近頃尾国でコケるモノ 第101回 by 山田 卓



 関東以北に住んでる人はそう言う印象はあんまり無いんだろうけど結構暑かったのだ、今年の名古屋の夏は。如何にも名古屋らしい、まるで風呂場の中を歩いているような「ムシッ」とした毎日が続いたのだよ。そのくせ天気はさして良かったわけでもないので、ますますもって「ムシッ」とした夏だったのだ。

 そのせいか、僕はほとんど何もする気がせず、はっきりって今回はネタ切れである。書く事が思いつかない。普通なら夏のボーナスで目新しいハードなりソフトなりを買うのでそれでなんか書く事があるはずなのだが、今年の夏のボーナスは全部カメラに化けた。さすがにここでカメラの話を書くのも憚られるし(もっともそんな話が書けるほど写真がうまいわけでもないし)、というわけで今回は与太話(いつものはそうじゃないのかと言われれば返す言葉も無いので「今回も」か)をいくつか。

 最初にも書いたが今年の夏は名古屋では(よく東京偏重のマスコミは今年の夏は無かったとか言っているが西日本の太平洋側はそこそこ夏していたのだよ)けっこう暑かった。夏ばかりではなく春から暑かった。そのせいか、今年はこれまで僕自身が遭遇したことの無いトラブルが起きた。熱障害である。

 昨年の暮れにメインのDual PentiumProマシンにNakamichiの5連装16倍速CD-ROMドライブ(内蔵型、勿論SCSI)を増設したのだけれど、5月に入った頃から、マシンが起動後しばらくして暖まってくるとCD-ROMにアクセスするたびにこの5連装ドライブが「ぐおおん」とうなるようになったのだ。とりあえずディスクをドライブから取り出してみたところ、なんか異様に「ほっかほか」になっている。

 とりあえずNakamichiのサポートに問い合わせたところ(Nakamichiと言えばオーディオ機器はまけないことで有名だったがなぜかCD-ROMドライブは結構値引きが良いのでちょっと不思議なのだけれどさすがにそんなことは訊けなかった)、マシンの内部に熱がこもったりするとそのような振動音がする可能性はあるとのこと。とりあえず低速モードにして使ってみてくださいと言うのだが(そうすると確かに変な振動音はしなくなった)、なんかそれも悔しい。

 結局以前から目論んでいた事でもあるので、とりあえず筐体前面に吸気ファン、背面に排気ファンを取り付けてみると、効果覿面、CD-ROMドライブがうなるのはピタッと止んだ。問題はさすがにファンの音がちょっとばかりうるさい事だが、かつての憧れのNakamichiブランド(Nakamichiの3ヘッドのカセットデッキ、ほしかったんだよなあ)のCD-ROMドライブが壊れたかもしれないことを考えればまああんまり贅沢も言えまい。

 ところがである。月が進んで7月ぐらいになってくると、以前ほどではないにしろ再びちょっとうなり出したのである。しかも最初のときは気づかなかったのだが、どうやらかなりシークエラーを頻発しているらしい。これには困った。もはや筐体には空冷ファンを取り付けるスペースは、無い。

 ところがである。世の中には色々あるもので、5インチドライブベイに取り付ける内蔵HDD用の冷却ファンなるものが、物のわりにちょっとお高いけど売っていたりするのである(そう言えば以前ISAスロットに挿す、まるで象の鼻みたいな内部冷却用ファンなる物も見たことがあった)。とりあえずこれをCD-ROMドライブのすぐ下のベイにつけてみたところ、とりあえず落ち着いたようである。音もおさまったしアクセスもスムーズになったように見えた。ちょっとファンの騒音がうるさくなったけど。

 ところがである。8月になったらまたもや再発である。もはや空冷ファンの増設では対処のしようが無い。一瞬ペルチェクーラーでも貼ったろかと思ったが、局所的に冷えてもしょうがないしだいいち結露でもしたらただじゃすまないのでこの案はボツ。やはり内蔵というのが問題の根本なのだ。内蔵型と違い外付け型であれば基本的に冷却の問題はメーカーの側がクリアしているはずなので、こんなことにはならなかったろう。

 「SCSIドライブ用の格納ケースを買って外付けにするしかないなあ」と愚痴ったら、かみさんに「それならあんな大きな筐体いらないんじゃない?」と言われてしまった(うちは2台のフルタワー筐体が聳え立っているのである)。うーむ、返す言葉も無い。

 というところで今回なけなしのネタはおしまいなのだが、これではあまりに短いので、鬼が笑うかもしれないが来年の話でも書くことにしよう。以前書いたかもしれないが、来年あたりメインマシンのリプレースを考えている。最近になって時々PentiumPro/200の力不足を感じるようになった。なんと言ってもMMXユニットが無いのは痛い。画像処理なんかでは結構このMMXユニットがあるとないとではけっして小さくない差が出ることがある。Intelの格付けの上ではPentiumPro/200のほうがMMX Penitum/200より上のはずなのだが、処理によっては立場が逆になる事も少なくない。

 狙うはやはり、現行のPentiumUの強化型CPUコードネームKatmai(しかしなんで本来内輪の人間向けのコードネームなるものが堂々と雑誌とかに出てくるのかね?)である。AMDのK6-2に実装された3D-Now!の対抗馬、Katmai New Instructions(MMX2と言われた新しいIntelの命令セット)では、3D-Now!とは違って一般の浮動小数点演算も高速化されるという噂も一部にはあるらしく(何でもレジスタが大幅に増えるというのは少なくとも確実らしい)、とりあえずこれまでは待とうかなと思っている次第。ついでにあわせて今は主にかみさんが使っているMMX PentiumマシンもCeleronかなんかにしてしまおうかと思っている。かみさんの協力次第だけど。

 ちなみに、現マシンは2台とも、半分意地もあったのだけれど主に使うOSがNTということがあって、ディスクシステムはすべてSCSIで組んであるのだが、これからはやはり少なくともHDDとCD-ROMはIDEにならざるを得ないなあと感じている。最大の理由はやはりSCSIはコストがかかるからで、これまではそれでもコストに見合ったメリットがあったのだが、最近は特にHDDに関する限りとてもそんなことが言える状況では無くなってしまった。片やIDEでは4万円足らずで10GBのそこそこ速いHDDが買えるというのに、SCSIではせいぜい4GB(それも一世代前の)が買えるかどうかなのだからこれ以上説明の必要はないだろう。まあ本格的なPCサーバーを組むというならともかく、普通の人がSCSIディスクを買う必然性はもはやほとんど無い。

 ところで、あまったPentiumPro/200はどうなるかというと、さすがにデュアルプロセッサでメモリーが200MBぐらい載っているマシンをそのままお払い箱にしてしまうのはもったいないので、この際宅内LAN用簡易サーバーにしてしまおうかと思っている。うちにあるNTはWorkstationだが、ワークグループサーバーだったら十分だ。主な用途は、ファイルサーバー・プリンタサーバーだが、古い4倍速CD-ROMドライブとかを集めてCD-ROM辞書・事典サーバーなんてのもよいなあとか考えている(けっこうおまけでついてきたCD-ROM辞書とかあるし、平凡社のCD-ROM版世界大百科事典も一応買ってある)。HDDも容量が4GBで同型のIBM製UltraSCSIディスクが2台あるのでこれでストライピングセットを組んでやろうかとか、Proxyサーバーも入れてみようかとか、まあこれからもしばらくはPentiumPro/200には頑張ってもらうことになりそうだ。

 一度かみさんに、「自分でパソコン作ってなんか良いことあるの?」と訊かれた事がある。振り返って考えてみると、意外とメリットが少ない。

 よく「自分で作ったほうが安いんじゃないの」といわれるが、決してそんなことはない。大手メーカー製に比べればそうかもしれないが、多くの場合それは大手メーカー製には付属ソフトがてんこ盛りなのだからであって(富士通なんかCD-ROM版広辞苑までついててとってもうらやましい)、極端な話がいわゆるショップブランドPC(PCショップが組んでその店のオリジナルマシンとして売っているPC)には同性能なら価格は絶対に勝てない。

 逆に「サポートがないから大変だよね」といわれる。それはそのとおりだと思う。何かトラブルがあったときに、自作マシンでは頼れるものは自分一人である。たとえパーツはパーツメーカーの保証のある製品だったとしても、基本的に自作マシンでの動作は保証されないことがほとんどだから、パーツメーカーのサポートは(特に日本のメーカーの場合は)まずあてにできない。物理的に壊れた場合以外は特にちょっとした不具合程度だと動作保証外というつれない返事が返ってきたとしても仕方がない(もっともここ数年のインターネットの普及でデバイスドライバやユーディリティなどのアップデートには不自由しないし、また海外のメーカーはけっこう親切な所が多いのだが)。

 しかしながらこのメーカーのサポートがないという潔さが、実はひとつの魅力なのではないかとは思う。くどくど書かないが、正直なところある程度スキルがあればメーカーのサポートというのは意外とあればあったでわずらわしいものなのではなかろうか。それに(大手メーカーほど)あんまり頼りにならない事も多いし(電話をかけてもつながらないとかたらい回しにされたとか馬鹿でもわかるようなことまで確認してくるとかBIOSのアップデートごときが有償でけっこう高いとか)。

 あと、(手前味噌のようで恐縮だが)たとえばデュアルCPUマシンは、大手メーカー製だとサーバーあるいはPCワークステーションという格付けになってしまって個人で使うには高級過ぎる機能やパーツが実装されていておいそれとは手が出せないが、自作であればある程度不必要な部分は普及品を使って手を抜けるのでそれなりに安く仕上がるのではないかと思う(デュアルCPUマシンがほんとに必要かと言う別の問題があるにはあるが)。  もっとも、かみさんに質問された時は、「俺が楽しいんだよ」と答えたのだけど。何で楽しいかというと、まあ自分にある程度選択の自由があるからなのかなと思う。自分で回路図ひいて半田付けするわけでもないし基本的には決まった規格があるわけだから決して自由度が高いわけではないのだけれど、それでも自分である程度選択できるからいろいろ苦労はあっても僕はPCを自作してるんだろう。

 次回は最近1年ぐらいでだいぶ盛り上がってきたPCIサウンドカード(CreativeのSoundBlaster Live!を横目で見つつTurtleBeachのMontegoを検討中)か、あるいは新しいマシンのレポートか、今度こそ3Dソフトの話か、どうなるかわからないけれども(AF-S Nikkorに小遣い全部吸い取られてたりして)。それではまた。

(つづく)



次回へ

前回へ

TORANU TあNUKI 63号 目次



Back to Homepage