表妙義( 相馬岳:1,104m ) 1998.5.16 登山


 鷹戻しのピークから見た相馬岳( 1998.5.16 )

【表妙義登山記録】

【表妙義登山データ】

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再登山


表妙義登山記録

山の雑記帳(失敗!失敗!失敗!)に書いたような経緯で、急遽表妙義に登ることになった。

上信越自動車道松井田ICで降り、すぐに信号を左に曲がって暫く先のT字路を右に曲がれば、妙義神社まで一本道で、 目の前には表妙義の鋭い岩峰が見えてくる。

妙義神社の前の大きな駐車場に車を停め、身支度を整えて妙義神社に向かうと、表妙義の壁のような山々が立ちはだかっているのが見えた(7時35分)。
山の中腹には白い「大の字」が見えていたが、 これを見た時に私は観光的なものを感じて、この山を少し甘く見てしまったのかもしれない。

歴史を感じさせる、すり減った長い神社の石段を昇り、本殿にて本日の登山の無事をお願いした後、右手の北門から登山道へと向かった。

大の字登山口と書かれた標識と、白雲山妙義大社と書かれた石碑を横目に進んでいくと、道はすぐに丸太で作られた階段となったが、 これが結構長く、 歩幅が合わずにペースがやや乱れた。

小さな谷を越すと、本日最初の鎖場となったが、ここは鎖を使わなくても十分登ることができるものであった(この時にサイレンが聞こえたので、 時計を見ると8時丁度であった)

やがて左手の谷の登り詰めに大きな岩の洞穴が見えると、その後は大きな岩が登山道の周囲に現れるようになり、 やがて右手に大きな崖が壁のようにそびえ立っている場所に出て、 その崖の左を巻くように進むと、 第二の鎖場となり、 今回は鎖を使って登らねばならなかった。

鎖を登り切ったところはT字路となっており、右はそのまま登山道が続いていて、左手は先ほど駐車場で見た「大の字」が置かれている岩峰であった。

一旦「大の字」へと向かい、鎖をよじ登ってその頂上に立ったが、「大の字」は鉄板を「大」の字の形に切って白ペンキを塗り、 支柱にて立てたものであった。

そこからの展望は抜群で、車を置いた駐車場はもとより、上信越自動車道の他、足下に大きく景色が広がっていたが、残念ながら紫に煙ったような感じで、 何となくぼやけていたのが残念であった。

再び登山道を進み、崖下を左に回りこんでいくと、「辻」と書かれた分岐に着いたが、左は中間道(妙義山の初心者向け登山コース) 右は奥の院との標識があり、 これから目指す表妙義の山群は右の道であった。

すぐに鎖の登りとなったが、これが意外ときつく、今までの行程とはレベルが違うぞということを見せつけられているような登りであった。

やがて、道が岩を階段状に削ったように変わると、大きな一本杉を従えた洞窟が正面に見えてきたが、それが奥の院であった。

岩の階段を昇っていくと、立派な石垣があり、そこにかけられた梯子を登り切ると、岩屋の中に「白雲山妙義大神」と書かれた石碑と石仏が2体ほど置かれており、 洞窟内には水音だけが響いていた。
洞穴の上部には明かり取りの穴があり、 そこから光が射し込んで石仏などがよく見えるようになっていたので、 その時は計算して開けられた穴なのかと思ったのだが、 後で洞窟の上部に回ってみると自然の穴のようであった。

登山道に戻り、一本杉の横から鎖に取り付いたが、これは3本の鎖が続く長い登りであり、周囲に誰もおらず静かな中、何となく薄気味の悪さを覚えながら登っていった。

登り切った所が先ほどの明かり取りの穴がある場所で、そこから先、大きな岩屋を右に見て、岩の間をすり抜けるようにして進むと、 また鎖が現れたが、 この鎖は今までの赤く錆びたものとは違って、 付けられたばかりの銀色の鎖であった。

見晴らしの良い場所を過ぎるとまたまた鎖場となり、縦−斜め横−縦の3本鎖を使ってよじ登ると、そこには素晴らしい眺めが再び待っていてくれた(但し、 紫に煙っている)

道は右に下るようになっていたが、正面に標識が見えたので行ってみると「玉石」と書かれており、白雲山頂上(と思う)は、 その反対側の岩峰で、 登ってみると狭い所に「頂上」と書かれた標識と祠の跡があり、 時計を見ると9時20分であった。

見晴らしはさすがに抜群で、特に目の前に、これから登る天狗岳の岩峰がグッと持ち上がって迫力を見せているのが印象的で、 また振り向けば嬉しいことに裏妙義の向こうに、 浅間山の穏やかなシルエットが見え、 手前に見える裏妙義の凸凹とは好対照であった。

白雲山から大のぞきはすぐの距離で、そこには「御嶽三社大神」の石碑があり、ここでも裏妙義浅間山の面白いコントラストを見ることができた。

この後は、本日初めての下りの鎖場で、これがまた結構距離が長いのに驚かされた。

鎖場を下りきった後は、何となく薄暗い谷の中の登りとなり、表側に出て登り切った所が天狗岳の頂上であった(10時6分)

頂上では本日初めて登山者と会うことになったが、聞けばこの先の中間道から登ってきたとのことであった。

天狗岳頂上は狭く、展望がほとんどきかないため、記念写真をお互い撮り合った後、すぐさま先へと進んで、暫く先の見晴らしの良い岩場で休憩をしたのだが、 その岩場に登って大変ビックリさせられたことがあった。

駐車場から山に向かって右手の方から登り始めたのだから、常に左側に駐車場方面があると思っていたのに、何と左手には裏妙義浅間山が見えたのである。
訳が分からないまま登山道に戻ったものの、 その後も反対方向へと進むような感覚が続いたが(実際に反対方向へ進んでいた)、 よく考えると、 登山道はいつの間にか「Sの字」のような形を辿っており、 天狗岳から岩峰、 そしてその少し先までは「Sの字」のうち、 戻る形となる部分に該当するのだろうと思われる。

やがてタルワキ沢を通る中間道への分岐を過ぎ、10時40分に相馬岳の頂上に立つことができたが、その頂上は狭く、 大きくむき出しになっている三角点と標識が2つ程あるだけの、 展望も余りきかない場所であった。

相馬岳からは登下降が暫く続いた後、道は平らとなり、右に国民宿舎の道をみてからは、どんどん下ることになった。

かなり道が荒れている中、小さな沢を2つ程過ぎ下っていくと、空谷を横切ってからは登りが続くようになり、途中樹林の切れたところから相馬岳方面を見ることができた。

岩と木の根を掴みながら登り切った所に岩のトンネルがあり、そこをくぐって暫く進むと、やがて堀切(ホッキリ)の鞍部となり、 中間道への道が左に下っていた。

先に進むと目の前に大きな岩峰があり、その右側の道を進んでいったのだがここで大失敗をしてしまった。
実は、 その右の道を少し進んだところで、 左側の岩峰につけられたロープをよじ登らねばならなかったのだが、 それを見落とし、 前に付けられた足跡を追って先に進んでしまったのである。
そして、 道らしきものがそれなりにあり、 また人が通った跡もあったので、 どんどん谷へと下りていったのだが、 途中から全く道が無くなってしまったのである。

恐らく前に進んだ人は間違いに気づいて道を戻ったのであろうが、私は枯葉の上の道のために足跡が不明瞭なのではと思い、 谷の中を更に先に進んでみたのだが、 全く人の歩いた気配が周囲にしなくなったので、 仕方なくあきらめて、 来た道を登り返すことにした。

戻るなら岩峰のとっかかりまで戻れば良かったのだが、途中まで戻ったところで道を見落としてはいないかと思い、 再度谷を下ったため、 間違った道を合計2往復することになってしまった。

完全の途方に暮れてしまって岩峰のとっかかりまで戻り、先ほどの分岐まで戻って中間道へと下ろうかどうしようかと思案していたところ、 分岐点の方から人がやってきたので事情を話すと、 何のことはないその人は例のロープをすぐに発見してくれたのである。

道らしいものがあったので、下だけを見ていたためにこのように迷ってしまったのだが、合計40分ほどのロスは肉体的にも精神的にも大変私を疲れさせることになった。

暫く休んだ後にロープに取り付いて登山道を進んだが、やはり気力が萎えている感じがした。

少し進むとカニのヨコバイのような鎖場があり、その後は登り下りの連続となった。

やがてこの縦走路最大の難所である鷹戻しとなったが、鎖を乗り越すと鉄梯子となり、そこから垂直の登り、 少し横に登ってまた垂直の登り、 そして最後は長い垂直ロープ&鎖が続き、 登り切った時には腕が痛くなってしまうほどであった(13時30分)。

これほど腕で自分の体重を引き上げるような鎖場はあまり経験したことがなく、さらにそれが長く連続で続いているからかなり厳しかった。

鷹戻しからは裏側へ下り、暫く平坦な道を進むと、今度は登りとなり、登り着いた小さな岩峰からは、反対側への鎖場の長い下降となった。

私のとっては、先ほどの登りの鎖場よりもこの下りの方が厳しく感じられ、ほとんど垂直な斜面を足場を慎重に確保しながら、 時に左右に振られたりして、 やっとの思いで降りることができた。

このような垂直下降はあまり経験が無く、降り方がよく分からなかったというのが実状である。

少し先で、今度はロープを使っての下降があり、降りた後少し先で道が細くなってきたので、また道を間違えたのではと思ったところ、 長いロープが斜面に張られているのを見つけたので、 一安心した。

ロープを使っての下降の後、あまり踏み跡のハッキリしない道を下っていき、再び少し不安になる頃にまた下りのロープが現れたので、 金洞山への登りが控えているのに下り過ぎではないかと疑問を持ちながらも下っていくと、 徐々に道は明瞭になり、 下から人の声が聞こえてくるようになった。

そして飛び出したのが大砲岩と中之岳神社の分岐点にあたる中間道であった。
やはり再び道を間違えたのだが、 正直言って間違えてホッとした気持ちがあったことは事実である。
先ほど道に迷ったことで、 かなりのエネルギーロスに陥っていたため、中之岳まで登り切るのはかなりしんどいと思われたからである。

中間道からは、第四石門を経て中之岳神社(14時45分)へと下り、後は車道を歩いて、途中一本杉の所で再び中間道に入って車道をショートカットし、 15時35分に駐車場へと帰り着いた。

途中で2度も道に迷い、最後まで縦走することができなかったが、大変登り応えのある山で、楽しかった。

最後まで縦走できなかったのは、やはり最初の「大の字」を見て、少し山を甘く見た報いなのかもしれない。

捲土重来を期したい山である。


表妙義登山データ

上記登山のデータ登山日:1998.5.16 天候:晴単独行日帰り
登山路:妙義神社駐車場−妙義神社−大の字−辻−奥の院− 白雲山−大のぞき−天狗岳−タルワキ沢分岐−相馬岳−ホッキリ−鷹戻し−第四石門−中之岳神社−一本杉−妙義神社駐車場
交通往路:瀬谷−狩場IC−(首都高速道)−美女木JCT−(東京外環道)−(関越自動車道)−(上信越自動車道)−松井田IC−妙義神社駐車場(車にて)
交通復路:妙義神社駐車場−松井田IC−(上信越自動車道)−(関越自動車道)−練馬IC−(環状8号線)−(国道246号)−瀬谷(車にて)
その他の表妙義登山妙義神社駐車場−妙義神社−大の字−辻−奥の院− 白雲山−大のぞき−天狗岳−タルワキ沢分岐−相馬岳−ホッキリ−鷹戻し−東岳−中之岳−中之岳神社−一本杉−妙義神社駐車場 (2005年11月19日 : 晴)
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