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アンコールトム、バイヨン
Angkor Tom, Bayon
13 26 28.53N,103 51 31.55E

 アンコールトム南大門

 アンコールワットより後から造営されたアンコールトム、その中心がバイヨンです。訪れる人たちみんなあまり疑問を持たずに観光してしまいますが、両方を見ると不思議な取り合わせだという気持ちがどんどん沸き上がってきます。何でワットのヒンズーからトムの仏教になったんだろう。単に王様の信仰、趣味(?)だけでそんなに簡単に変わって良いものなんだろうか、というのが最初の疑問。そして片やワットは寺院そのものだが、こちらトムは都市といっていい空間を抱えている。そもそもアンコールトムというのは大きな都という意味だとか。とすると、ワットの時は人民は勝手に回りに住んでいたんだろうか。それがトムの造営に合わせ、南大門の中に移り住んだんだろうか。何でトムだけ南大門、西大門などを設けたのだろうか。平城京も平安京もしっかり人民が住むところが用意されていただけに、この脈略のなさが疑問なのです。仏教系だけ、日本のそれのルーツのように中国風の町の作り方をしたからだろうか(結構当たっている気がします)。では、ヒンズーの時はどうしていたんだ? 大寺院でも熱帯のジャングルの中に隠れていた位だから、庶民の暮らしの痕跡は何もなく、その生活ぶりを、ここの壁画で窺い知ること位しかありません。
 観光コースは、朝最初にアンコールトム、そしてタ・プロム、午後アンコールワットと進んでいきます。ここでも年代順ではなく、行った順に並べることにしてみました。
 
 アンコールトムへの入り口は南大門です。ロケーションとしては日本の寺院でいう南大門ではなく、平城京、平安京でいう朱雀門にあたります。朝の時間帯はさあこれから見学に行こうという世界各国の人たちで一杯でした。都の南正面の守りを委された大きな門からいよいよトムに入っていきます。
 ここの特徴は、観世音菩薩の大きな顔でしょう。顔だけを建物に埋め込むという大胆な表現が何ともこちらっぽいというか、非常なる存在感を出しているのです。こういう造形は多分世界中何処にもないのではないでしょうか。カトマンズは目の寺院が特徴の眼差しの町なのですが、ここは仏の顔の町だったのでしょうね。造形の中にこんな大きな顔を入れるなんてとにかく凄い発想です。最初の南大門からその大きさに圧倒されます。大昔の映画にショーンコネリー主演の「未来惑星ザルドス」というのに、支配者の化身として大きな顔面が空中に浮かんでいる映像がありましたが、ここの菩薩は仏のご加護、そして王の力の象徴として訪れる人々を圧倒させていたはずです。

バイヨンの参道に構える兵士達? 五頭身位しかないから、結構愛らしい アンコールトムの南大門を入った所。象の人、車の人、取りあえず回りを見る人と、かなりごった返しています。しかし何という顔、頭の表現なのでしょうか。でも上部と下部とのバランスが悪いとは思いませんか。上部は何処も同じパターンで作られ、下部だけ門としているからかな

 バイヨンはアンコールトムの中心に位置する寺院です。須弥山をイメージし、中心に向かって聳えさせる形は、進むに従って徐々に高みへと誘います。そして至る所に菩薩の顔が・・・惜しむらくは、保存状態があまりよくないこと。それをここに求められても、という気にもなりますが、石の固さがワット程には無い気がしています。ワットはなんやかんや言っても内部空間があちこちしっかりと残っていますが、こちらはあまり残っていない。中央の塔も石の部材の形が目立つようになってしまっている。そこがしっかりしていたなら、アンコールワットを超える力強さを伝えられたのにという気にさせられます。でもワットより親しみを覚えた私でした。

入っていこうとすると、観光地の喧噪が待っていました。現地の人も衣装を着て頑張っています。 菩薩の顔が3つアングルに入るというポイント。穏やかな顔です。
菩薩の顔の表情は、皆違います。何処に行っても存在感がある。 周囲の回廊に描かれたレリーフ。これは行進するクメール軍でしょうか。ここいらの精緻さは、ワットの方が上ですが、庶民の暮らしなんかがあって面白い
13 26 44.39N,103 51 21.73E
バイヨンの直ぐ北にあるピミアナカス。赤みがかったラテライトで出来ていることから、バイヨンよりかなり以前の11世紀の建造とか。そしてこれはヒンズーです。ということは、バイヨンはこうした以前の建造物を避けるようにしてこの地に作ったことになる。不思議です
象のテラスと呼ばれる王宮前のテラス。壁面から立体化させるなんて、なかなか憎い演出です。象は一杯いたんでしょうね。蓮の花をからめているとか。
アンコールトム、バイヨン

アンコール、ホーチミン