第1編 飼う前に


第1章 準備

監修: VFE15363 いくえ


1 ウサギってペットとして飼えるの?


 もちろん。ウサギは家族の一員として、長く付き合える動物です。ウサギという 動物の特徴をよく知った上で、それにあった世話をしてあげれば長生きし、よくな つきます。しかし見た目のかわいらしさや、童話の中のイメージだけで飼おうとす ると、ウサギの意外な行動や性格にびっくりしてしまうかもしれません。飼うから にはとことんウサギに付き合ってみて下さい。飼い主の都合で簡単に捨てるのは、 絶対にやめましょう。
 アレルギー体質で不安のある方は、飼う前にウサギは大丈夫かどうかかかりつけ の医師と相談しておきましょう。(アレルギーについては  第3編 第1章 病 5 参照)

 【飼う側にとってのウサギの長所と短所】


2 ウサギを手に入れるにはどんな方法があるの?  選ぶ時のポイントは?


 FPETMAMのメンバーの、ウサギの入手方法は、次のようなものでした。

 子ウサギを選ぶポイント


3 オスとメス、どっちが飼いやすい?


 室内で飼う場合はメスの方が飼いやすいと思います。理由は、オスのほうが発情行動 をすることが多いからです。(発情行動については  第3編 第4章 発情 1 参照)またオスは大人に なると、結構派手にオシッコを飛ばすので掃除が大変です。
 性格的には、オスの方がおっとりしていて捕まえるときもすぐ捕まる傾向があります。
 一方メスは、出産を経験すると凶暴になるものもいます。ただし、3年連続して出産 しなければ子宮ガンになる確率はとても高くなるそうです。


4 室内で飼う時には何を用意すればいいの?  また、室外で飼う時の用意は?


*下の表以外に、いざという時連れて行ける獣医師を確認しておくこともお忘れなく。
(ウサギに詳しい獣医師選びについては  第3編 第1章 病 6 参照)

【 室内飼いの場合の準備 】
ケージ 小さな品種のウサギなら50×40×60(縦×横×幅) 程度の大きさで十分。ロップイヤー、ダッチ種など、大きくなるものには、初めからこ れよりも一回り大きい方が無難。最低限ウサギが手足を伸ばして寝られる大きさを。
 床は、金網にしてフンが下に落ちるようにすると、清潔を保ちやすいが、網目が大き いと歩きにくくなる。バーベキュー網程度が最適。また、足の裏の負担を軽くする為に、 一部堅い木の板や木製すのこ、わらなどを敷くとよい。
トイレ 市販の猫用トイレやプラスティックトレイに、猫砂やペットシ ーツを敷く。ウサギが猫砂などを食べてしまわないように、金網などでガードが必要。
 ケージの中をトイレにするウサギもいる。その場合は、ケージの床の金網の下に猫砂 やペットシーツ、新聞を敷く。
餌入れ ケージの側面に引っかけるタイプや犬猫用の金属製の皿など。 ウサギがくわえてひっくり返す事があるので、安定のよいものを。鳥用、犬用の固定 タイプもよい。
水入れ 鳥用陶器製のもの(釣り鐘型。かまくら)、ボトルタイプ(ケ ージの側面に取り付け管の先をウサギがなめると水が出る)など。 (第2編 第1章 食 2 参照)
爪切り犬猫用を使える。 (第2編 第3章 体の手入れ 2 参照)
ブラシ ウサギ用もあるが、犬猫用でも使える。 (第2編 第3章 体の手入れ 4 参照)
ドライタイプのウサギ専用ペレット、干草、野菜など。 (第2編 第1章 食 参照)
ペットキャリー 旅行や病気の時移動するのに使う。籐や布製だと かじって穴を開け、脱走するので犬猫用のプラスティックやワイヤー製がよい。段 ボール箱は窒息や脱走、オシッコもれの危険があるので使わない。オシッコは臭う のでペットシーツを敷いておき、早めに替えるようにする。移動中使う水入れ(水 飲みボトルもよい)や餌入れも固定タイプがよい。
掃除用具
(必要に応じて
揃えるもの)
 ほうき、ち りとり、ブラシ(ケージと敷板すのこ洗い用)ヘラ(すのこのフンはがし用)、ボ トル洗いブラシ、酢、ペット用消臭剤、重曹、粘着ローラーなど。(掃除については  第2編 第2章 飼育環境3 参照)
その他
(必要に応じて
揃えるもの)
体重はかり、記録 ノート、柵、かじられるのを防ぐもの。(室内で飼う場合柱の角をアルミ製の金具で 防御、など)ウサギ・動物用シャンプー、整腸剤(乳酸菌)、下剤、消化剤 (たんぱく質消化酵素)、オキシドール。
(部屋の防御については  第2編 第4章 しつけ1 参照)
(下剤と消化剤は  第2編 第3章 体の手入れ5 参照)
(乳酸菌は  第3編 第6章 子育て・子ウサギ3 参照)

【 ベランダ飼いの準備 】
 *コンクリートの上で飼う場合は、足の保護の為に木製すのこやわらを敷くこと。

ケージ、トイレ、餌入れ、水入れ、爪切り、ブ ラシ、餌などは、室内飼いと同じ
小屋風雨、直射日光、鳥や犬猫を防ぐもの。ベランダの柵から 鳥や犬猫などが侵入してこられないように対策を。
第2編 第2章 飼育環境 6 参照)

【 室外飼いの場合の準備 】
ケージ、トイレ、餌入れ、水入れ、爪切り、ブラ シ、餌などは、室内飼いと同じ
穴を掘って逃げてしまわないように、地下30cmは埋めておく。 (第2編 第2章 飼育環境 6 参照)
小屋犬、猫、イタチなどの外敵が進入してこられない、頑丈なもの。 通気性のよい、高床式がよいらしい。夏は涼しく、
冬は暖かい場所に置く。


5 1羽で飼うのと初めから複数で飼うのと、どちらがいい?


 1羽で飼った方が、断然慣れてくれると思います。繁殖させてみたいなら、つがいで 飼ってもいいと思いますが、後からでもつがいにするのはあまり難しくないので、初め は1羽で飼うのがいいかも知れません。

 飼いウサギの元々の種類であるアナウサギは、社会性のある動物で、仲間と一緒に暮 らしたい気持ちを持っているらしいです。このあたりは、人間にも通じるかもしれませ ん。しかし、発情期になるとオス同士で、メスとボスの座を巡り命懸けで戦います。オ ス同士では、力関係の上下が厳しく、メス同士ではさほどでもないようです。

 人間と生活する飼いウサギは、野性のアナウサギよりもずっと狭い所をなわばりとし ているのですから、複数のウサギが仲良くするのは難しいでしょうね。飼うなら、ケー ジも遊ばせる時も、別々にしたほうが安全でしょう。
 しかし、うまく飼えた場合ウサギ同士の「ウサギ関係」を観察するとなかなか面白い ようです。


6 飼いウサギの品種とそれぞれの特徴や、成長した時の大きさ は?


 ウサギの品種は50〜60種あります。ここでは、ペットとして飼うための種を紹介 します。ウサギは肉や毛皮をとる目的で、様々な種に改良されました。しかし、現在で は元々の目的ではなく、ペットとして飼われている品種も多いのです。
 値段については、地域差や流行の為に上下が激しいので、ここには載せません。もし 値段について知りたいとお思いでしたら、FPETMAM6番会議室で、お尋ねになる のも一つの方法です。

名称(品種)特  徴
*ネザーランド・ドワーフ
(ピーターラビット)
オランダ産の小型種。最初はポリッシュなど数種類のみで改良されたと思われる。その時はあまり有名ではなかったが後に品種も増え今では大変メジャーな品種である。成長時体重は1kg前後(1kg以下という説もある)。モルモットより長生き。短い耳と首、幅広の顔(ちょっとつぶれたような)で目が大きく突き出しているのが特徴。
*テウト・ドワーフ 名前通りドイツのテウト社が改良したウサギで繁殖証明書付き。成長時体重1.5k前後の小型種。品種はラム(ロップの様に耳の垂れたもの)、ライオン(たてがみのあるもの)、ドワーフに分かれる。
ロップイヤー ベルギーを原産地として主にペット用に改良された。耳 が長く垂れている。顔は丸みを帯びていてひしゃげ気味。初期の頃の基本色は褐色だった が、今では多色よしとされる。成長時体重6kg内外。現在は小型化されて品種も増えている。
アンゴラ 長毛。各種毛色あり。高品質のウールを生産する。
ペットとしては、毛並みの手入れが大変だが、とても美しい。フランスでは普及している。
成長時体重2.5kg〜3.5kg
ダッチ
(パンダウサギ)
小型。鼻筋、肩、足が白、他は黒か、茶か、グレー。食肉用として作られたが、ペット用としての人気がある。原産地はベルギーで、イギリスで改良された。
成長時体重2〜3kg。
日本白色種 長い顔。全身真っ白で、目が赤い。食肉毛皮兼用種。日本で明治時代以降にニュージーランド・ホワイト種から作られた品種。大きさなどに地域差がある。
成長時体重3〜4.8kg。
*ニュージーランド
ホワイト
もともと食用としてアメリカで改良される。成長時体重は3〜5kg。強健なウサギであるが子供がペットとして飼うには難しい。(アルビノ)
ヒマラヤン 小型。白地に耳と鼻と足先が黒。原産地はヒマラヤらしい。成長時体重2kg内外。
*レッキス 毛皮用として改良。短直毛(美しい毛並み)毛色はさまざま。成長時体重は4kg前後。
(ミニウサギ) ミニウサギとは総称で、いわゆる雑種のことであるが、その血の濃さによって、成獣時の大きさ・目の色・耳の長さ・毛並みが左右される。ダッチとミニウサの区別は今でははっきりしないが、ミニウサギの方が雑種としての範疇が広いと解釈している。1.5?〜3?kg。
アメリカン・
ファジー・ロップ
小型。アンゴラのような柔らかい毛で覆われているがアンゴラ種より毛は短め。毛色各種あり。アメリカで作り出された比較的新しいロップイヤーの品種。成長時体重は1.5〜1.8kg。

*印部分引用:
    「RABBITS -A COMPLETE INTRODUCTION-」 By Marshal Merton, t.f.h.
    「THE NEW RABBIT HANDBOOK」 By Lucia Vriends-Parent, BARRON'S

その他、参考:『動物たちの地球13巻』朝日新聞社
              『イラスト・アニマル  動物細密・生態画集』平凡社


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