竜ヶ岳( 竜ヶ岳 :1,485m。コース中の最高峰は 雨ヶ岳:1,771.7m ) 2007.1.27 登山


  広い竜ヶ岳頂上から雨ヶ岳・毛無山方面を望む ( 2007.1.27 )

【竜ヶ岳登山記録】

【竜ヶ岳登山データ】

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再登山 2011/12/29        再々登山 2015/12/19


竜ヶ岳登山記録

2007年 2回目の登山は、先日登った 毛無山 のすぐそばにある竜ヶ岳とした。

この山は、1999年に 毛無山から雨ヶ岳 へと歩いた際、なかなか姿形が立派な山として印象に残っており、 また翌 2000年辰年に因んでこの山に登ろうと考えたこともあったりと、少々気になる山の一つだったからである。

いつも通り 朝の 4時半に自宅を出発。見上げる空には星が輝き、本日は天気予報通り快晴のようである。 不安があるとすれば、前夜に降った雨が山では雪となって積もっていないか、積もっているとしたら どれくらいだろうかということである。
横浜ICから東名高速道に乗り、御殿場ICで下車。138号線を進み、途中から東富士五湖道路に入る。
道路を進むうちに、心配していた通りまだ薄暗い道路の周辺に新雪が見え始め、本日の登山に若干不安が芽生え始める。
河口湖ICで高速を下り、本栖湖へと向かう。暗い中、周囲の雪がライトに光り、ますます不安が募る。

やがて、本栖湖湖畔に至り、本栖湖キャンプ場近くの竜ヶ岳登山者用と書かれた大きな駐車場に車を駐める。 駐車場には雪はあるものの、結構固くなっており、ここでは昨日それほど雪が降った様子はない。まずは一安心。
暗い中、身支度をして出発 (6時32分)。ここでロングスパッツを忘れてきたことに気がついて頭が真っ白になった。 雪の山を登るのであるから、スパッツ無しでは膝から下がびしょ濡れになることを覚悟せねばならない。何というチョンボであろう。自分に対して悪態をつく。

先に駐車していた車から夫婦連れがまず歩き始める。その後を追うようにしてキャンプ場の中を竜ヶ岳の指導標に従って進む。 足下は完全に雪で、朝の寒さに完全に固くなっており、踏むたびにバリバリという音がうるさい。
薄暗い中、人のいないバンガロー群の中を通り抜け、指導標に従って右に進んでいくと、やがて平らな道の途中、左手に竜ヶ岳の登山口が現れた。ここで先を歩いていた夫婦連れに追いつき、 挨拶を交わす。

登山道の方は、ここから Vの字のように折り返す形で左手の斜面を登っていくことになる。
登山道に雪はそれほど積もってはいないが、ところどころ凍っていて滑りやすい。軽アイゼンを付けようかとも思ったが、それもちょっと大袈裟のような気がするし、 また取付に時間を取られるのがイヤでそのまま登っていくことにする。
ジグザグに登る中、やがて右手 樹林越しに本栖湖が見え隠れし始める。左手には大室山だろか、明るくなり始めた空にシルエットがうっすらと見える。

雪の量は登山口からそれほど増えることもなく、またよく踏まれているので全くスパッツは不要の状態。 しかし、この先 雪の量が増えるであろうから、忘れてきたことが本当に悔やまれる。
やがて樹林越しに 富士山 の姿が見え始め、 また進む方向には竜ヶ岳と思しきササ原の斜面を有した高みが見えてきた。
その後 すぐに小さな台地に登り着くと、目の前に富士山がドーンと現れたのであった (7時7分)。 何回も富士山は見てきているが、やはりその堂々とした姿には感動を覚える。

この富士山の好展望台から一旦下る。
目の前には竜ヶ岳とそこへと続くのササ原の斜面を持った小ピークが見え、竜ヶ岳の後ろには毛無山と思われる山も見え始める。また右手には本栖湖が見え、 その周囲の山々が薄いピンク色に染まり出す光景が素晴らしい。
否、もっと素晴らしいものが待っていた。ササ原の斜面に取り付くと、左手に富士山をずっと眺められるようになり、 しかもタイミング良く、富士山の左裾の中間地点から太陽がまさに昇ろうとし始めたのであった。太陽の光がダイヤモンドのように輝き、 富士山がシルエットとなって赤く染まり始めた空に映える。そして私を含む周囲は淡い黄色に染まり始める。 この光景は感動ものである。
なお、後で調べたら、1月初旬は竜ヶ岳山頂から見る御来光が富士山の頂上から登るとのこと (ダイヤモンド富士)。 そのため多くの人がその瞬間を求めてこの山に登るとか。自然の作り出す壮大なドラマを皆が求めるのも頷けるところである。

サラサラとした雪の上を快調に登る。富士山+御来光を見たことで、 気分もかなり高揚しているようで、足がドンドン進む。
振り返れば、王岳鬼ヶ岳などお馴染みの山々が朝日に染まっている。
やがて目の前にこんもりとした竜ヶ岳と、そのササの斜面にジグザグに付けられた雪の登山道が見えてくると、暫くして前方に四阿 (あずまや) が現れた (7時32分)。 その後ろには毛無山も見えるが、そのかなりのボリュームに些か驚かされる。

この四阿も富士山の好展望台であるが、今の時間は正に逆光。 写真は撮り辛いところである。しっかりと小屋 ? に収まった石仏の横を通り、竜ヶ岳の斜面に取り付く。ここから九十九折りと呼ばれる急登が待っていると聞いていたが、 本日はテンションが高いのか、あるいは誰も踏み跡のない雪の上を歩く喜びがそうさせるのか、本当に快調に足が進む。
先ほどの四阿がかなり下方に見え出すと、ササ原の中に所々生えている灌木の枝には張り付いた氷が目立ち始める。まるで白い花が咲いている様で美しい。

雪に足跡をつけることに喜びを感じながらササ原の中をひたすら登っていくと、徐々に傾斜が緩くなり、 やがて竜ヶ岳の頂上の一角に飛び出した。何回も頂上かと思わせては期待を裏切るフェイクの連続の山より、こういう素直な山は大好きである (8時18分)
誰もいない竜ヶ岳の頂上はかなり広く、そしてほぼ平らで、キャッチボールなど十分に行える程である。もしかしたら、ゴムボールを使っての野球くらいなら十分可能かもしれない。
広い頂上のほぼ中央には頂上を示す標柱が立ち、またその横には 北岳赤石岳 などの方向を示す標示板が 1本の支柱に付けられて立っている。
そして何よりも素晴らしいのはその眺めである。北の方は灌木があって視界を妨げているものの、そこを除けば周囲には遮るものがないため大展望が広がっている。 南東を見やれば、平坦で真っ白な頂上の先には富士山がまるで地続きのように見え、その 90度右、南西にはこれまた雪の原の先、 ササ原の上に雨ヶ岳、毛無山が大きく構えている。また、広い頂上の北西に進めば、目の前には雲海が広がり、その向こう岸に櫛形山などの山々が見える。 ただその後ろに見えるべき南アルプスの山々は雲の中であり、全く姿を見ることができなかったのは残念であった。

頂上にあった形の崩れた雪だるまと共に 30分ほど頂上を独占して眺望を楽しんだが、 時間はまだ 8時40分過ぎ、このまま下山するのはもったいない。当初計画していた通り、目の前の雨ヶ岳を目指すことにする。
ただ、ここまではロングスパッツを忘れてきたことで困ることはなかったが、これからは少々心配であるが致し方ない。
また、ここまでは全くアイゼン不要であったが、 これから竜ヶ岳の急斜面を下ること、そして日が当たりにくい北西側の斜面であることを考慮して 6本爪のアイゼンを装着し出発する (8時48分)

この下りは確かに急であった。
雪に覆われた斜面は滑りやすく、竜ヶ岳斜面に一直線に付けられた階段に到達するまではアイゼン装着で大正解といったところである。そして階段もかなり急な上に、 雪に覆われていたので、ここでもアイゼン装着は正解であった。

暖かい日差しを浴びながら急斜面を一気に下り、その後ほぼ平らになった道を暫く進むと、 懐かしき端足峠であった。前回は毛無山から雨ヶ岳を縦走してこの端足峠から A沢貯水池に下ったのだったが、今回は逆に急斜面を雨ヶ岳まで登ることになる。 時刻はまだ 9時23分、時間はたっぷりある。
しかも、A沢貯水池からの足跡もなく、当然雨ヶ岳への足跡も雪の上にはない。嬉しい限りである。

雨ヶ岳への登りは急斜面が続く。
雪の量は思ったより少なく、うっすらと雪の上に付いた足跡が導いてくれるので迷うこともない。途中見える富士山の姿、 意外と遠くに見える毛無山の姿を楽しみながら、ひたすら登り続けること 1時間、10時36分に雨ヶ岳頂上に着いたのであった。アイゼンを装着していたのは正解で、 雪の上で滑ってエネルギーをロスすることもなく、かなり効率の良い登りができたと思う。

この雨ヶ岳については前回全く展望を得られなかったのだが、今回は富士山を正面にキチンととらえることができた。 やはり山は登っただけではつまらない。そこからの展望があって喜びも倍加するというものである。
頂上から右手を見やればタカデッキ、大見山と毛無山に続く山々が意外に高く見え、先ほどまで頭に浮かんでいた 「このまま毛無山まで進もうか」 などという馬鹿な考えは簡単に一掃されたのであった。

この頂上にも 20分弱いたのだが誰も来ない。こういう頂上独り占めは本当に嬉しい。
さて、そうは言っても、いつまでもここに居るわけにはいかない。端足峠に向けて往路を引き返す。
途中、急斜面を登ってくる数人の男女と擦れ違ったが、折角 雪の上に付けてきた私の足跡が全て消されてしまうのを残念に思った次第である。 身勝手な考えではあるが・・・。
端足峠からは道を左にとって本栖湖へと下る (11時29分)。当然こちら側も誰も歩いた痕跡はなく、ロングスパッツを着けていない我が身には日が当たらない雪道だけに少々不安であった。 しかし、こちらも全くノープロブレム。雪は少なく、スパッツは全く不要であった。

今年、この暖冬は異常である。
私のようなレベルの登山者にとっては、この暖冬は登れる山の選択肢が広がってありがたいのだが、地球レベルで考えた場合、大変な問題である。 最近では札幌の雪祭りが雪不足で苦労したとのニュースもあり、青森冬祭りは中止、また暖冬で野菜がとれすぎて値が下がり、それを防ぐために折角とれた野菜を廃棄するといったことまで起こっている。
ちょっと場違いなので深くつっこんで書くつもりはないが、兎に角 我々一人一人が地球温暖化に対して対策を打たねば取り返しのつかないことになるのは必定である。 既に自然によって多くの警告が我々人類に出されている。しかし、個人個人はまだそれほどこの問題を深刻には受け止めていないようである。先日もスーパーの駐車場で奥さんの買い物を待つため、 ご主人がエンジンを掛けた車の中に 30分ほどいたのを見かけたが、本当にイエローカードを出したいくらいである。

閑話休題。
端足峠から展望の利かない樹林帯を一気に下る。時折、樹林越しに本栖湖が見えるものの、長い下りは退屈である。加えて下り降りた後、本栖湖に沿って杉林の中を本栖湖キャンプ場まで歩いたのだが、 これも退屈の一言。これだったらいっそのこと、湖畔に降りて雪の車道を歩いた方が湖が見られて面白かったに違いない。
その退屈な道もようやく終わり車道に出れば本栖湖湖畔で、そこからほんの少しで駐車場であった。
時間は 12時48分。短い登山時間だった割には結構楽しめた山行であった。特に、全ての山道、頂上を独り占めした気分は最高であった。


竜ヶ岳登山データ

上記登山のデータ登山日:2007.1.27 天候:快晴単独行日帰り
登山路:本栖湖キャンプ場駐車場−登山口−富士山展望台−四阿−竜ヶ岳−端足峠−雨ヶ岳−端足峠−テント村分岐−竜ヶ岳登山口分岐−本栖湖キャンプ場駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道路)−御殿場IC−須走IC−(東富士五湖道路)−河口湖IC−本栖湖キャンプ場駐車場 (車にて)
交通復路:本栖湖キャンプ場駐車場−西富士道路−富士IC−(東名高速道)−沼津IC−(国道1号線)−(箱根ターンパイク)−(小田原厚木道路)−厚木IC−(東名自動車道路)−横浜IC−瀬谷 (車にて)
その他の
竜ヶ岳登山
本栖湖駐車場−竜ヶ岳−端足峠−雨ヶ岳−タカデッキ−毛無山−朝霧グリーンパーク入口 (2011年12月29日 : 快晴)
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本栖湖駐車場−竜ヶ岳−端足峠−雨ヶ岳−タカデッキ−毛無山−根原−根原バス停 (2015年12月19日 : 快晴)
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