路面電車

掲載情報は、2002年12月現在のものです

路面電車。この言葉にどのような乗り物を思い浮かべますか?路面電車は、その名のとおり、道路上に引かれた線路の上を、鉄道の車両よりも小さな電車がコトコトと走る、バスの前進ともういべき交通機関です。路面電車の歴史は古く、最初に日本に登場したのは今から100年以上も前の、明治28年(1895年)。京都電気鉄道といった名で京都に登場しました。以降、日本各都市で普及していきました。最盛期には67都市で運行されていましたが、その後のモータリゼーションの発達により、人々はバスや車に流れ、道路上をゆっくりと走行する路面電車はじゃま扱いされてしまいました。そして、昭和40年代になると、各都市から次々と姿を消していき、今ではわずか19都市でかろうじて生き延びているといった状態です。

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【路面電車の歴史】
高度成長時代の日本を支えてきた路面電車も、現在では19都市に走るのみとなりました。そんな路面電車の歴史は古く、日本で最初に登場したのは、明治28年(1895年)に、京都電気鉄道(後に京都市電となりました)による市内線でした。その後路面電車は各都市で開通し、最盛期には67都市、路線総延長1479Kmにも達しました。特に東京には、実に41系統もの路線がありました。その後、モータリゼーションの発達により、道路上には車が増え、路上を走る路面電車はじゃま扱いされてしまいました。路面電車の系統はバスが引き継ぎ、各都市から次々と路面電車は消えていきました。そして現在、路面電車は19都市に走るのみとなり、路線総延長も238kmと、最盛期の6分の1以下になってしまいました。車社会に押され、古の都、京都に登場して以来、人々の足として活躍した路面電車はその勢力を失ってしまいました。

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【それでも生き続ける路面電車】
車社会の現在、どこを見ても車ばかり。それでも生き残った路面電車は、各地で毎日人々を乗せて走っています。中でも長崎市の長崎電気軌道は料金を100円にすることで、市内交通網の中心を担っています。また、広島市の広島電鉄(通称ひろでん)は電車博物館ともいわれるほど、多種多様の電車が走っていて、町のシンボル的存在になっています。41系統も存在していた首都東京。昭和40年代には次々と都電が姿を消しましたが、残ったたった一つの路線(都電荒川線)が、現在も元気に活躍しています。現在、運行を続ける路面電車は以下の通りです。

路線名 営業距離 料金 備考
札幌市電(札幌市交通局) 8.5Km 170円均一 -
函館市電(函館市交通局) 10.9Km 200円〜240円 -
都電荒川線(東京都交通局) 12.2Km 160円均一 -
東京急行電鉄世田谷線 5.0Km 130円均一 -
豊橋鉄道市内線 5.3Km 150円均一 -
名古屋鉄道岐阜市内線 10.9Km 170円均一 平成17年3月31日をもって廃止されました。
富山地方鉄道富山軌道線 6.4Km 200円均一 -
加越能鉄道 7.9Km 160円〜370円 六渡寺−越ノ潟間は鉄道事業法区間なので、営業距離には含んでいません。電車は直通運転を行っています。
福井鉄道福武線 3.3Km 180円均一 福井新−武生新間は鉄道事業法区間なので、営業距離には含んでいません。電車は直通運転を行っています。
京福電気鉄道嵐山線 11Km 180円〜230円 -
阪堺電気軌道 18.7Km 200円〜290円 -
岡山電気軌道(市内線) 4.7Km 140円均一 -
広島電鉄(市内線) 18.8Km 150円均一 営業距離は市内線のみ。
伊予鉄道市内線 6.9Km 170円均一 -
土佐電気鉄道 25.3Km 180円〜500円 -
西日本鉄道北九州線 5.1Km 160円〜210円 -
長崎電気軌道 11.5Km 100円均一 -
熊本市電(熊本市交通局) 12.1Km 130円〜200円 -
鹿児島市電(鹿児島市交通局) 13.1Km 160円均一 -

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【路面電車のこれから】
路線の廃止により次々と消えていった路面電車ですが、最近では世界各国で見直されています。車の普及により大気汚染、地球温暖化といった地球規模での問題が深刻化しているなか、路面電車はバスや車と比べると、二酸化炭素の放出量がとても少なく、環境面でクリーンな乗り物です。また、車両の低床化や都電荒川線のように、電停のホームをかさ上げすることで車両のノンステップ化をはかっています。「鉄道のような長い階段やエスカレータ、改札もなく、バスと同様気軽に乗車ができる」「建設費が安く、地下鉄の20分の1,新交通の10分の1で建設が可能」などから、ヨーロッパ諸国では路面電車が復活しています。日本でも札幌市では路面電車の環状線化を計画するなど、路面電車復活案が浮上しています。一時は消えた路面電車ですが、21世紀には再び都市部で路面電車を見ることが多くなるかもしれません。そうあってほしいと願っています。

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【撮影ができた路面電車】
私が旅先で出会った路面電車、及び東京にただ一つ残る都電(荒川線)について紹介します。走る地域や町によって様々な雰囲気をかもし出す路面電車。地域に密着した交通機関の路面電車。ゆっくりと走るその姿は、古き時代の良き乗り物といった感じです。これからも路面電車は走り続けてほしいものです。

札幌市電(札幌市交通局) 北海道の中心都市札幌。街の中心部にはJRや地下鉄が走り、数社の路線バスが乗り入れていて、市内交通の中心は地下鉄とバスになっています。そんな札幌市にも市電が生き続けています。
函館市電(函館市交通局) 港町函館。この町には函館市交通局が函館市電を運行しています。函館という、港があり協会があり、そして夜景の美しい町にしっかりとマッチし、シンボル的な存在になっています。
都電(東京都交通局) 廃止の波をかいくぐり、唯一残った都電荒川線。2000年11月11日には、都電としては70年ぶりに新停留所が誕生しました。このコーナーでは荒川線を中心に、廃止された都電の痕跡を追います。
豊橋鉄道市内線 温暖な東海地方、豊橋市。ここには近年ほんのわずかですが、路線が延長されたことで話題になった路面電車が走っています。
名鉄岐阜市内線 岐阜県の県庁所在地岐阜市。金華山の麓に開けた都市にも路面電車が生き続けています。岐阜市内線は、今もひっそりと歴史を刻んでいます。(※平成17年3月31日に廃止
富山地方鉄道富山軌道線 北陸富山。立山観光の起点となる富山市にも路面電車が走っています。富山地方鉄道富山軌道線は、市民の足として、ひっそりとその歴史を刻んでいます。
福井鉄道福武線 福井と武生を結ぶ路線ですが、途中、木田四ツ辻〜福井駅前・田原町間が軌道線となっています。電車は鉄道線との直通運転を行っているため、軌道線内に大きな鉄道の車両が入ってきます。

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