セクハラ相談
お酒の席で上司(課長)からセクハラを受けました。一度目は歓迎会、二度目は忘年会です。最初は手を握ったり足を触られたりで、嫌でしたが、お酒の席という事もあり我慢しました。
しかし、お尻を触ったり、最終的にはお尻に顔を突っ込まれたりしました。何もしていないのに頭を叩かれたり頬を抓る、鼻をつまむ、執拗にぶつかってくる等耐えられませんでした。
これが3ヶ月ほど続き、支店長に相談しました。しかし、支店長に訴えたことが課長に伝わり、その後、課長から、小さなことで怒鳴られるようになり、最後には、「辞めた方がいいのでは」と言われました。
相談者は、この頃から眠れないようになり、神経科の医師に診断を受けました。会社にも行けなくなり、弁護士に相談しました。
セクハラに対抗
弁護士は、会社に、労働環境の整備を求める 内容証明郵便 を出しました。この頃になると、会社はセクハラを認め、課長のセクハラは止まりました。
会社は、相談者に100万円の慰謝料、休んだ3か月分の休業補償75万円を支払うことで決着がつきました。
セクハラ対策
セクハラの被害にあった場合、通常、会社にセクハラ委員会があるなら、そこに訴えます。上司に相談してもよいでしょう。目撃者には証人になってもらいましょう。会社を辞める場合は、(加害者)本人と会社を訴えるとよいでしょう。方法は沢山あります。
通常は、まず、弁護士に相談してください。弁護士会には 無料相談 窓口もあります。次に、内容証明郵便でセクハラを止めるよう求め、慰謝料請求をする。相談者の場合、認められる慰謝料は100万円くらいでしょう。これでもとまらない場合は、さらに、訴え提起です。費用は、弁護士と相談してください。訴訟の場合は、着手金は30万円くらいでしょう。
お金に余裕のない場合は、法テラス (かっての法律扶助協会)で弁護士に相談できます。
会社は、従業員を使用する使用者責任(民法715条)あるいは労働者が、セクシャ
ルハラスメントのない働きやすい職場環境を保つよう配慮する義務を負っています。そこで、従業員のセクハラについては、会社も責任があるのです。
関連質問:社長のセクハラ
職場で夜勤をしていた時のことですが、私が夜勤の日だとよく社長がフラっと来て、いやらしい会話をしたり、「抱かせてよ」言われたりの日々が続いています。私は、結婚もしているし、子供も居るので強い口調で言い返して職場を失っては、困ると思っていました。聞いているだけなら勝手に言ってろと思っていました。
何日かが過ぎたある日、社長は、いつものように酔っぱらって入ってきて、延々と、「抱かせてよ。抱かせてよ」と言い、いきなり抱きつかれ、オシリや体を触られ、もう少しで、やられそうになりました。抱きつかれてからは、かなり抵抗したのですが、かなわず、かなり不愉快な思いをさせられました。慰謝料はいくらくらい取れますか。
回答:証拠の確保
直感による判断ですが、慰謝料は、30万円〜100万円くらいでしょう。
記録をつけ、録音をするなど、証拠を確保してください。仕事を辞めざるを得なくなった場合は、将来働いたら得られたであろう給与も損害として請求できます。下記判例は、慰謝料、弁護士費用、失われた賃金の補償も認めています。
判決
- 奈良地方裁判所平成22年6月15日判決
派遣労働者が派遣先の会社の上司からセクハラを受けたために抑うつ神経症を発症したとして,派遣元会社と派遣先会社に対して不法行為に基づく損害賠償を求めた訴訟において,派遣先会社の上司のセクハラ行為を認定したが,セクハラと抑うつ神経症の発症との間の因果関係を否定して派遣先会社に対し70万円慰謝料および弁護士費用7万円の支払を命じ,派遣元会社に対しては,義務違反を否定して,請求を全部棄却した。
- 京都地方裁判所平成18年4月27日判決
(3)原告は,被告Cが同年6月24日,「魚玄」での食事会の際,
原告の股や太ももあたりを撫で回したり,自分の足を原告の足に乗せ
ようとしたりし,また,その際,「単身赴任は寂しいものよ。」「家
で待っている愛人が欲しい。」などと言ったりした、
現に,被告Cは,平成16年9月24日,女性CMに食事会後の2次会の席でキスをしたり,キスを強要
したり,抱きついたりなど,また,「俺とつき合え」,「今日は(単
身赴任であった被告Cのマンションに)泊まっていけ」「やらせろ」
などいったりしたことがあった。
(4)原告は,被告Cが同年11月17日,「つぼ八」での食事会の
際,原告の股や太ももあたりを触った旨主張する。被告Cは,本人尋
問の中でそれを否定する供述をする。確かに,この席上で,原告が被
告Cに対して「エロおやじ」と叫んだか,それを認めるに足りる証拠
まではないが,被告Cは,この食事会の際もあえて,原告の隣に割り
込むようにして座ったこと,原告は,被告Cが隣に座っていた際で,
その食事会の途中で席を立っていること,当時,被告アイフルのCM
の間では被告Cの飲み会(食事会)でのセクハラが話題になっていた
ことがあり,女性CMの間ではそれに注意するよう喚起されていたこ
と,現に,被告Cは,平成16年9月24日,女性CMに食事会後の
2次会の席で上記記載したとおりのセクシャルハラスメントを行って
いたことがあった。以上の事実に上記認定した6月24日の出来事を
踏まえると,原告の上記主張に沿う事実があったことが認められる。
<<略>>
被告Cは,原告に対し,
必ずしも原告に退職をしなければならないような事由(言動)がなか
ったにもかかわらず,原告に対し,少なくとも,「君の悪い噂がぽっ
ぽっぽっと出てるぞ。ここにいられなくなるぞ。」などと原告に対し
て圧力をかけ,原告をして退職を迫られたように受け止める言動を行
ったことが認められ,それを覆すに足りる証拠はない。
<<略>>
3 原告が被告Cの上記(3)(4)で認定した被告Cの原告に対す
る各食事会でのセクシャルハラスメント及び退職を示唆するようなパ
ワーハラスメントにより被った損害について,検討する。
原告が被告Cのセクシャルハラスメントなどにより上記認定したとお
りの精神的,身体的症状の発生,程度,その期間を踏まえると,10
0万円とするのが相当である。また,被告Cの同行為と相当因果関係
を有する弁護士費用相当の損害であるが,上記損害の内容,認容額を
踏まえると,10万円とするのが相当である。
<<略>>
4 次に,原告が請求する未払賃金の支払について,検討する。原告は,被告○○○○(大手サラ金です)が使用者責任(民法715条)を負う被告Cの上記
(3)(4)で認定した被告Cの原告に対する各食事会でのセクシャ
ルハラスメント及び退職を示唆するようなパワーハラスメントにより
平成16年12月6日以降平成18年1月末日まで休業せざるを得な
くなった。
以上の事実からすると,被告○○○○は同期間に係る上記
前提事実キで記載した原告の賃金,1か月あたり17万2506円の
割合による賃金の支払義務(但し,平成16年12月分は平成17年
1月25日,8027円が原告の預金口座に振り込まれているため,
16万4479円となる。)があり,同年2月1日以降はその支払義
務がないといわなければならない。
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