【区間詳細】山川ー西大山


B-1 山川〜西大山
山川駅を出発すると急勾配を登り、崖の中腹にあいた山川トンネルに入ります。この崖を作っていが山川カルデラの噴火堆積物で、山川湾を取り囲むように生成されています。山川駅裏手の断崖絶壁や、山川駅を出ると長い上り勾配で通過する当線最長の山川トンネルもカルデラ外輪山の一部です。このトンネルは当線最長の1060mで、トンネル壁面には一定間隔で照明が灯されているため山岳路線の長大トンネルを思わせます。トンネルの枕崎方出口は畑地の中に作られた割掘になっていて、割掘から地上に出ると台地上を西に向かって進みます。

この付近は何の変哲もない平坦地に見えても海抜が60m近くあり、土地がゆるやかに海側に向かって傾斜しているので視界が開けていて、遠方に竹山などの独特の形状の山や奇岩が数多く見えるほか、やがて車窓正面に見えてくる九州電力の山川地熱発電所の冷却塔からは湯気が上がる光景も望めます。
発電所が見えなくなると一旦北向きに進路を変えてすぐに南向きに戻るVカーブとなり、そこを南進中は通常とは逆に枕崎に向かって右側車窓からも開聞岳が見えるようになります。Vカーブの理由は断層との直交を避けるためで、この迂回によって断層上に上がる高度を稼いでいるのです。このVカーブ途中に大山駅(海抜約61m)があり、駅の東側には線路資材置き場があってPC枕木などが積まれており、別の場所から交換により撤去された鋼製橋梁が置かれているも見られます。
大山駅を出ると真西に向きを戻し、さらに勾配を上ってやがて当線で最高地点となる海抜約70mに達します。高度は決して高くないものの、注目すべきはこの一帯が約5千年前の池田カルデラの噴出堆積物で出来た台地で、最大で約100mの厚さがある地層の上を走行している点で、ここからしばらく先は丘陵地帯を進みます。当線最高地点を過ぎて間もなくすると、JRの路線では最南端に位置しており半ば観光地化している西大山駅(海抜約64m)に到着します。西大山駅はよく見られる開聞岳をバックとしたポスター写真などのイメージのせいもあり、平坦な場所にあると思われがちですが、実はこのような火山地帯の一部であるため実は海抜が高く、ここから先は深い渓谷や断崖がしばしば出現し、これを長い橋梁やトンネルで越えているのです。
この区間では、これまでの「西大山駅のイメージ」を覆すほどの火山地帯特有の様々な奇岩の風景が広がり、変化に富んでいます。