権現岳・編笠山( 権現岳:2,715m ) 1998.11.14 登山


 編笠山中腹から見た権現岳( 1998.11.14 )

【権現岳・編笠山登山記録】

【権現岳・編笠山登山データ】

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権現岳再登山       権現岳再々登山

編笠山再登山       編笠山登山 3       編笠山登山 4 (権現岳再々登山と同)


権現岳・編笠山登山記録

土曜日は快晴、という天気予報に促されるように山に登ってきた。
実は、その週は結構夜更かしが続いていたので、身体としては土曜日の朝寝坊を欲していたのだが、 先月の半ばに
八幡平・裏岩手連峰蔵王を登って以来、1ヶ月も山とはご無沙汰していたこともあり、 また土日に快晴となる確率もそう高いわけではないので、金曜日の晩に急遽山行を決定したのである。
登った山は、以前 7月に登ろうとしていて途中で気が変わり、主峰の 赤岳の方に切り替えられてしまった経緯のある、 権現岳と編笠山である。

朝、4時半に車にて家を出て、まだ真っ暗闇の中を登山口の観音平まで向かったが、 そこまでの行程は 「山の雑記帳:権現岳に登った」 を参照戴きたい。
八ヶ岳公園道路からはずれて観音平へと向かう道は、予想していたものとは違って立派な舗装道路で、途中の展望台 ? からは甲府盆地と南アルプス、 富士山などが一望でき、私が通りかかった時には、 丁度太陽が昇ったばかりのところでカメラの放列ができていた。
観音平は標高がすでに 1,570m程もあり、こんな高いところまで車で来てしまうのは些か気が引けたのだが、 かといって小淵沢駅から 2時間半かけて登って来る気もせず、まあ致し方ないところか。

観音平を出発したのが 6時55分、編笠山への直登ルートもあったのだが、 先に権現岳に登りたいと思い、編笠山へのルートを左に見過ごして、そのまま東の方へと進んだ。
標識には八ヶ岳神社・三味線滝とあり、とりあえずの目標は八ヶ岳神社である。
観音平から樹林帯の中をどんどん下ることになり、涸れた沢を横切ると林道歩きとなって、 本当にこの道が正しいのか若干心細くなった。
というのは、八ヶ岳神社と書かれた標識は観音平からの下り口にあるだけだったからで、 やがて林道をはずれてクマザサの斜面を登っていくことになると、 こんな山の上に神社などあるわけはないという思いが強くなって、ますます不安になってきた。
しかし、やがて目の前に小さな石の祠が現れたのであるが、何とこれが八ヶ岳神社であった。
神社というと立派な鳥居と社殿が想像されることから、こんなに登っていった所に神社があるはずがないと疑っていたのだが、 何のことはない、鳥居と社殿というのは私の勝手な思い込みであった。

八ヶ岳神社から三味線滝への道と分かれて道を左にとり、クマザサの斜面を登ることになったが、 背丈は低いが結構クマザサがビッシリ生えていて道を隠しており、あまり人が通っていないのではないかとの疑問を持つような道であった。
やがて、突然ササが切れ、砂利道に飛び出したので、どちらへ行こうか迷ったが、左を見ると延命水と書かれた緑色の立て札が立っており (権現岳とは書いていない)、こちらで良いのだろうと検討をつけて、その標識からさらに上へと向かった。
そこからの道もクマザサの道であったが、ここも所々ササで覆われていて道が分かりにくく、若干不安が心をよぎる。
やがて 「水」 と大きく書かれた岩がある場所に着いて (どうやらここが長坂展望台らしい)、 そこにあった権現岳と書かれた標識を見て一安心した次第である。

斜面の登りは、そこからも延々と続き、クマザサに覆われた道の歩きづらさも相変わらずであったが、 山の雑記帳 「権現岳に登った」参照) でも書いたように、 この日はそれまでの寝不足がたたってか、身体がだるく、登山靴も若干重いものを履いていたこともあって、 この斜面の登りは大変つらいものがあった。
それでも、樹林の間から見える空には雲一つなく、青く透き通っており、山頂での好展望が期待できそうだったので、 何とか頑張る気になったというところである。

やがて、道を不明瞭にしていたクマザサがなくなり、樹林がきれて少々ザレた場所に飛び出したが、 そこには丸太の土留めがあり、ヘリポートと書かれた標識があった。
ここからの展望は抜群で、眼下に甲府盆地が広がり、逆光気味ではあるが既に頂を真っ白に輝かせている 北岳やその右に 甲斐駒ヶ岳などのお馴染みの山々を見ることができる。 本来ならノンビリしたいところであったが、ここで休むと返って登るのが億劫になると思い、写真を数枚撮っただけで通過した。

ヘリポートからは再び樹林帯へと入り、暫く登ると尾根上の道を歩くことになったが、 そこからは落葉した樹林越しにこれから登る権現岳、そして谷を夾んだ向かい側にはその名の通り編笠のようになだらかなカーブを持った編笠山を見ることができた。
やがて、木戸口公園と書かれた標識のある場所に着いたが、ここからはそれほど起伏のない、公園散歩と言っても良い広い尾根道が暫く続くことになる (8時35分着)
大変気持ちよく歩けたと言いたいのであるが、実はこの日は風があり、それも、なだらかな編笠山の斜面によって加速されたかの如く、 強く冷たい風が横から吹いてきており、身体の熱は一遍に吹き飛ばされ、手袋をしていない手はかじかみ、さらに被っていた帽子は飛ばされるなど、 散々な目にあってしまったのである。
ところが面白いもので、やがて道が尾根の右下を通るようになると、風は全て尾根に遮られて全く吹いてこず、 枯れた草原に腰掛ければポカポカとした太陽が照りつけて、それこそトカゲを決めこみたくなるような状況となり、 童話の 「北風と太陽」 を実感させられたような感じであった。
そしてありがたいことに、甲斐大泉−天女山からの道との合流点近くまでこの尾根の右側の道を進むようになっていたので、 寒くつらい思いしなくて済み、大変助かったのであった。

樹林が切れ、岩やハイマツが目立つようになって、森林限界かなと思うようになると、 右手から今述べた天女山からの道が合流することになり、そこから 200m程進むと、三ツ頭頂上であった (9時37分着)
ここからは、これから登る権現岳の鋭い岩峰と、今まで見ることができなかった 赤岳の姿が圧巻で、特に 赤岳の、 その下からググッと屹立 (きつりつ) した姿は、感動すら覚えるものであった (これまた山の雑記帳に書いたように、 その隆々として天を突く姿には、男性のシンボルを想起させられるものがあった)

三ツ頭からは一旦下り、小さなピークを登り返すと、遠くに見えていた権現岳が意外に近いことに気づく。
ザレて滑りやすい急斜面を慎重に登り切れば岩場となり、やがてスッパリ切れ落ちた崖のそばに小さな祠が見えた。
祠でここまでの無事と今後の安全を祈願した後、岩伝いに進むと右上に 「権現岳:山梨百名山」 と書かれた標柱が見え、 そのさらに上方には錆びた剣と標識があり、そこが権現岳の頂上であった (10時22分)
頂上には大きな岩が 1つあり、その上に立てば、その 360度遮るもののない展望に天下をとった気分にさせられるのであろうが、 風が大変強く、少しでもバランスを崩せば権現沢の谷底へ真っ逆様という危険性があったので、登るのは遠慮させてもらった。
ここからの 赤岳も素晴らしく、その横には横岳、そしてさらに左にはどっしりとした阿弥陀岳があり、 さらにその後方には 蓼科山を見ることができた。

頂上は吹きさらしで、あまりの風の強さと寒さにそう長居はできず、 そそくさと権現小屋へ足を進めることにした。
権現小屋からはギボシ、西ギボシと呼ばれる双耳峰のようなピークの下を巻き、鎖のある岩場を伝って下り、 再び登り返したところがノロシバという小ピークであった。
地図に 「ノロシバ」 と書いてあって面白い名前だと思っていたら、 これは 「狼煙場」 ということらしく、確かに見晴らしも良いことから、 狼煙を上げれば四方からそれを見ることができる。
ノロシバからは下に見える青年小屋を目指してドンドン下ることになったが、近づく青年小屋の向こうには、 大きな岩が累々と積み重ねられた斜面があり、その上には樹林帯を真っ二つに割るようして登山道がつけられている編笠山を眺めることができた。

青年小屋で暫し休憩をとったが、小屋の前の広場から仰ぐ権現岳は、 その左にあるギボシの方が立派に見えるので、些かお気の毒であった。
一見大変そうに見えた編笠山への登りは、歩いてみるとそれほどでもなく、青年小屋から 20分余りで頂上に達することができた。
編笠山の頂上は、大きな石が積み重なった広い場所で、今登ってきた権現岳の他、赤岳、 阿弥陀岳などが良く見えたが、風がここでも冷たく強く、ほとんどの人たちは風を避けて山の斜面の方に逃げ込んでいた。
この編笠山に着いたのが 11時49分、午前中で本日の目的を達成してしまったというのは、 何となくモノ足りない気がする。
もっとも、あまり体調が良くなかったのだからこの程度が丁度良いという気もするが・・・。

編笠山で記念写真を撮り、暫く休んでから 12時丁度に観音平へと向かったが、 頂上の標識がやや分かりにくいように思えた。
編笠山から観音平へは、樹林帯の中を延々と下ることになり、赤いテープを頼りにひたすら下り続け、13時11分、 観音平に無事戻ることができた。
編笠山だけに登るのならともかく、権現岳に登る場合でもこちら側の道を利用する人がほとんどのようであるが、 こちらは雲海展望台を除いては展望のない樹林の中の道が延々と続くことから、 権現岳に登るのなら私のとったルートの方が断然面白いと思う。大正解であった。

身体が何となく不調で、またその割には呆気なく終わってしまった感があり、 十分に山を堪能したとは言えなかったが、今まで見たことのない角度から 赤岳を見ることができ、 その素晴らしい姿に大いに感心させられ、また体調が悪いなりの登り方も実践できたので、 今回の山行も良しとしたい。


権現岳・編笠山登山データ

上記登山のデータ登山日:1998.11.14 天候:快晴単独行日帰り
登山路:観音平−八ヶ岳神社−長坂展望台−ヘリポート−木戸口公園−三ツ頭−権現岳−ギボシ− ノロシバ−青年小屋−編笠岳−押手川−雲海展望台−観音平
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央自動車道)−小淵沢IC−観音平(車にて)
交通復路:観音平−小淵沢IC−(中央自動車道)−八王子IC−瀬谷(車にて)
その他の
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美し森 たかね荘−羽衣池−賽ノ河原−牛首山−扇山−(真教寺尾根) −竜頭峰基部−赤岳−竜頭峰基部− キレット−ツルネ−旭岳−権現岳−三ツ頭−前三ツ頭−天ノ河原−天女山−展望台−(八ヶ岳横断自然歩道) −羽衣池−美し森 たかね荘  ( 2010.7.10 晴れ時々曇り )
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観音平−雲海−押手川−編笠山−青年小屋−ノロシ場−西ギボシ−東ギボシ−権現小屋−権現岳−三ッ頭−雲海−八ヶ岳横断歩道−八ヶ岳神社−観音平   (2017.09.19 : 曇り後快晴)
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富士見高原ゴルフコース−盃流し−岩屋−編笠山−青年小屋−乙女の水−西岳−不動清水−富士見高原ゴルフコース  ( 2010.4.24 快晴 のちやや曇り )
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富士見高原リゾート駐車場−五叉路分岐−盃流し入口−臼久保岩小屋−2,000m 標識−2,300m 標識−森林限界 岩場−編笠山−青年小屋−乙女の水−西岳−不動清水−五叉路分岐−富士見高原リゾート駐車場   (2012.11.25 : 快晴)
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観音平−雲海−押手川−編笠山−青年小屋−ノロシ場−西ギボシ−東ギボシ−権現小屋−権現岳−三ッ頭−雲海−八ヶ岳横断歩道−八ヶ岳神社−観音平   (2017.09.19 : 曇り後快晴)
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