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総社、備中国分寺

Soja, Bittyu Kokubunji Temple

宝福寺 34 41 28.75,133 44 03.12
備中国分寺 34 39 58.25,133 46 55.56

 総社から国分寺へのルートは、五重塔が徐々に近づいてくるのを実感出来る道でした。

 備中国分寺を訪ねるには駅から遠いため、レンタサイクルがよく使われているそうです。確かにアクセスを調べると、総社駅から車10分としか書いてありません。レンタサイクルは総社駅と備前一宮駅にあり、往復しないで済むような仕掛けになっています。ルートは総社スタートの方が一般的。確かに上流スタートの方がこれだけ平らでも違うかもしれません。
 
 一番心配したのは天気です。吹屋では曇り時々大雨というあいにくの天気でしたけれど、まあ建物の中にいればそれをしのげるのですが、自転車だと苦労します。翌日もあまり代わりばえしない空の下での中スタートです。
 
 最初に訪れたのは宝福寺という、総社市から北へ1kmほどいった所のお寺でした。観光案内所でもらったパンフを見ていたら、おや重文の三重塔があるお寺がある。ここから近いというので、急遽訪ねたのです。そこまでリサーチしていませんでしたが、さっと行けるあたりが自転車のいいところです。
 
 本堂では仏事を行っているらしくお経が聞こえてくる中、仏殿を過ぎると三重塔が目に入ってきました。バランスの取れた美しい塔です。思いもかけずにこんな塔と出会えて、実に得した気分になってしまいました。ここいらが西方面の底力かもしれません。

宝福寺三重塔。予想していなかっただけに実に新鮮な出会いでした。この旅一番の収穫かもしれません。この写真の雰囲気は、京都岩船寺三重塔の雰囲気に似ていると感じました。紅葉の時期は一段と奇麗でしょうね。
仏殿を見る。丸窓が禅宗っぽいですが、特にそういう関係はなさそうです。池には蓮が覆ていて、あちこちに蓮の花が奇麗でした。
階段もとても柔らかい印象です。大地と一体となっている感が伝わってきました。

 宝福寺を後にし、総社市まちかど郷土館、総社宮を訪れ、その先は田んぼのあぜ道をひたすら東へ走っていきます。

 このルートのハイライトは、備中国分寺でしょう。田園風景の中にそびえる五重塔というのは、実に映えるものです。そうやって改めて考えてみると、三重塔と五重塔というのは、似ているけれど見え方、主張のし方は全く異なるという気がします。三重塔はどこでもあくまでも控えめです。近くに行かないと目に入らない.いわば塔なのだけれど密やかに存在します。その点五重塔はやはり高さを主張。京都の東寺や八坂の塔、奈良だと興福寺、そして法隆寺。どこもたっぷり主張しています。例えば興福寺には両方の塔があるのですが、皆さん五重塔ばかりに目が行き、三重塔を目指す人が殆どいないというのが厳然たる事実ですから。 
 
 そして備中国分寺は、ひょっとして一番遠景で映える五重塔かもしれません。田園の中、かなり遠くからでも視覚に入るというのがここの強み。木立に囲まれてといったレベルを超え、すくっと聳えている様はなかなか絵になります。江戸の塔ならではの間延び感も、遠くからの見え方だとかえって引き立つのが不思議なものです。
 
 自転車だとアプローチの妙があり、車のように一気ではなく、歩いてのなかなか近づかないものでもなく、確実にじわじわと大きくなっていく見え方の移り変わりがが心地よいものでした。
 
 国分寺は上からの押しつけで造営させたから、全国にあまり残っていないというのが通説になっていますが、その中でここはかなりましな方でしょう。戦火、雷などの災害を乗り越え、その都度再建を果たし、今に伝えることが出来た、ささやかな寺院です。

五重塔が近づいてきました。緑の水田が正に日本ですね。のんびりと自転車をこぎ、そのアプローチのプロセスを楽しみました。
ここまで来るとプロポーションがはっきりしてきて、どう見ても江戸の塔というのがよく分かります。 途中で出会った白サギ。結構のんびりとエサをついばんでいました。

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