弁護士(ホーム)離婚/婚約不履行
2015.7.1mf

内縁夫婦の片方の死による財産分与

相談

私(56歳)は、A男(内縁、75歳)と、籍は入れませんでしたが、30年間、夫婦同様に生活しました。
A男は、妻がいて、妻との間に子供が3人いました。私との間には、子供はいません。妻は6年前に死にました。
癌を患い、A男が1年間入院した際にも、私が看病し、子供たちは何もしませんでした。
A男は、昨年10月に死にました。A男の遺産は、約2億円あります。内縁関係は、夫婦同様の関係ですので、相続権は認められないが、離婚の場合、財産分与請求権が認められると聞きました。2年以内なら、A男の相続人に財産分与請求ができるでしょうか。
相談者は、弁護士会の中にある法律相談所に行き、弁護士に相談しました。

回答

内縁とは、事実婚、準婚などと呼ばれ、婚姻状態があるが、婚姻届出がされていない状態です。
内縁は、婚姻と同じように保護され、当事者は、相互に扶養義務、貞操を守る義務があります。不当破棄の場合は、離婚と同じように慰藉料請求権、財産分与請求権が認めれます(民法768条)。
婚姻と同じですが、1つだけ違うのが、相続権です。内縁の場合は、相続権がないのです。
離婚の場合は、財産分与請求権が認められ、夫婦は、他方名義の遺産につき、婚姻中得た実質的共有財産につき、財産分与の形で清算する権利が認められます。 内縁の場合も同じです。
内縁の当事者の片方が死亡して内縁が解消した場合は、どうでしょう。この場合も、財産分与が認められるとの考え方、判決例がありました。逆に、死亡による内縁解消の場合は財産分与請求権は認められないとの判決もありました。
平成12年、最高裁の判決があり、死亡による内縁解消の場合は財産分与請求権は認められないとの理論が確定しました。
内縁の当事者が生きていて、内縁を解消した場合には、財産分与を請求できますが、当事者が死亡した場合は財産分与を請求できません。死亡の場合は、全て相続法で決める、内縁の配偶者には相続権はないとの結論なのです。
残念ですが、相談者の場合は、財産分与請求権は認められません。
内縁の一方の当事者名義の財産につき、他方の当事者が実質的共有持分を持つ場合は、生前に、持分を移転しておくか、婚姻届出をしておく必要があります。

判決


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2011.2.16