上海のなべさん(1日目)


 3月27日(木)朝8時頃起床(休みになると普段よりちょっと遅くなる)、待ちに待った上海学年旅行の出発日である。わずか3泊4日の予定であるが、9人もいるとなかなか日程の調整が難しいもので年度末のこの時期となった。旅行の目的が、3年間ご苦労様とみんなでのんびりと過ごすことであるから、当然、出発時間もかなりゆっくりとしていて、集合は新宿に2時である。とりあえず、朝食をとりながらこれからの行動を考えることにした。そしてまず、風呂に入ることにした。これからの、3泊はホテルなので当然シャワーが中心、ゆっくりと肩まで湯船につかることもできないだろうと思って。なんだかんだで10時半になった。おもむろに、準備を始める、当然のごとくまだ何もしていない。バックを出してきて「ふっ」と見ると鍵が付いている(上海なので国際線、当然バックに鍵は必要)。鍵の番号がわからない、と言うより3桁の番号、何番だか忘れてしまっている。このバックを使うのは昨年の夏イースター島に行ったとき以来である。番号を何かに書き留めておくことなど自分の性格からして絶対にないことである。ふと、もう一度自分の性格等を考え、いくつか の番号を試してみた。見事である、一発目で正解であった。半年前も、今も考えることは一緒であったことに、成長していないのか、その時の自分の思慮が深かったのか、ちょっとだけ考え込んでしまった。そんなことをやっていて、貴重な15分が過ぎてしまった、さあ準備準備と独り言を言いながらパッキングを再開した。パッキング自体は高々3泊4日だし、「お金とパスポートさえ忘れなければどうにでもなる」と思っていたので、なんでもなかった(基本的には、「使わない物は持っていかない」を原則として、特に衣類は)。パッキングが終わりかけた11時半過ぎに一本の電話がなった

 電話は勝さんからであった。わが学年の担任団は、1組倉さん、2組勝さん、3組令子さん、4組たーちゃん、5組マッキー、6組かとちゃん、7組純子さん、8組栗ちゃん、9組なべさんである。年齢的にはなべさんは下から3番目(あまり大きく変わらないけど)である。今回の旅行、3年になってから月々5千円(10回)、ボーナス時に3万円(2回)、繰越金1人2万円の予算で計画した。大部分が海外旅行2回目で、初めての人がかとちゃんと栗ちゃんである。そんなこともありいつの頃からか、業者(旅行社)との折衝を行うはめになり、気が付いたら幹事(団長)となっていた(最後の最後までなんてこった、4月から異動なのに)。電話で勝さんの声を聞いた瞬間、何となくいやな予感がした(誰でもそうかもしれないけど)。そう、緊急事態で行けなくなったとの事(ちょっと理由はここでは書けないけどちゃんと聞いた)。しばし絶句である、いくら不慮の出来事のためとはいえ、いけないとはとても残念である、本当に残念である、9人全員で行きたかった。電話の勝さんの声も沈んでいた、勝さ んは今回の旅行をもの凄く楽しみにしていたのに、なべさん以上に本人が一番残念であろうと、気を取り直して旅行社へ連絡をとってもらい、その後旅行社から今後の予定について連絡を受けた。バタバタしながら気が付いたら12時半になっていた。1時くらいの電車に乗るつもりだったので、少し残っていた準備を済ませ家を出た。

 立川で中央線に乗り換えると、ふと、おなかが空いていることに気が付いた、そうバタバタしていてお昼を食べていなかったのだ。新宿につき、おもむろに立ち食いそば屋に入って「かけそば」を食べた。日本そばも数日食べられないからと、とりあえずとの意味を込めて「かけそば」にしたのだ(大した意味はない「かけそば」が食べたかったからだのだ、本当は)。エクスプレスのホームに行くと女性2人を除いてみんないた(女性2人も、もう駅には来ているとのこと)。さっそく勝さんの話をするとみんな驚いた(当たり前である)。そしてエクスプレスが来て、乗った。勝さんの席にはすでに、他の人が座っていた(当たり前だが払い戻しが行われていた)。事情をはなし、席を替わってもらった(8人になったので、ちょうど2ボックスである)。一見、日本人だと思ったその人は、アジア系外人さんで一瞬言葉に詰まったが日本語が分かってほっと一息、問題なかった。動き始めるとすぐに、たーちゃんがおもむろにパンを取り出し食べはじめた(いつもながらいい味を出している)。少し落ち着くと、何か物足りないことに気が付いた、そうビールを買い忘れたのだ(旅行と言 えばビール)。まあ、いいかと思っていると成田に着いた。

 成田に着き、改札口を抜けるとき遅い人がいた。倉さんがいきなりパスポートをと言われても(バックの底から取り出していた)と怒っていた(成田の改札を抜けるとすぐに荷物検査でパスポート(身分証明書)の提示を求められる)。とりあえず、4Fまでいき、旅行社のカウンターで航空チケットをもらい、荷物を預けた。そこで少し時間があったので、トイレ休憩を含めて20分間、自由時間とした(やっぱり学校の先生らしいな)。そこで、かとちゃんのたっての希望通りビールを飲むことにした。お店に入っている時間はないので5Fに行き、缶ビールを買い、かとちゃん、倉さん、なべさんの3人でビールを飲んだ、美味しかった。その後、出国審査を受け中へ免税店のあるフロアーへと行った。またここでちょっとだけ自由時間、なべさんは向こうのホテルの部屋で飲むためのお酒(ジャックダニエル、単に一番安かった(2000円)から)を買った(幹事しているなあと思いながら)。いろいろ見た後、帰りはここは通らないと聞いた令子さんは口紅を買っていた(「これなら荷物にならない」と言いながら)。荷物検査を受けさらに出発ロビーへ移動。結構混んで いたけど、やっぱりここでも「ビールを飲まないと旅行の気分がでない」と言いながらビールを飲んでいた。そして、飛行機へ。

 飛行機の中では我が8人は横一列かと思いきや、間に一般人がひとり混じっており、勝さんの事を思い出してしまった。飛行機はユナイテッドで17:50発(予定、実際は少しだけ遅れた)のジャンボである。なべさんの席は、8人の中では一番右端で、左にたーちゃん、右に一般人である。飛行機が動き始め、メイン滑走路に移動し離陸、やっぱり何度経験しても緊張する。しばらくして、機内食のサービス、ここではビールでなくワインをもらうことにする、おいしい。機内食はビーフでなくフィッシュ(カジキの照り焼きだったと思う)にした、美味しかった。その後、映画が始まったので見ようと思い、イヤーホーンを付けたが音がでなかった。スチュワーデスを呼ぼうかと思ったけど、酔っていたせいもあって面倒くさくなり、音のでないイヤーホーンを付けたまま映画を見ていた。気が付いたらもう飛行機が降りようとしていた、そう寝ていたのだ、すっかりと。そうこうしているうちに着陸、少し寝ぼけていたのと飛行機がゆれないことから、あまり緊張感のないまま無事に、上海国際空港に着いた。

 入国審査(いつもながら時間がかかる)を終え、バックをとり、さあ荷物検査と思ったら、タグのチェックも何もなく外へ(これだと、他人の荷物を持っていってもわからないぞ...)。現地添乗員の方を探すまでもなくすぐに見つかった、若い女性添乗員だ、名前をゆうさんという(なまえのイメージ通り?とにかく、かわいい!)。空港の駐車場へ移動する途中、みんな、自動車の多さと、その間をぬって歩いている人たちに驚いていた(なべさんは、日本じゃないんだからと、たいして驚かなかったけど)。マイクロバスに乗ってホテルへ移動。その最中でも、みんな初めての中国の町並みに感動と驚きの声でいっぱいだった。上海の町についての話は3日目にまわすことにする。

 ホテルは豪華に行こうと言うことでシェラトン華亭賓館という一流ホテルにした。チェックインを済ませ、各自部屋へ、組み合わせは適当で、女性は2人なので令子さんと純子さん、倉さんとかとちゃん、たーちゃんと栗さん、なべさんとマッキーであった。ここで笑い話のようなトラブル発生、何かというと部屋の鍵が開かないのだ。鍵は最新のカードタイプ。周りを見ると、なんとなべさん、マッキーコンビの他、女性2人も、たーちゃん、栗ちゃんコンビも悪戦苦闘していた。しばし頑張った後、やっぱり開け方が分からなかった(かなり情けないが)のでもう部屋に入っていたかとちゃん、倉さんの部屋をたたき教えてもらった。なんて事はなかった、カードは差し込んですぐに抜けば良かったのだ、それをカードを入れたまま開けようとしたのが失敗のもとであった。当初、ホテルで夕食を食べる予定であったが、機内食も取り、あまりお腹も空いていないということで中止とし、一休み後、団長(一応なべさん)の部屋に集合となった。ルームサービスで氷をもらい(氷は危ないとの基本も気にせず)、買ってきたジャックダニエルを飲みながら、勝さんのことを含め、いろいろと 語り合った。11時ちょっと前になって明日は早い(起床6:30)ということで解散とした。この後、かとちゃん、倉さん、マッキーとなべさんで外にでる事にした。

 ゆうさんが言っていたラーメン屋(もちろん、日本のラーメン屋と違ってレストランというか食堂みたいなもの)に行くことにしたのだ。ホテルから出て、それらしきお店はすぐに見つかった。中に入り、空いている席に座り、メニューを見た、当然中国語である。漢字なので何となくわかるので、それぞれみんな何にしようか考えていた。そうこうしているうちに、店員さんが注文を取りに来た。もちろん中国語であるが、向こうもこちらが日本人であることはわかっているらしく(当然である)かなり気を使っているのがわかった。それぞれラーメンらしきものを頼んで、さらにビール(チンタオ)と水餃子を頼んだ。ビールが来て、ラーメンが3つ来た。メニューと指先確認をしながら倉さん、マッキー、なべさんは自分のラーメンをとった。なべさんの頼んだラーメンは名前は忘れたが、チャーシュウのような肉のかたまりが乗っていた。麺は日本のラーメンの麺と違い、どちらかというとソーメンに近い気がした。器は日本のラーメンの器と違い、一見小ぶりに見えたが、日本そばの器のように底が深く、結構量はあった。すぐに、スープに入った水餃子とスープに入っていない水餃子(も しかしたら蒸し餃子)がきた。みんな不思議がった、かとちゃんの頼んだラーメンがこないで頼んだつもりのない蒸し餃子らしき物が来たからである。メニューをもう一度見ながら店員さんと指さし確認、原因が分かった、3人の頼んだラーメンの字には一番最後に「」の字があったのに、かとちゃんの頼んだ物にはなかったのである。かとちゃんは3人のラーメンらしきメニューの隣にある物であるから、これもそうだろうと安易に頼んだ結果であった。かとちゃんの失敗であった。そこで器だけもう一つもらうことにした、これも注文以上に店員さんとの意志の疎通ができず、かとちゃんが身振り手振りで頑張っていた(ちなみにかとちゃんは英語の先生である)。やっと器をもらい、倉さんと分け合って食べていた(何種類も入れると味が分からなくなるので)。と、そのときマッキーがぶつぶつと独り言のようにつぶやいていた。「一番メニューの字の長い(多い)のを頼んだつもりなのに隣のが来てしまった...」とマッキーらしいと思った。料金は頼んだ物がすべてきた段階で払ったのだが、やっぱり安かった(ラーメン3つ、缶ビール4つ、水餃子(12 個入り)、蒸し餃子(12個入り)で1300円ぐらいであった)。店を出て、ホテルに戻る途中にコンビニがあったので寄っていくことにした。値段を見ていると輸入物は日本と変わらない感じで、現地の人にとっては結構高いのではないかと思った。それに比べて中国製の物は安かった。ウーロン茶とポテトチップスを買った。後で飲んだときにわかったのだが、ウーロン茶にはわずかだが砂糖が入っていたことだ(日本では砂糖入りのウーロン茶にはお目にかかったことがない)。このあと、部屋に戻って風呂に入って寝た。今日はここまで...そういえば今日は写真を一枚も撮らなかったなあ...




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