【区間詳細】西大山〜西頴娃(にしえい)


B-2 西大山〜西頴娃
西大山を過ぎるとすぐに薩摩川尻駅に到着します。周囲は近年高級マンゴー栽培のハウスが目立つようになり、かつての路地栽培作物から高付加価値作物への変化が伺えます。
薩摩川尻駅を過ぎれば長い下り勾配を走行し、そうめん流しで知られる唐船峡に水源を発する川を渡る長い橋梁を渡ったところで、車窓左手から開聞岳の裾が線路脇に迫ってきて、土手に張り付いているような東開聞駅に到着します。次の開聞駅は開聞岳登山のアクセス駅となっていて、登山口へは駅東側の通りを踏切を渡って山麓公園に至ります。その途中にある指宿市開聞庁舎では観光レンタサイクルも申し込めます。またこのエリアをカバーしている路線バスの鹿児島交通は元国鉄バスの路線網で、現在も開聞駅前は周辺の路線バス網が必ず経由する拠点となっています(駅前広場はバスの転向場として使われており停留所ではなく、乗車するには国道に置かれた開聞駅前バス停を利用する必要があります)
開聞駅を出ると新旧のレールが並ぶ資材置き場の脇を抜けて、再び緩やかな下り勾配に差し掛かります。やがて南に方向を変えて国道をオーバークロスし、その直後に北に切り返すVカーブのコースを再び取りますが、これは南からの開聞岳の裾が張り出してくるのと、北からは断層崖である鬼門平(おんかどひら)が迫ってくるため、両者を避けた経路を辿るためです。この断層崖は池田湖の西岸を通り指宿市北西付近まで延びている巨大断層崖として知られています。この断層の露出した崖を右手に見ながら、海側に並行する国道よりも高い築堤上を走行しながら、土手の上に設けられた入野駅に到着します。
入野駅を出ると右手前方には断層崖に続いて矢筈岳が見えてきますが、中腹あたりに大きな岩が突き刺さっている様子が見えます。この岩は通称「西郷どん岩」と言われ、矢筈岳登山道の開聞岳方向に開けた絶好の眺望ポイントとなっていて登山者に人気の場所です。このあたりからは車窓左手の前方はるか下方に海面が見え始め、その海に向かうように下り勾配が続きます。線路は矢筈岳の裾に沿って進みますが、次第に山が海側に張り出して迫ってくるため長崎トンネルでこれを抜けます。トンネルを出ると高さのある長崎橋梁というコンクリート橋を渡るので、この時一瞬だけ海側の視界が広がります。続いて第1郡トンネルを抜けると次の第2郡トンネルまでの刹那、景勝地である瀬平公園がやはり一瞬だけ見えます。この海岸は太平洋の荒波が打ち寄せるサーフィンのメッカとして知られ、タイミングが良ければ海中の岩に波しぶきが上がる東映映画のオープニングのような光景を見ることが出来ます。第2郡トンネルを抜けると頴娃駅に到着します。
山川駅を出発して以来、ずっと駅構造は線路1本ホーム1本という簡素な駅が続きます。