越後駒ヶ岳( 越後駒ヶ岳:2,003m ) 2001.10.07 登山


  グシガハナ頂上から眺めた越後駒ヶ岳 ( 2001.10.07 )

【越後駒ヶ岳再登山記録】

【越後駒ヶ岳再登山データ】

フォト

初回登山       再々登山


越後駒ヶ岳再登山記録

先月末の 中ノ岳に続いて、 そのお隣の 越後駒ヶ岳に登ってきた。
越後駒ヶ岳はこれで 2回目の登山となるのだが、今回登ったコースは前回登った枝折峠からのコースやその下山時に使った駒ノ湯からのコースではなく、 これらのコースとは全く反対側に位置する 八海山側、水無渓谷からのものである。

この水無渓谷から登るコースのことは全く知らなかったのであるが、 前回登った中ノ岳の登山記録を書く際に周辺の地図を詳しく眺めたところ、八海山北側に越後駒ヶ岳へ直登できるこのコースを発見した次第で (発見というのは大袈裟だが、私にとっては文字通り発見であった)、これは私にとって大変な喜びとなったのであった。
というのは、昨年の八海山、そして先月の中ノ岳とも絶好の快晴に恵まれた中、それぞれの頂上から見た駒ヶ岳が大変魅力的に見えたことと、 前回の駒ヶ岳頂上ではあまり展望に恵まれなかったことが大変残念に思えてならなくなってきたことから、 駒ヶ岳に再登山したい気持ちを強く持ったのであったが、如何せん、駒ノ湯、枝折峠までのアプローチは遠く、 車での日帰り登山は無理かなとあきらめていたからである。
しかし、この水無渓谷からのコースなら、他の 2コースに比べて登山口までのアプローチがグッと短縮される訳で、日帰りも十分可能なのである。
やや心配なのは、地図上のコース時間が長いことであったが、同じ道をピストンするのであれば下山が多少遅くなってもあまり問題はないと思い、 さらに体力面でも 7月に 富士山に登ってきたことが大きな自信となって、 早速登ってみることにしたのであった。

車を止めた越後三山森林公園駐車場までのアプローチは、 山の雑記帳を参照戴きたいが、6時58分に駐車場に着いた時には数台の車しか止まっておらず、 また下山して戻ってきた時も同じような状況であった。
これは、水無渓谷が治水工事の最中で見るべきところがないからと思われ、この整備工事が終われば、ここも観光地化することは間違いない気がする (7時6分発)

この駐車場から山の取り付き口である十二平までは結構離れており、40分ほどの林道歩きを強いられた。
工事のため一般車通行止めの看板が掛かった簡易ゲートをくぐり、砂利道を進む。
見上げれば、空一面雲に覆われており、快晴マークの付いていた天気予報とは全く違う状況にややモチベーションが下がる。
今日は日曜日、工事は休みかと思っていたら、前方から大型ダンプが走ってきたので少し驚かされた。 あのダンプがそのまま六日町の方へと走るのであるのなら、私が車を進めてきた道路でのすれ違いは大変である。

林道周辺には結構 登山者のものと思われる車が止められており、 また私が歩いている最中にも 2台ほど私を追い越していった車があった。通行止めの禁を犯している訳で、少し不愉快になる。
道路右手には水無川が流れ、その向こう側は八海山になるのであろう、急な斜面が立ち上がっている。
よく見ると、山は険しい岩肌を持ち、深い襞を多く有していて、その間を縫うように水が流れており、 山肌にはいくつもの白い筋ができている。
左手の斜面も同様で、林道途中には立派な滝もある。先ほど私を抜かしていった車は、これらの岩や沢、滝を登ろうとしている人たちなのかもしれない。

整備が進みつつある水無川の岸辺を進んでいくと、やがて前方に工事をする人たちの飯場が見えてきた。
駒ヶ岳の登山口はその飯場手前左側にあり、しっかりした標識が置かれていて迷うことはない (登山口と書かれた看板と十二平と書かれた標柱があった。7時43分着
林道を離れて草むらを横切ると、すぐに急な登りが始まるが、ここまでの緩やかな林道歩きが良いウォームアップになったのであろう、 身体が悲鳴を上げることもなくスムーズに足が進む。
ただ、この登りは本当にひたすら登り続けるという形容がピッタリで、紅葉が始まりつつある灌木の中を、 休むに適当な場所もないままに本当にひたすら登り続けるのであった。

灌木が多いため、結構視界は利き、振り返れば八海山の大きな山容とそこに流れる白い水の筋が見事である。
左手には駒ヶ岳から西へと続く山々が見えているが、その山容をどこかで見たような気がしたのは、 八海山頂上で見た記憶があるためなのかもしれない。
さて、いくらウォームアップが済んでいるとは言っても、こう登りが続くとやはり厳しいもので、メリハリが欲しくなるものであるが、 道はそれを許さず、ひたすら登り続けなければならないのであった。

ようやく一息ついたのが、立派な北五葉松がある二合目 「雪見の松」(8時16分)、そこから暫くは平らな道が続いたので呼吸を整えることができたのであったが、 しかしまたすぐに苦しい登りが始まったのであった。
この二合目の後、本来なら三合目、四合目と続く標識があるはずであるが、時々、風化のために書かれている文字が読めない木の札を見つけはしたものの、 結局 「合目」 が確認できたのは、登山コースの終盤、九合目、十合目だけであった。
従って、ここでも中ノ岳の時と同じように、「雪見の松」 のところに書かれていた 『三合目まで 2キロ』 の文字が結構気になり、まだかまだかと思いながら進めども結局三合目は見つからずという状態で、 精神的に疲れることになってしまったのだった。

途中、ブナの林を通ったが、葉が黄色に染まり、この頃には顔を出し始めた太陽の光を浴びて、なかなか美しい。
また、ひたすら登るこの道も途中から完全な稜線歩きとなったのは嬉しい限りで、周囲の景色が良く見える。
特に目を惹くのが、八海山の入道岳から五竜岳、荒山、オカメノゾキ、御月山、中ノ岳へと続く尾根で、 そのグッとボリューム感を持って張り出している姿は、山好きなら歩いてみたくなること請け合いである。
天候の方も、魔法が解けたかのように、今まで空を覆っていた雲はなくなり始め、青空が広がりだしている。
ただ、太陽が顔を出した為に、中ノ岳は逆光となり、その姿はボンヤリとしか見えない。

稜線に出た道は、ササの緑と紅葉した木々の黄や赤の中を登ることになって気分は良いが、 見上げれば目の前に大きな高みがそそり立つように待っており、そこまでの登りを思うと気分が萎える。
最初、その高みを見た時は、あれが駒ヶ岳頂上かとも思ったのだが (というよりも、そうあって欲しいとの願望が強かった)、 良く目を凝らすとその高みの向こうにも山が見え、地図で調べると、その高みは グシガハナ というピークであることが分かったのであった。

途中の大岩で、腹ごしらえをして、それではと厳しい登りに挑む。
この近辺に 「力水」 という場所があるらしいのだが、いかにもこれからの急登に備えるという意味が感じられて面白い。
しかし、残念ながら場所を特定することはできなかったのだった。
さて、覚悟して臨んだ急登であったが、ジグザグ、あるいは直線の登りを黙々と登り続ける中、 周囲の紅葉と八海山の堂々とした姿が気力をくれたのであろうか、意外に苦しさはなく、スンナリと登り切れたのは幸いであった。

道は、途中、視界の良い稜線歩きから徐々に樹林の中の登りとなって周囲が見えなくなり、 やがて倒木などを越えていくことになったが、キツい登りの中のピークの 1つに 「忘我峰 (後で調べたら七合目らしい) と書かれた木札がぶら下がっている場所があった (10時47分)
久々に地図上で場所を特定できた訳で、ここまで登れば先ほど見た地図でグシガハナはもう少しのはずであり、足にも力が入る。

やがて、木の根が階段状になった急登を喘ぎつつ登り切って、ヒョイと飛び出したグシガハナは、 狭いながら見晴らしの良いピークで、朽ちかけた標識が 1つ立っており、 そこからは駒ヶ岳とそこまでに至る稜線が良く見えた (11時13分着)
ただ、この頃になると、展望の大敵であるガスがかなり上がり始めてきており、八海山方面は完全にガスに隠れて見えない状態となり、 中ノ岳の方はその頂上が少し見える程度となっていたが、ありがたいことに駒ヶ岳にはまだガスが届いておらず、 紅葉した稜線の先に青い空とともにその姿を見せてくれていたのであった。
しかし、それとてガスがモチガハナ沢方面から上がってきていることから、隠れてしまうのは時間の問題であり、 ガスに負けじと、ゆっくり休む間もなく駒ヶ岳へと足を進めたのであった (11時18分発)

グシガハナから一旦下ると、そこからは岩稜歩きが始まり、気分が良い。
右手下には灰色の岩と草の黄色に、赤や緑の色が混ざって美しい谷が形成されている。
振り返ればガスの中にグシガハナが鋭角な頂を見せており、意外に立派なその姿に少し驚かされたのであった。
やがて、周囲は草地に変わって、コンクリートで造られた丸太の道を登ることになり、登り着いたところが中ノ岳方面からの道との合流点であった (十合目)
この頃になるとガスは駒ヶ岳も覆い始め、頂上方面は霞んで見える。

やがて駒の小屋からの道を右から合わせて、ぬかるんだ道を進むと、すぐに人々が憩う駒ヶ岳頂上であった。
11年ぶりの再登頂である (12時ジャスト)
頂上の祠及びその横にある猿田彦の銅像や石碑は以前のままであったが、その他に以前にはなかったと思われる立派な標柱が立っている (但し、その標柱で汗に濡れたシャツを乾かしている不届き者がいたのは残念)
猫の額ほどに狭い頂上は多くの人で賑わっており、ザックを置くスペースを見つけるのもやっとという有様であった。
幸いこの頃にはガスは流れてくれていたものの、八海山は前回の時と同じようガスに囲まれてその鋸状の頂がわずかに見えるだけであり、 その他の山もガスに囲まれていて、荒沢岳の鋭鋒がわずかに見えるだけであった。

記念写真を撮ってしまうと、この混み合う頂上ではユックリ休憩する気になれず、 わずか 8分ほどで退散したのであった。
百名山としては最短の頂上滞在時間であろう (12時8分発)
再び往路を辿り、グシガハナ手前の道に小さなスペースを見つけて食事をした。紅葉の山は気分が良いが、 やはりガスで周囲の展望が得られないのは寂しい。
正面に見えるはずの中ノ岳も、最早その姿を見ることはできなかったのであった。

グシガハナにて再度駒ヶ岳を振り返っても、もう完全にガスの中で何も見えない状態であったが、 こうなると却って踏ん切りがつくもので、もう写真など撮ることもないなと思い、ひたすら下り続けることに専念したのであった。
しかし、この下りがまたクセモノで、濡れた岩や木の根っこが滑りやすく、何回バランスを崩しかけたことであろうか。
それにしてもよくもまあこの急斜面を登ってきたものである。同じ道を下ってみて、あまりに続く斜面にこの道を登ってきた午前中の自分に感心すること仕切であった。
また、疲れがでたのであろうか、下山路は長く感じられ、向かい側の八海山を流れ落ちる水流のしぶきまで見えるようになっても、 なかなか高度自体は下がらず、登山口に辿り着くまでイライラし通しであった。

しかし、喧噪の駒ヶ岳頂上とは違って、このコースはややハードなこともあって人気がないのであろう、 登りで会った人は 4人 (うち 3人が下山者)、下りでは 2人 (登ってくる人) で、 本当に静かな山旅を楽しめたのであった。
そして、またもや駒ヶ岳頂上の展望には恵まれなかったのであったが、そこに至るまでに八海山の意外と堂々とした姿に驚かされ、 また八海山から中ノ岳に至る尾根に魅了され、さらに紅葉真っ盛りの稜線歩きに満足を得た登山であった。

林道に戻ったのが 15時14分、 駐車場に着いたのが 15時47分であった。


越後駒ヶ岳再登山データ

上記登山のデータ登山日:2001.10.07 天候:曇り後晴れ単独行日帰り
登山路:越後三山森林公園駐車場−十二平−雪見の松−忘我峰−グシガハナ−中ノ岳分岐 (十合目)−越後駒ヶ岳− 中ノ岳分岐 (十合目)−グシガハナ−忘我峰−雪見の松−十二平−越後三山森林公園駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道路)−用賀IC−(環状八号線)−練馬IC−(関越自動車道)−六日町IC−越後駒ヶ岳森林公園駐車場 (車にて)
交通復路越後三山森林公園駐車場−六日町IC−(関越自動車道)−練馬IC−(環状八号線)−用賀IC−(東名高速道路)−横浜IC−瀬谷 (車にて)



山のメインページに戻る   ホームページに戻る