監修: VFE20745 はるるん
ウサギというと、「臭い」というイメージがありますが、ウサギの体臭はほとんど ありません。全くないと言ってもおかしくないくらいです。ただ、排泄物はかなり臭います。 正常なウサギのフンは、コロコロ乾燥していてあまり臭いませんが、下痢をした時の 軟便は独特の臭いを放ちます。また、オシッコは体調にかかわらず臭います。
今はオシッコの臭いを取る消臭剤入りペレットが出ていますね。
これについては、全く臭いがなくなると言い切れないのが現実のようです。効果はあ るようだが、どれだけ効いているのかわからないと言ったところでしょうか。消臭剤 入りペレットの量を減らして野草の量を増やしたら、排泄物の臭いがかなりきつくな ったという例もあるようですから、効いていることには間違いないようです。(ペレ ットに入っている消臭成分については 第2編 第1章 食 9 参照)
頻繁にトイレやケージを掃除すれば、特に気になるということはないようです。ウ サギがトイレを気持ちよく使えるように、心がけたいですね。次にそそうした場合です。 床がフローリングならば、住宅用合成洗剤やペット用消臭剤などで拭き取るという のが一般的でしょう。カーペットや畳のときは、ティッシュや新聞紙で素早く水分を 吸い取ってから、住宅用合成洗剤やペット用消臭剤を使って、叩きだしを行うのがよ いでしょう。洗剤をウサギがなめたりしないように、その後十分水拭きしましょう。
酢も洗剤代わりに使えます。他には、臭いを取る働きをする重曹でオシッコの水分 を吸い取る方法もあります。 (この章の3 参照)
ウサギの毛は大きくは春と秋の2回、冬毛から夏毛へ反対に夏毛から冬毛へと抜け 代わります。しかし、よく見ると全部で4回換毛しているのがわかります。
時期や期間は個体によって違いますが、ほぼ全身の毛が抜け代わるのですから、相 当な量になりますね。抜け方も、まとまって抜けるウサギもいれば、本当に換毛して いるの?というくらい少しづつ抜けるウサギもいます。大抵は、毛繕いすることでウサギ自身がなめとってしまうことが多いのですが、こ うしてウサギたちに任せっぱなしにすると、いつまでも部屋の中にウサギの毛が飛ん でいたり、ウサギが病気になってしまうことがあります。猫のように、毛玉を吐き出 すことができないので、毛球症から腸閉塞を起こすことがあるのです。
まめにブラッシングをしてあげましょう。換毛期のピーク時に一度お風呂に入れて あげるのも有効です。(入浴については 第2編 第3章 体の手入れ 1 参照)
(ブラッシングについては 同 体の手入れ 4 参照)
部屋の掃除は、とにかくまめに掃除機をかけること。それでも残っている毛は、粘 着ローラーで張り付けて取ってしまいましょう。ぞうきんがけもいいと思います。
オーディオ機器やコンピュータ機器などには、市販の「静電気ハタキ」でなでると かなりきれいに取れます。
いろいろ掃除してもどうしても気になるという方には、空気清浄機がお薦めです。 これなら、効果のほどはともかく気分的にすっきりしますよ。
ケージは各家庭で、飼い方(完全ケージ飼いか室内放し飼いか)や大きさが違いま すので、それぞれにあった掃除を行いましょう。
大きさなどに関係なく共通しているのは、底に新聞紙やペットシーツを敷いている ことですね。これは汚れ具合により、毎日または何日かおきに取り替えます。特に梅 雨時は、ウサギの嫌いな湿気がこもりがちになりますので、なるべくこまめに取り替 えましょう。重曹をケージの床に撒いて、消臭剤代わりにしている人もいます。
また、頻繁には出来なくても、ケージ全体を水洗いして日光消毒しましょう。室内やケージ内に設置してあるトイレは、毎日掃除しましょう。猫用のトイレ砂や ペットシーツを取り替えるだけではなく、水洗いもせめて何日かおきにすると清潔で すね。あまり汚いトイレだとウサギにそっぽを向かれることもありますから。
オシッコの結晶はアルカリ性なので、酢で溶かしてから拭くと簡単に取れます。餌入れは、餌をあげる時に乾拭きします。が、これはペレットなど乾いた餌をあげ る場合のことで、野菜など水分の多い餌をあげるときは、食べ終わった後水洗いして きちんと乾かします。
水入れは、水の汚れにくいボトルタイプのものが多く使われているようですが、な かなか洗いにくいのが難点ですね。これは、水筒などを洗うブラシを使えばきれいに 洗えます。吸い口のほうについているゴムの部分のぬめりもきちんと取りましょう。
その他受け皿タイプの水入れは、ウサギが足を入れたりして汚れやすいので、こま めに水洗いします。手間がかかるのを厭わないのなら、熱湯消毒するといいですね。
しかし、熱湯の温度に弱い材質で作られているものも少なくありません。その場合 は、薬局で手に入るオスバン液(逆性せっけん)を水で薄めたものを使って消毒する 方法があります。このオスバン液には、殺菌作用があるので、たいへん有効な消毒法 です。
オスバン液使用の際は、ラベルなどに明記されている使用法をよく読んで、適切な 濃度で使いましょう。そして消毒後は流水でよくすすぎます。オスバン液が少しでも 残ってしまうと、餌などと一緒にウサギの体内に入り、ウサギにとって大切な細菌嚢 まで殺菌されてしまう可能性があります。
特に子ウサギにとって致命的なものになりかねません。充分気を付けましょう。
ウサギは基本的に、暑さに弱く寒さに強い動物といえるでしょう。ただ、湿気には とても弱いので、梅雨の時期などは風通しをよくしてあげてください。室外で飼っている場合は、当然冷暖房機などはありませんから、ウサギは自分で快 適な場所を見つけ、そこでしのぎます。
夏は日差しの避けられて風通しのよい場所を、冬は反対に日当たりがよく冷たい風 が吹き込まない場所が確保できれば問題ないでしょう。室内で飼っている場合は、普通人が快適な温度に設定されていると思われますので 特別暑いとか寒いとかを感じることは少ないかもしれませんね。
ウサギたちだけを室内に残して外出するとき、盛夏には人がいなくてもエアコンを つけて外出する人が多いようです。閉め切った部屋は室外より温度が高くなることも しばしばですが、と言って窓を開けて外出するわけにはいきませんからね。冬は暖房 をつけて外出する人は少ないようです。外出時の出火の危険がないように、冷暖房機 具の点検もお忘れなく。
冷暖房気を使う場合は、機械からの風がウサギに直接当たらないように気を付けま しょう。このあたりは、人間の子供と同じですね。人の快適な温度は、ウサギにとっても快適です。しかし、過度の温度操作はウサギ には迷惑だということもあるでしょう。しゃべれないウサギたちは、飼い主の作る環 境に全てをゆだねなければなりません。
出来るだけ気持ちよく過ごせるように考えてあげたいですね。
部屋飼いの床には、フローリング、畳、カーペットが一般的ですので、それらの特 徴を挙げてみます。
フローリングの場合
走りまわると滑りますから、慣れるまではおっかなびっくり歩いています。が、慣 れると滑りながらも器用にコーナーを回っていったりします。
ウサギはよく跳ねまわりますので、ジャンプなどをすると直接体に響きそうで心配 という人もいますが、床の上でのジャンプならば心配する程ではないと思われます。 ただし、高いところからのジャンプは非常に危険です。実際、テーブルからフローリ ングの床に飛び降りて骨折したウサギもいますので、なるべく高い場所に登らせない ように充分注意しましょう。
衛生面では、粗相した後の掃除が楽にできます。
あと、夏にはひんやりして、ウサギたちには人気でしょうか。反対に冬には嫌われ るかもしれませんね。
畳の場合
ホリホリ・カミカミが好きなウサギですので、大抵の畳がかじられたり、掘られた りして無残な姿になるようです。
走る時に滑ったりしませんし、クッション性がありますので跳び回っていても安 心して見ていられます。
カーペットの場合
滑らないので自由に走りまわれます。
カーペットも畳と同じように掘られてボロボロになってしまいますので、安いもの を敷いておくと、何をされても気にせず好きなように遊ばせることが出来ます。
衛生面では、粗相の後の掃除やダニ問題など心配なことがありますが、これも汚れ たら換えることができればいいですね。
ただし、大きめのループ状カーペットは、ウサギにとって大変危険です。爪がルー プに引っ掛かってパニックを起し、暴れまわって骨折することがあるのです。少なく ともウサギが出入りする部屋では使用しないで下さい。
各家庭で事情が異なりますので、一概に「これが一番いい」とは言えません。
ウサギを遊ばせようとする部屋の床材に合わせて、より安心してウサギが遊べるよ うに工夫してみましょう。
出来れば土の上がいいですね。
飼いウサギの原種は、土を掘って巣穴を作り、そこで生活するアナウサギです。そ のため、土のほうがのびのび生活できるのです。以上は、ウサギ側に立った場合です ね。これから飼い主側に立った場合で考えてみましょう。◎コンクリートの場合
[利点] どんなに汚れていても水で洗い流せる。 爪が自然にすり減るので人間が爪を切ってやる回数が減る。 穴が掘れないので脱走出来ない。 [問題点] 冬、冷えすぎる。 固いので足に負担がかかる(足の裏がハゲる、飛節びらんになることもある)。 水はけを充分に考えないと、湿気で病気になる場合がある。 コンクリートだと手間があまりかからないので気軽に飼うことができそうですね。
ただ、問題点にも挙げていますように、冬は床が冷たくなりますので、干し草やわ らをたくさん入れてあげましょう。隙間風が入らないように作るか、別に巣箱を入れ るといいでしょう。
また、ウサギは湿気にはとても弱いので、水はけがよくなるように、床を傾斜させ て排水口を大きくしましょう。
足の負担を軽くする為にも木製すのこやわらを敷きましょう。◎土の場合
良さなどは先に挙げましたので、問題点だけにします。
[問題点] 穴を掘って逃げる。 土質によっては、掘った穴がくずれてウサギが閉じこめられる。 雨のあとぬかるむ。 どんなに立派な柵を作っても、穴を掘って逃げられてしまってはどうしようもあり ません。地中にもコンクリートか金網で層を作りましょう。コンクリートで層を作る ときは水抜きの穴を忘れずに開けます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ←地面 ■ ■ ■ 固めの土 ■ ←コンクリート、 ■ ■ もしくは網目の細かい網 ■ ■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■■ ↑ 水抜きの穴(大きいとそこを掘って逃げるので直径数センチ程度に)
◎共通の注意点
日当たりがよく、水はけのよい場所に小屋や柵を建て、その中に他の動物が入り込 めないようにしましょう。
室内の場合は次のようなものがあります。
電気コード・電話線
かじることが大好きなウサギですが、これらは感電したり漏電したりして特に危険 です。ウサギが噛み切った電気コードが原因で出火し、火事になったという例もあり ます。コード類はまとめて高い位置をはわすか、カバーをかけるといいでしょう。
ドアの開閉・人間の足元
ウサギは、よく人間の後ろをついて歩いたりしますので、踏まないように足元には 充分注意しましょう。
無意識にドアを閉めて、後ろをついて来ていたウサギを挟んでしまったりすること もあります。
これら人の手による事故は1番多いですが、防ぐことも簡単です。
テーブル周辺
ジャンプ力が結構ありますので、気が付いたらテーブルの上にいた、ということは よくあることです。急に怒られてテーブルの上から飛び降りることもあるでしょう。
しかしいくらウサギでも、足掛かりのない高い場所には上がれません。足掛かりに なりそうなものは、ウサギが遊んでいる間だけでも片付けておくと、飛び降りによる 骨折を回避できます。
他には、「くわえて引っ張る」ことも好きなので、テーブルからはみ出したクロス などを引っ張り落としてしまったりもします。クロスの上に割れやすいものや重い物 が載っていて、ウサギが引っ張った途端に頭上に落ちてくると大変危険です。
ウサギ自身は何にも考えずに行動していますので、こちら側が注意する必要があり ます。はみ出しているクロスなどがないか点検しましょう。
消化できないもの
ビニール製品や発泡スチロールなどがこれにあたります。
うまく体外に排出されれば問題ないのですが、排出されないと胃や腸にたまって病 気になってしまいます。
子供のおもちゃのゴムボールや輪ゴムなどにも注意しましょう。
消化できないものではありませんが、観葉植物にもウサギが食べないほうがよいも のがありますので、ウサギが触れられない場所におきましょう。
薬品類
薬を片付けずにそのまま出してあるということは少ないと思いますが、最近の薬は 糖衣錠が多いので、ウサギがお菓子と勘違いして食べてしまうことがあります。下痢 をしているので、薬を飲ませたいなどの理由がない限り、ウサギの前には薬を出さな いようにしてください。
また、殺虫剤を使用する際には、近くにウサギが来ていないかを確かめてから使用 し、後はきれいに拭き取ると安心です。室外の場合は、次のようなものがあります。
毒のある植物
散歩中に野草を食べさせるのはいいのですが、毒があって食べてはいけないものも 多数あります。 (第2編 第1章 食 4 参照)
犬猫がオシッコやフンを付けた植物も、食べさせないで下さい。 (第3編 第1章 病 3 参照)
他の動物
犬や猫はとても危険です。一噛みでウサギは死亡してしまうこともあります。子ウ サギだとひとたまりもありません。
外に出す場合は、必ず人がついて見ていましょう。
一緒に自宅で飼っているペットも例外ではありません。どんなに慣れているペット でも、やはり肉食の動物とは一緒にしないほうが無難です。事故が起こってからでは 取り返しがつきません。同じ場所で放す場合は、どちらかをケージに入れて隔離しま しょう。
また、直接ウサギの体に傷を付ける訳ではありませんが、病気を媒介するネズミに は充分気を付けて下さい。 (第3編 第1章 病 3 参照)
最低限これだけはという時間は特にないようです。
完全ケージ飼いのウサギたちがケージの外に出してもらっても、ずっと走りまわっ ているわけではなく、だいたいが寝転んだりじっとしている時間の方が長いことが多 いくらいです。
運動させなければ、というのではなく、息抜きや飼い主とのコミュニケーションを 取るくらいのつもりで、1日1回ケージから出してあげればいいのではないでしょう か。
できれば広い場所で、なるべくウサギの好きなようにさせて、人がついて歩くとい いでしょう。
犬などの動物が来たら、ウサギを抱き上げて場所を移動するか、抱き上げたままや り過ごします。そのままにしておくと、臆病なウサギは逃げようとして暴れまわって 体に負担をかけてしまうことがあります。また、横に避けていれば大丈夫、と地面に 置いたままにするのは止めたほうがいいでしょう。
中には、あまり散歩をしたがらないウサギもいますので、気晴らし程度に外に出し てあげるくらいでもいいのかもしれませんね。首輪やリードはウサギ用のものが売っていますが、猫用でも充分代用できます。
ただ、全部のウサギが首輪を付ける時にがおとなしくしてくれるとは限りません。 反対に暴れまわる子のほうが多いのではないでしょうか。猫用のものにはベルト穴に 金具を通すのではなく、パチンと留め金をはめるタイプのものもありますので、いろ いろ試してみてください。いたずら防止にどこにいるかすぐわかる鈴付きタイプのも のを使用しているウサギもいます。ウサギによっては、首輪を全く受け付けなかったり、初めての首輪にびっくりして はずそうともがいたりします。
首輪がゆる過ぎると、前足を首輪に突っ込んでパニックを起し暴れまわったり、口 のところに持っていってすぐに噛み切ってしまうことがあります。反対にきつ過ぎる と、苦しくて目玉が飛び出したりしますので、指が1本入るくらいの余裕を持たせま しょう。
首輪を着けてから1日様子を見て、嫌がるようなら無理強いせずに、すぐにはずし てあげましょう。嫌がって口にくわえたままもがいて、窒息してしまうこともありま す。飼い主の都合でウサギに負担をかけないようにしてあげたいですね。 (首輪の事故の例 第3編 第1章 病 9)
余ったベルト端は切ってしまったほうがいいでしょう。ウサギが気にして食べてし まうと、胃や腸が詰まってしまう恐れがあります。
リード使用時は、犬のように引っ張らないようにします。無理矢理引っ張ると首な どを傷めてしまうことがあります。なるべく弛みを持たせて使用しましょう。
はい。かまいません。
室内・室外飼いを問わず、外に出す場合は日陰を用意してからにしましょう。人で もそうですが、直射日光に当たりっぱなしだと体力を消耗しやすく、すぐに弱ってし まいます。日向と日陰があれば、ウサギ自身が快適な場所を選ぶことが出来ますから 安心です。室内飼いのウサギは、急な温度変化には気を付けましょう。例えば、夏にクーラー の効いた部屋からいきなり炎天下に連れ出して散歩させたりしないでください。極端 な温度変化はウサギの命にかかわります。
散歩の苦手なウサギなら日光の当たる部屋で遊ばせるといいですね。ただガラス越 しの日光浴は無意味とも言われていますので、網戸越しくらいがいいと思われます。