏は自動で行われ、指揮者的に、テンポや各音色の音量を変える装置を作るということも考えられます。装置の構成としては、楽器の場合と同じように、センサー、発音装置、ソフトということになります。
参考ビデオ1で、カメラをセンサーとして使用し、指揮者のように音楽をコントロールする方法を紹介しています。
演奏の動作と出てくる音の関連が見ている人にも分かることが大事
電子楽器を制作する際に注意しなければならない点として、演奏の動作と出てくる音の関連が見ている人にも分かるようにしなければならないということがあります。
通常の物理的な仕組みで発音するギターなどの楽器では、演奏の動作と、出てくる音の関係が、見ている人に分かりやすいです。しかし、電子楽器の場合は、これを、分かりにくく作ることも可能です。
たとえば、昔、YAMAHAの製品で、ミブリという楽器がありました。上下のスーツにセンサーが仕掛けられていて、手足を曲げたりすると、その角度によって、音の高さが変わり、演奏ができるというものです。言い換えると、ダンスのような動作をしながら、演奏ができる楽器です。このミブリの演奏がとっても上手な大久保宙さんという人の演奏を見たことがありますが、あまりに演奏が上手なため、仕組みを知らなければ、ダンス的な動作で音を出して演奏しているというよりも、単に、流れてくる音楽にあわせて、ダンスをしているというふうに見えてしまいます。
この状況をもうすこし分かりやすく言うなら、あまりに完璧に歌う歌手がいたとして、その人がライブ演奏で歌うのをみたときに、「口パク」に見えてしまうという現象です。多少、音をはずして歌えば、生で歌っているということが分かるのですが、完璧に歌うと、「口パク」に見えます。とくに、発音の仕組みが認知されていないような新しい楽器だと、この現象が起こる可能性があります。
参考ビデオ3の後半で、ミブリの演奏を見ることができます。(DTMマガジンで使用したビデオの一部です。編集部に、まるごとそのまま載せるのでなければ使っていいよ、と言われたことがあったので、一部を削って、コソっと載せていますが、関係者の方で、問題があるという方がいる場合は掲載中止しますのでご連絡ください。)
センサー機構
色々なセンサーについては、インスタレーション作品の制作メディアアートで使用される入力装置 〜楽器編で紹介しています。
一般的な電子楽器では、タッチセンサー、ブレスセンサーなどが使用されます。
少し変わったセンサーを使用して、楽器のようなものを作っている例を参考ビデオ2で見ることができます。
発音機構
いわゆるシンセサイザーで、サンプリング形式の音源や、FM音源、その他の仕組みなど、色々と感がられます。
マッピング・ソフト
音の高さや音の大きさをセンサーからの値によって、どのようにするかを決めるプログラムです。


太鼓演奏ロボット こさんくん