年始年末
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04/02
日曜日。一昨日来た次男が、わたしが寝ている間に帰っていった。結局、一昨日の夜中に、数語、言葉を交わしただけだ。まあ、父と息子というのは、そういうものだろう。
04/03
「青春U」少しずつ進んでいる。ここ数日、正確に言えば金曜日と日曜日に、夏の仕事2件が入った。一つはまだ企画段階だが、もう一つはほぼ決まっていて、あとは日程の調整だけということらしい。ということで、この「青春U」の仕上げにタイムリミットができた。書き下ろしの仕事というのは、事実上、締切なしでやっているようなものだが、次の仕事が決まると、自動的に締切ができることになる。もちろんずるずると仕事をしていたのではプロとして生活できないが、大学の先生をやっていると少し気がゆるんでしまう。とにかく夏の仕事は緊急なので、「青春U」はそれまでに仕上げないといけない。これはただならぬ事態である。
04/04
「青春U」のタイムリミットができたので、集中しなければならないところだが、「青春T」(集英社文庫)のゲラの前半が届いた。後半は明日、担当編集者が届けることになった。といってもすぐにはとりかかれない。とにかく明日、担当編集者と会って、必要な修正ポイントを聞いてからにしよう。と思っていたら、教材出版関係の裁判の判決が届いた。ずっしりと重い文献である。これもチェックしないといけない。ざっと見たが、妥当な判決である。というか、数年前に、法律には素人のわたしが直感的にこうなるのではないかと思った方向に進んでいる。
04/05
集英社の編集者来訪。「青春小説T」のゲラの後半を受け取る。この作品、まだタイトルが決まっていない。いちおう、「すべりどめ」というか「かりおさえ」というか、候補を一つ挙げた上で、ゲラを返すまでの間、さらに考えることにした。夜は赤坂のあたりで某国会議員と会食。お友だちが一人ふえた。
04/06
目の手術。生まれつき軸がずれていたみたいで、左に首を傾けるクセがあった。肩こりがひどくなったので医者に見てもらった。六十歳近くなって気づくのも妙な話だが、あと二十年は生きるつもりなので手術をすることにした。簡単な手術といわれたが、目の手術なので目をつぶるわけにいかず、メスが迫ってくるところが見えた。コワかった。本日はガーゼをあてているので片目のままである。
04/07
目医者に行ってガーゼをとった。目は見えているが、結膜が真っ赤だしまぶたも腫れている。涙も出ているので焦点がうまく合わない。軸のずれはなくなったようだが、まだ両目の焦点がピタッと合わない。リハビリが必要である。
04/08
目は腫れたまま。急速に回復するというわけではないので、仕事をするしかない。前夜の明け方、現在進行中の「青春U」の気になっていた冒頭部分に少し手を入れて、これまで書いてきた草稿が役に立つことを確認した。というか、いい作品になりそうだという気持ちになった。こういう気持ちにしておかないと、中断後に仕事を再開する時のモチベーションが弱くなる。これで大丈夫だという気がしたので、中断を決意。これから一週間は「青春T」の校正に集中する。イントロの部分を少し読んだが、とてもいい感じだ。草稿を少し書いた段階で正月にスペインに行った時、行きの飛行機の中で草稿を読んだ時と同様、これはいい、という感触を得た。実は全体が完成した時、チェックのために読み返し始めた時は気持ちが乗らなかったのだが、そういうこともたまにはある。作品に気持ちが寄りすぎると、客観的に見ることができなくなる。いまは客観的に見ることができるので、いい感じで読み返すことができる。で、いったん寝た後の仕事に取り組むモチベーションが確立されたと思ったので、ビールを一缶飲んで寝た。
昨日、医者に行ったときにまず確認したのは、酒を飲んでいいかということ。目が腫れているので、一種の炎症だと考え、風邪がこじれかけた段階と同様に考えて、それでも飲みたければ飲んでいいということだった。ということは、飲んでいいということだ。お岩さんのような顔をしているので、さすがに一缶だけにとどめた。この作品、まだタイトルが決まっていない。書き始めた時は「友だちの恋人」という仮題をつけていた。三角関係の話なので、あまりにもベタだ。作品の内容を説明するようなタイトルはよくない。「いちご同盟」などといった、わけのわからないタイトルの方がいい。三部作になるので、「春のソナタ」と同様、五文字程度のタイトルがいい。編集者とも相談して、ぎりぎりまでねばって考えることにしている。とりあえず「若葉のころ」というのを仮り押さえにしてある。五文字だというのが気に入っている。作品の冒頭で主人公とヒロインがビー・ジーズの歌を歌う。作品の内容と直接は関係ないのだが、純愛小説だということはわかるだろう。
本日は校正を進める。目の焦点が合いづらいのだが、これはリハビリで少しずつ慣れるしかない。月曜には会議があるので、それまでに目の腫れがひくか。まあ、サングラスをかけていれば大丈夫だが。
04/09
日曜日。妻と代々木公園を散歩。目のリハビリ。少しずつ違和感がなくなりつつあるが、まだ瞼が腫れているので視野が狭く、動かすと痛いので、万全ではない。しかし世界が見えやすくなったことは確かだ。
04/10
文藝家協会で会議。まだ目が腫れている。動かすと痛く、涙目になる。
04/11
目医者に行く。順調とのこと。しかしまだまぶたが腫れているので、サングラスははずせない。明日から大学の授業が始まる。黒メガネのままの怪しい授業になりそうだ。
04/12
大学。今シーズン最初の授業。久しぶりなので時間の配分のコツがまだわからない。学生たちは熱心に聴いてくれる。昨年は5階の教室だった授業が今年は1階なので、少し楽になった。
04/13
午前中、目医者で抜糸。これで痛みがなくなった。まだ腫れが少し残っているのでサングラスのまま文藝家協会へ。「引用」についての懇談会。夜は第二文学部の授業。妻が車で迎えに来てくれる。長い一日であった。
04/14
テレビ朝日来訪。団塊世代についてのインタビュー。日曜のお昼の番組で紹介されるはず。題未定の集英社文庫、初校完了。タイトルいまだ決定せず。
04/15
郵便局へ行く用があったので、世田谷郵便局(かなり遠い)まで散歩。それだけ。
04/16
日曜日。一回目の授業で小説を提出した学生がいる。宿題を読むのは久しぶり。大学の先生の日常が戻ってきた。目の腫れがほぼひいたので嬉しい。もうサングラスをかける必要はないだろう。
04/17
集英社の編集者来訪。ゲラを渡す。編集者、校正者からの疑問について。登場人物たちの関係(どの程度のつきあいかということ)がわかりにくいということだが、わかりやすすぎても困るので、最小限の説明を加えた。その点を話し合った。タイトルについて。書いている間は「友だちの恋人」でスタートしたのだが、中身がわかりすぎるのはよくない。編集者との話し合いで、「永遠の放課後」に決めた。主人公の中学生が田舎から転校してくる。心細く、身構えている主人公に、放課後、学級委員の女の子が話しかける。そこから物語が始まる。主要なストーリーは主人公と女の子が大学生になってからなのだが、小説が終わっても、物語は続いていく。永遠に続いていく「放課後」の物語である。
入り替わりに講談社の編集者来訪。直前までいた集英社文庫の担当編集者に、「星の王子さまの恋愛論」を出してもらったのだが、それを読んだ講談社の担当者が「青い鳥文庫」に「星の王子さま」を入れたいと声をかけてくれた。もともと「恋愛論」を書いた時に、自分で翻訳したいと思ったのだが、その当時は著作権が生きていたので、「恋愛論」の中に自分の訳を引用するにとどめた。ようやく念願かなって自分で翻訳できるのは嬉しい。夏休みの仕事になる。
04/18
教育NPOとの協議から、大急ぎで文藝家協会に回る。常務理事会と理事会。報告すべきことがあまりにも多く、非常に疲れたが、総会資料の原稿を片付ける。明日も、明後日も、忙しい日々が続く。
04/19
午前中はジャスラックで会議、午後は大学、夜は担当編集者と三宿で飲み会。長い一日であった。まだ明日がある。
04/20
午前中、目医者。手術の結果を精密検査。大幅に改善されているけれども完全ではない。微調整しますか、と問われた。もう一回手術するかということで、きっぱりと拒絶した。もう手術はいい。目が少し赤いけれども、腫れはなくなった。これで完治としたい。夕方、教材出版関係者と協議。夜は大学。今日も長い一日だった。一昨日の火曜日、目黒川の緑道でカルガモのヒナを目撃。13羽もいた。と思ったら、翌日は朝日新聞の朝刊に写真が出ていた。夕方、4チャンネルのニュースに出ていた。と思ったら本日は8チャンネルのニュースに出ていた。有名カモになったのだ。このあたりはネコが多い。毎年のことだが、ヒナは少し目減りする。そうならないように祈りたい。
04/21
エディターの中村くんと三宿で飲む。気がつくと夜中の2時になっていた。歩いて帰れるのでラクだ。
04/22
土曜日。雑用が何もないので「青春U」に集中できる。が、進まず。
04/23
日曜日。散歩に出ようと思ったら雨が降ってきた。どこへも行かず。千葉県の衆院補選。民主党が辛勝。超エリートと元ホステスの対決、という週刊誌の見出しが、民主党に味方したのではないか。元役人の候補者は、これから全滅するのではないかと思われる。よい傾向である。夜中、ようやく「青春U」の調子が出てきた。
04/24
毎日新聞の記者と、美人カメラマン来訪。5月と6月に週1回連載する「週間日記」の写真を撮る。7カット必要だというので、近所の緑道まで行く。この記者は、かつての『早稲田文学』の学生編集者であった。昔のことをいろいろ思い出した。
04/25
出版文化社の編集者来訪。仕事の打ち合わせ。内容については発表できる段階ではないが、秋から年内にかけての仕事になりそうだ。
04/26
大学。次週は連休なので、キリのいいところまで話す必要があり、疲れた。あと一日、それで連休だ。
04/27
車でお台場まで行く。実は昨日、新車が届いた。次男の嫁さんの車がかなり古いので、これまで乗っていた車を四日市に届けてもらうことにした。二年しか乗っていない。二年前、小さい車の方が運転がしやすいだろうと思って、ダウンサイジングしたのだが、体がついていかなかった。やっぱり車は大きい方が楽だ。妻は四谷にある某大学でスペイン語を習っている。築地で下ろしてもらって地下鉄で早稲田に向かう。第二文学部の授業。これが終わると連休である。「青春U」に集中できる。授業のあとで学生が、「青春T(永遠の放課後)」の発売日をきいてきた。六月下旬、集英社文庫。これまでの「いちご同盟」と「春のソナタ」も表紙を変えて、3冊で統一したイメージのものにする。本日、担当編集者から、3冊の表紙のデザインがメールで送られてきた。なかなかいい感じだ。3冊がセットだということがすぐにわかるようになっている。「永遠の放課後」というタイトルも、締めくくりとしていい感じになっている。
04/28
浜松三ヶ日の仕事場に向けて出発。足柄から運転を交代。買ったばかりの新車で初めてハンドルを握った。あっという間に三ヶ日についた。快適な車である。さまざまな雑用をすべて片付けて三ヶ日に来られた。この仕事場では電話がかかってこないのと、テレビを見ないので、仕事がはかどる。「青春小説U」に集中できる。
04/29
カインズホーム都田店に行く。浜松は道路が整備されていて、通行量が少ないので、気持ちよく運転できる。広々としたスーパーが至るところにあって、安さを競っている。食料品、ビールなどを買う。仕事も進み始めた。
04/30
義父母を浜松のバス停まで迎えに行く。バス停といっても数人が下りるだけなので駐車場もない。近くの神社に車を止めて、徒歩で迎えに行く。三ヶ日に仕事場を作ってから25年になる。一級建築士の義父が陣頭指揮で作ってくれた建物で、夏や正月には義父母と生活することになる。すでに八十歳を越えているので、こうしていっしょに暮らせるのもあと何年か、といった感じである。

