上海のなべさん(3日目)


 3月29日(土)、今日は上海市内の観光である、目的は上海を歩くことである。朝食は、8:00の予定である(昨日より1時間遅い)、従って 朝もゆっくり寝ていた。起きるとマッキーは風呂に入っていた、そう言えば昨夜 、ぼそぼそと「朝風呂にしよう」と言っていたことを思い出した。今日の天気は 、外を見ると雨は降っていないし、昨日より明るい、たぶん一日保つであろうと 思った(そのとおりこの日一日、雨の気配は全くなかった)。マッキーが風呂か ら上がってきて、交代で顔を洗う、その時思い出した「ひげ剃りを買い忘れたこ とを」よって、今日も一日無精ひげで過ごすこととなった。そうこうしているう ちに、朝食の時間となった。

 朝食は昨日とまったく同じバイキングである(当たり前である)。今日も、 昨夜のラーメンがたたりあまりお腹が空いていないが、ほとんど昨日と同じ量を 食べてしまった(やっぱり食べ過ぎた)、というよりオムレツのぶんだけちょっ と多かったかもしれない。食後、令子さんと純子さんが外の風景がみたいと部屋 にやってきた。令子さんと純子さんの部屋とこの部屋は通路を挟んで向かい合わ せなので、当然、窓の外の景色も違うのだ。女性の部屋の窓からは、上海体育館 が見え結構眺めはいいのだ。さらに今朝、時間があったので2人で体育館の周り を散歩したそうだ。朝の体育館の周りは、太極拳をしている人たちばかりで、その太極拳もいろいろな種類があると純子さん( 体育の先生)が感動して話してくれた。ということで、こちら側の窓の外の景色 を見に来たのだ(前に来たときは夜だったので見えなかった)。見た瞬間、2人 とも絶句していた。昨日のにも書いたが、そこにはもう一つの上海があったのだ 。時々通る人々を見て何を感じたのだろう、じっと見ていた。さあ、上海を歩き に出発だ。

 とりあえず、地下鉄に乗ることにした。一番の理由は乗ってみたかったからである。バスでも良かったのだが、バスは多すぎてどれに乗っていいかわ からないなどちょっと難しかったし、タクシーではあまりにつまらない。それに 比べて、地下鉄はまだ一路線しかないので方向だけ気にすれば良かったのと、ど の区間を乗っても2元の単一料金であるのでわかりやすかったからである。駅名 は上海体育館駅である、すでに昨日下見をしてあったので迷うことなく(当たり 前、日本と同じ階段を降りて行くだけ)窓口に着くことができた。切符を買う、 もちろん自動販売機などなく窓口で買うのだ。難しいことはなく、窓口に2元を 出すとなんの会話もなく切符(日本の切符とは違い、コンサートなどのチケット に似ている)を渡される、それだけである。改札口でちぎってもらい、中へ入り階段を降りるとそこはホームだった(なんてことはない日本 と同じである)。電車が来たので、方面(上海駅方面)を確認し乗り込む。新し いだけあって綺麗である。乗っている人はすべて中国の人、当たり前であるが妙 な感動があった。そういえば以前、シンガポールに行ったときにも地下鉄に乗り 妙な感動を覚えたものだった。そうこうしているうちに、下車駅の黄陂南路駅に 着き降りた。改札で切符の残りを出し、どの出口かわからず適当に上に出ようと した。階段をみんなで上っていると、何か後ろの方で声がするので振り返ってみ ると、たーちゃんが中国の人(お上りさんかな?)に道を聞かれているようであ った。ようするに、たーちゃんは中国の人に間違えられたのである(確かに服装も現地の人の様な格好をしていたけど...さすがだね 、と妙に納得してしまった)。そうこうして外に出ると、ここで問題が発生した 。そう、自分たちがどこにいるのか、どちらの方角を向いているのかわからない のだ。

とりあえず周りを見て大通りに出て、さらに周りの建物をよく観察して地図( 地図といっても、ガイドブックに付いている物で大したものではない)と見比べ た。大通りの名前はすぐにわかったがどちらに行ったらよいのかがわからない、 さらにみんなで見ていると倉さんが向こうの方に高速道路を見つけた。そしてよ うやく位置と方向とも(つまり現在位置だが)が判明した。今日の行動は、令子 さんに任せてあった(本当は、ガイドブックを一番よく見ていたのは令子さんで 、後のみんなはとにかく上海の市場を見られればいいと思っていた)、とにかく 令子さんの言うとおり行動することになった。最初の目的地は豫園(ユーユエン)である、ただし、途中で庶民の市場をみられれば見ると行くこ とで。

 しばらく通りを歩いていると、令子さんが突然「あー本当だ」と声を上げた。理由を聞くと赤ちゃんのことで、本に書いてあった通り、中 国の赤ちゃん(1〜3才ぐらいの)はおしめをしていないそうだ。もちろん、すっぽんぽんでお母さんが抱っこしているわけではない。 赤ちゃんのズボン(はきもの)には、お尻のあたりに穴があいており、必要なと きにどこでもすぐに用を足せるようになっているらしいとのこと。それを目のあ たりにして思わず声が出たそうである。と話をしていると、前から赤ちゃんを抱 っこしている婦人やってきた。思わず、みんな(数人だけど)見てしまった。令 子さんの言うとおりであった、ところ変われば習慣が違うのだなと感心してしま った、ん〜勉強になった。さらに歩いていると、右の方の路地に露天の並びが見 えたので、そちらの方に行くことにした。行ってみるとびっくり、その露天はすべて衣類のお店だったのだ(閉まっている店もあったが)。商品ごとで市場が違うんだ なと感心しながら進んだ。露天が切れたところで、左に曲がることにした。先頭 を歩いていて、ふと後ろを振り返ると、令子さんと純子さんが路地に興味深そう に入って行く姿が見えた、と思っていると出てきた。

また、みんなで歩き始めた。やや広い道路を横切りさらに歩いていくと、まん じゅう(肉まんかな?)を蒸かしていたり、揚げパンを売っているお店があった 。朝食を食べ過ぎてさえいなければ、絶対に食べたのにお腹にまだ余裕がなかっ たのでここは見送ることにした。その時、令子さんが再び声を上げた「ねー見て見て!」と、左側を見るとそこでは....普通の家の前で、お母さんが小さい子を 抱っこして用を足させている場面であった、もちろん大のほうである、やっぱり ここは中国だった。
ワイワイ言いながらさらに進んでいくと、道が狭くなり本当の庶民の市場(こ こが見たかった)にであった。魚(淡水魚)をさばいている店(ぶつ切り状態) 、うなぎとどじょうのあいの子のようなうなぎ?をざるに入れて売っているお店 、とりの肉を売っているお店(すぐ後ろでとりをさばいている)、鶏の足だけを 調理して売っているお店、かえるやすっぽんを扱っているお店等など、様々な生 鮮食品が並んでいた。とにかく狭い路地に人がいっぱい、その狭いところにベル を鳴らしながら通る自転車、さらにみんなからひんしゅくを買いながら行くリヤ カーを引いている人など本当にカオスの世界である。もちろん、観光客などはま ったくいない。写真を見てのとおり上からは洗濯物、完全に中国の人のパワーに 圧倒されてしまった。

この中を、なべさんを先頭に令子さん(なべさんのディバックを掴んで放さな かった)、純子さん、マッキーと歩いていて、その後ろは少し離れていた。とに かく狭い、足元はぐしゃぐしゃで歩くのにも油断できなかった。なぜ、後ろが遅 れたかというと、かとちゃんがビデオを撮りながらきたからである(やるな!と 思った、結構地元の人にひんしゅくをかっていたらしいけど)。栗ちゃんとたー ちゃんが今回の旅行、ビデオを持ってきたのだが、栗ちゃんがかとちゃんに貸し たところ凝ってしまったらしく、このあとも栗ちゃんのビデオをずっと撮ってい たのだ。結構長く感じたが、混んでいたせいか本当の距離はわからなかった。本 当に凄かったけど、とってもいい経験をしたと思う(ひとりだったら、かなり勇気がいると思う)。ようやく、通り 抜けることができて、みんなを待ってから大通りを渡ることにした。もちろん信 号などなく自動車はバンバン走っている、タイミングと勇気の勝負だった。一応 無事に渡ったが、令子さんがちょっと危なかったこととかとちゃんがビデオを撮 っていてさらに遅れたことを付け加えておく。

 どこだかはっきりとは忘れたが、歩いている途中で本当の庶民が住んでいる 路地があったので、令子さんと2人で入ってみた(ちょっとだけ他の人と離れて しまったので待っている間にだけど)。20mぐらいだけど、両側がアパートで 上には洗濯物があり、脇には椅子におばあさんが座っていた。窓から、家の中を なにげに見ながら(いいのか?そんなことしてとも思いながら)進んでいくと、 前の方から住民が出てきたので「ハーイ」とか言いながら、戻ることにした(や っぱり、ちょっと不安になった)。戻るときに、そこに座っていたおばあさんが 「こんにちは」と日本語で声をかけてきて、思わず「こ、こんにちは」と返事を返した、び っくりしたなぁ...わずかな時間だったけど、令子さんは本当の庶民の生活の 一端を見たと喜んでいた

 さらに進んでいくとそこは、豫園だった(正確には、豫園のすぐ脇にあるお みやげ物屋さん街だった)。とりあえず、ここで少しの間、自由時間をとること にした。時間と場所を決めて、みんなてんでバラバラに行動した(自由時間だか ら当たり前)。なべさんは、取りあえず1階の店舗を見ると貴金属や宝石(真珠 等)、刺繍製品、等が売っていた。次に地下に行ったら、骨董品街でここは良く わからないので、そそくさと退散、2階へと向かう。ここはシルク製品など、衣 類売場であった。自分のおみやげ(ネクタイ)と純粋なおみやげ(?)を買った (もちろん、少しディスカウントね)。そうこうしているうちに集合時間、行く 途中で令子さんと純子さんに出会った。なんと、真珠のネックレスを買っていた のだ。どうやら2人、店員さんのことも気に入って、ずっとこのお店に居たらし く、他はぜんぜん見ていないとのこと(「やるな2人」と思った)。さらに、たーちゃんは水晶の玉を買って、とても上機嫌であっ た(たーちゃんらしい)。

 それから、写真を撮ったりした。写真は倉さんと令子さんのツーショット( 左の方にボーと立っているのはマッキー)。

 ここで、令子さんが豫園に行きたがっていた本当の理由がわかった(真珠で はないよ)。なんでも、有名な豆の専門店があるらしく名前を「五香豆」と言うらしい。ふと見ると、そこに豆屋さんがあり、五香豆という名前の豆 を売っていた。みんながここかなあと言っていると令子さんは「違う、お店の名 前が五香豆よ」と言いながら、ひとりでさっさと探しに行ってしまった(この時 、執念を感じたのはなべさんだけであろうか?)。あわてて、後を追いかけてい くとそこには「五香豆」と大きな看板を出している店があり、一所懸命まめを見ている令子さんの姿があった。

無事、「五香豆」というお店で、五香豆ともう一種類の豆を買った令子さんは 、とても満足そうであった。倉さんも、ついでに買っていた。この五香豆という のは、乾燥したソラマメを油でいって味付けをした豆で、食べてみると癖になり そうな味である。と、倉さんと令子さんの行動に気を取られていたら、その空き に栗ちゃんはアイスを食べていた(確かに暑かったけど)。ちょっと落ち着いて周りを見てみると 、そこには豫園(旧上海城の中にある中国式庭園)があるのに気が付いた(当た り前である、ここを目指してきたのだから)。でも、もうお昼で疲れても出てき ている上お腹の空いてきて、さらに妙な満足感もみんなあり、見学もせず昼食に することにした(いったい豫園とは何だったのだろうと思いながら)。

 おみやげ屋さん街を抜けて広い道へと出たところで、令子さんが「ここらへ んに有名なレストラン上海老飯店(ガイドブックの最初に出ている)があるから 、みんなで探して」と言った。周りを見ても、よくわからないのでガイドブック の地図と通りの名前から見ると、いまみんなが立っている場所にあるはずであっ た。もう一回周りを見てから、何気なく上を見上げるとそこには大きな看板「上 海老飯店」があった。そう、目の前にあるビルの2階に目的のレストランはあっ たのだ、一瞬本当に情けなくなったし灯台もと暗しとはこの事かと思った。なには、ともあれ目的のレストランに入ることができ た。

 入ると昼時なので混んでいたが、店員さんが奥の部屋へと案内してくれた( 日本人だからであろうか?)。とにかく奥の部屋で、8人が座り注文のだんにな った。はっきり言って、あまり覚えていないのだが、ビールを注文するときに、 メニューには上海ビールがあるのに頼むとないと言われ、ビールは輸入物だけだ と言われ少し問答をしたが結局あきらめて、店員の言うビールとなった。もうひ とつ、マーボ豆腐を頼もうとしたがなかったのだ。これは、こっちが悪かった、このお店「上海老飯店」はガイドブックに 今でも上海料理の伝統を守っておりと書いてあった(もちろんマーボ豆腐は四川料理である)。とにかく、なんだ かんだなんだかんだと料理を頼み会計をしてみると、ひとり1000円ちょっと であった(んー安い)。トイレの心配があるのでみんなお酒は控えめにしたこと もあるが...もちろん、レストランから出るときに、トイレに寄ることは忘れ なかったが(昨日の教訓は生きている)。次に外灘(バンド)に行くことにした。

 外灘へ行く途中、地図を見ると大通りでも路地でも行くことができそうなの で、迷わず路地を通っていくことにした(こっちの方がおもしろそう)。大した 距離ではなかったが、ここにも海産物中心の市場(露天)があった。市場の入り 口付近で揚げパンらしきものを売っていたので、ここでも迷わず買って、みんな で分けて食べた(ちょっと油が...)。午前中の市場ほどではなかったので、 なにげに通り過ぎてしまった。出たところは大通り、ここで屋台が出ていて、揚 げパンというよりかりんとうのような砂糖をまぶしたお菓子のようなものを売っており、誰かが買ってみん なで分けて食べた、こっちの方が美味しかった。

 食べながら歩道を歩き、歩道橋(上海に来て初めて見た歩道橋であった、さ すがにここの交通量は多かった)を渡り外灘に着いた。そう外灘とは川沿いの公 園である。正確には英語の’bund’で「東洋港市の海岸通り」との意味であ るとガイドブックには書いてあった。川といってもただの川ではなく、長江(揚 子江)の支流である。支流と言っても多摩川の下流付近ぐらいの川幅があり、観 光船や貨物船などが行き来しており、まるで横浜の山下公園をさらに派手にした ような感じであった。

 ここにあったレストランというより食堂、ガラス越しに見ながら歩いていた ら、たーちゃんがしきりに感心していた。何かというと、「庶民的なレストラン なのにそこにあったチャーハンがまるで日本にあるものと同じだ...外灘はす ごい」となんか良くわからない感心の仕方をしていた(やっぱり、いい味を出し ている)。川を見ながらしばし休憩、ガイドブックでは夜景が最高と書いてあっ たので、しきりと「夜来て、夜景が見たかった!」と令子さんが言っていた(今日は令子さん絶好調!)。なべ さんは、地図と川を見な比べながら、この川がこれならば長江の川幅はどれくら いになるのか考えていたが見当も付かなかった、ただいえることは対岸は絶対見 えないであろうということである。こんな事を考えながらしきりと中国の大きさ に感動していた。


 少し歩いていると昼寝をしている現地の人たちがいた。すると、お巡りさん がやってきて、起こしていた。確かに周りを見渡すと他に誰一人として寝ている 人はいなかった。結構、厳しいものだと思った。しばらくしてトイレを見つけ、 何人かがトイレに行った。トイレは地下道(取っても綺麗だった)の近くにあり 、外灘の公園から一段下がったところにあった。待っている間、突然たーちゃん が「何とか(良くわからなかった)という花がある」と言いながら、階段を降り その花(もちろん日本にもある花である)をビデオで撮り始めた。みんなで、「 やっぱり、たーちゃんだね」と意味もなく納得していた。マッキー達がトイレか ら戻ってきて、地下道を通り大通りの反対側に出た。ここの街並みは一見の価値 がある、中国の半植民地時代イギリス・フランス・ロシア等の国々が建てた20 世紀当初の高層ビル(租界建築物)が残っているのである。街並みに感動しなが ら、令子さんが向こうにある和平飯店南楼のラウンジで一休みしようと、名指し で言ってきた(令子さん恐るべし)。誰も逆らえず(逆らうつもりもないが)、 よく調べてあるなと感心しながら歩いた。

 ホテルに入ると、ロビーのすぐ脇にケーキ屋さんがあるのが目に付いた、さ らにその奥には喫茶店が。ということでその喫茶店に入ることにした、もちろん 女性陣のお目当てはケーキである。ところがメニューのどこを見てもケーキはな く、結果的に別のお店であることが判明した。ちょっと、がっかりしながらもク リームソーダを頼んでいた純子さん、ソーダの色が緑でないと言いながら美味しそうに飲んでいた。みんな、アイスコーヒーやコーヒーフ ロート(なべさん)など適当に頼んで、飲んでいた。金額的には日本の喫茶店と 変わらなかった、つまり現地の人にとっては結構高価なものであると思う(ホテ ルの喫茶店だもの)。ここで、当然の行動に出た、つまり交代交代にトイレに行 ったのだ(なんと言っても貴重なホテルのトイレだから)。女性2人も相変わら ず警戒しながらトイレに行った。つぎの目的地、上海市第一百貨商店(上海で最 大級の老舗デパート)に向かった。

 歩いた、ただひたすら歩いた、この先右側にあるという令子さんの言葉をみ んな信じて歩いた。でも、ちょっと途中で不安になり周りの景色と地図をを見比 べながら歩いた。途中、すごいデパートを見つつ上海市第一百貨商店はもっと大 きいのだと思って歩いた(30分位かな?もっとだっだような気もするけど)。 すると、右側に上海第一食品商店という紛らわしいデパートが出てきて、もう一 度地図を見る。この先に見える歩道橋のある交差点の角である事がわかり、さら によく見ると看板が出ている、もうすぐである。そして、ようやく着いた。ここ で、再び自由時間とすることにした(ここは、買い物のメインの予定だったので 1時間半ぐらい、集合時間は5時とした)。

 ここからなべさんは当然のごとく単独行動、とりあえず期待の上海市第一百 貨商店に入ってみることにした。1階、2階、3階とちょっと見て5階へ電気製 品売場だ、ここのコンピューターのコーナーでたーちゃんと会う、さらにエレベ ーターの近くで、令子さんと純子さんに会う。でも結局、すぐに出てきてしまっ た、はっきり言って期待はずれであった。ただ、自分でも何を期待していたのか 良くわからなかったが、とにかく人が多いのと、単なる本当に単なるデパートだ ったからである(おもしろそうなものは何も見つからなかった)。結局、来た道 を少し戻り、いつものように町中や路地を徘徊することにした。あまりおもしろ くなかった単なる都会であったから、でも屋台で買った串焼き(肉)は美味しかったなぁ、餃子も売っていて食べようかどうしようか本当に迷った 。結果的に夕食のことを考えて諦めたのだが、食べればよかったと後で後悔した 、迷ったときには実行した方がいいと改めて思った、実行して失敗したときは後 悔でなくて反省だから。と、歩いているうちにトイレに行きたくなったので、こ こから30分ぐらいトイレ探しに時間を使ってしまった。結局、デパートに入っ ても良くわからないまま、トイレに行きたいのが落ち着いてきたので「まぁいい か」ということになった。まだ、30分近く時間が残っていたので、歩道橋の上 から面白そうなところを探すこととしたが、時間的な問題もあり、上海市第一百 貨商店とお隣のデパート(新世界)に入ることにした。入った瞬間、初めからこ こにくれば良かったと本当に思った、下から上まで吹き抜けがあるので非常に広 々としており、とても綺麗で面白そうなものがありそうだった。エスカレーター で上がっていくと、玩具売場があったので見ることにした。見ていると、絵柄が 面白いトランプが有り買おうかなと思った瞬間、別の考えが浮かび買うのをやめ た。いろいろ探していると水晶玉もあり、いいなと思ったが買うのはやめた(よ く字を見ると偽水晶と書いてあったのだ、つまりガラス玉であろう、安いわけだ )。なにげなく、横を見るとなんと純子さんと令子さんがいた。やはり、なべさ んと同じ感想を持ったらしく、最初からここにくれば良かったと言っていた。パンダのキーホルダーがあったのでおみやげに買うことにして、さらに見ているとトランプのところ で浮かんだ考えのものがあった、麻雀パイである。本場物のパイを買おうかなと思っていろいろ見ていると、なんと店員 さんが2人もやってきた。本心から買うつもりだったので、気にせずに見ていた 。象牙製のものは高い上、日本に持って帰れないことぐらい知っていたので、安 いプラスティック製にすることは決めていた。後は大きさが問題であった。中国 の麻雀パイは大きいとの印象を持っていたので、いったん一番大きいのを手に取 ったのだが、ちょっと考えて二番目の大きさのものを買うことにした。これでも 日本製のパイより十分大きいし、なにしろ一番大きいパイでは日本の麻雀卓では 大きすぎて使えそうもなかったからである(多少は実用性も考えなくては)。買 い物も済み、時間になったので3人で戻ることにした。約束の場所に行くと、も うみんなそろっていた。その後、思い出したようにトイレに行った(マッキーに 3Fにあると聞いた、マッキーありがとう)。

 さあ次の目的地、これは純子さんのたっての希望である(みんなの希望でも ある)上海雑技団を見に行くことにした。どうやっていくかであるが、やっぱり歩いていくこと になった。とにかくこの道路沿い右側にあるらしかったから。歩きながら話を聞 いていると、かとちゃんはすぐにデパートを出て、タクシーで上海駅に向かった そうである。蘇州の駅がとても綺麗だったので、上海駅はどうなのかなという単 純な動機だったらしい。で、いってみると人、人、人ですごかったらしい(なべ さんは上海駅は見ていないが、以前北京駅を見たことがあるのでおそらく同じ感 じではなかったかと思った、ここもカオスの世界である)。ここで、かとちゃん はちょっと怖い目に遭いそうになって(白タクの運ちゃんに捕まりそうになった らしい)、少し怖かったらしいが、流しのタクシーを捕まえ無事に難を逃れたそ うだ(良かった)。その後、筆談で行ってみたかった魯迅公園に行ってきたそうである。「すごくすごく良かった」と言っていた、もしもま た上海に来ることがあったら是非行ってみることにしようと思った。そうこうし ているうちに、右側にちょっと高級そうなお店(貴金属や陶器、水晶などを売っ ている)があったので、ちょっと寄ることにした。ここはみんな冷やかしでまた 歩き始めた。上海雑技団はガイドブックには年中無休で夜の7時から公演があると書いてあったので、今日は土曜日だしチケットが まだあるかなと気にしながら歩いていった。歩きながら、交差点を何回も渡った が、やっぱり令子さんは危なっかしい場面が何度もあった(なんでだろう?一緒 に歩いているのにと思いながら)。そうこうしていると、右側に巨大なビルが出 てきた、本当にすごいビルである。波特曼香格里拉酒店(ポートマン・シャング リラホテル)のビルで、ボーイさんに聞くとここの3階(?)に上海雑技団があ るという、エスカレーターで2階に行きさらに3階に向かおうとしたときである 、エスカレーターの前に一枚の看板が....「本日臨時休業」と中国語と英語で書かれていた。みんなどっと疲れが出てきた、ガイドブッ クに「年中無休」と書いてあったじゃない、今日は土曜日だよと怒りをあらわに しながら、お腹の減ってきたことに気が付いた。仕方ないので、みんなで一休み しながら次の行動を考えた(考えるまでもなく、食事にしようとなったのだが) 。今来た道を、戻りながらレストランを探すこととなった。うだうだ歩きながら 、ようやくレストランを見つけた。

 中に入ると、混んではいたが日本人(?たぶん)ということで、地下の部屋 (決して怪しい部屋ではないよ)に連れて行かれた。そして、かわいい店員さんがメニューを持ってきた。そのメニューは中国語と英語で書かれていたので、 改めて日本語のメニューをもらい注文した。やっぱりビールを注文するときにち ょっとしたトラブル(それほどのものではないが)があった。かとちゃんが中心 となって店員さんと英語でやりとりしていたのだが、まず上海ビールはないこと からはじまり、ピッチに入った気の抜けたビールが出てきたり、ぜんぜん冷えて いないビールが出てきたりした。かとちゃんが一所懸命’cold beer’ と言っているのだが、冷えたビールがないらしく、最後には「氷を持ってくる」 ということになった。それから、日本語のメニューだが、ちょっと古いらしくど う見ても中国語や英語のメニューより書いてある量が少なかった。結局、3種類 のメニューを見て注文することになった。いろいろあって大変だったが、店員さ んが、とてもかわいかったのですべては良しとした。かとちゃんは、店員さんの 英語の発音が素晴らしいとしきりに感心していた。とにかく、無事に食事をとる ことができて良かった。この時の会話の中で、なべさんが麻雀パイを買ったこと を知ったマッキーは、自分も探しているので、もう一度新世界(デパート)に行 こうと言い出した。もちろん、行くことになった。

 新世界に行く途中、ちょっと派手なお店があったので、入ることにした。各 自、適当に見て回っており、その時なべさんは愕然としたことがあった。そこに パンダのキーホルダーがあったのだ、もちろん新世界で買ったものと同じものがさらに安い値段で....ちょっとだけショックだったけど、「仕方ないな!」とあっさ り諦め、他のものを物色していると錫製のジョッキがあった。これと同じ様なも のを、シンガポールに行ったときに買い損ねたので、しばし迷ったあげくちょっ と気張ってお気に入りのジョッキを買うことにした(持ち合わせがなかったので カードで買った)。ということで、また歩き始め新世界に着いた、時刻は9:4 0頃。デパートは10時までなので、マッキーはあわてて探しに行った(みんな は入り口で座って待っていた、疲れていたから)。10分がたち、15分が過ぎ た頃、戻ってきた「どこだか、わからなかった」と悲しそうにして...食事の 時4Fだと言った気がしたし、マッキーも何も聞かないでデパートに入っていっ たので気にしていなかったが、悪いことをしたと思った(マッキーに一言聞けば 良かった)。ここから、すぐのところに地下鉄の人民広場駅があったので、再び 地下鉄に乗りホテルに戻った。地下鉄は、終電ではなかったが、結構混んでいた 。

 ホテルに戻り、みんな疲れていたので一休みをしたあと、なべさん、マッキ ー、倉さん、かとちゃん、栗ちゃんの5人でルームサービスで氷をもらい、少し 飲んで寝た。「あ、ひげ剃り買うの忘れた」と思いながら....


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