■ 初めての言葉 ■


 言葉の発達が遅く、2歳半頃から療育センターに通っていた次男。先日、最後のグループ指導に行ってきた。春から幼稚園に通うこともあって、これでひとまず一区切り、様子を見ることになった。

 センターでは別に発音練習などをするわけではなく、同じように言葉の遅い同年代の子供数人で遊んだりしながら、それがきっかけ作りになれば...というような活動を行っていた。だから、通ったからと言って劇的に言葉が出てくるだとか、そういうわけではなく、Yaguなりの解釈で言うと「遊びを通して、うっかりつられてポロッと言葉が出てくれればラッキー」 (そうではないのかもしれないが、私はそれくらいの気持ちで参加していた)といったところだろうか?集団生活をする事で思いを伝える手段を考えさせるねらいも、ひょっとするとあったのかもしれない。

 当の本人、3歳2ヶ月を越えた年末あたりから突然いろいろしゃべり始めた。とは言ってもやはり母音がほとんどなのだが、カタコトが出始める前の段階、とでもいうのだろうか?2年ほど続いた指差しとYesNoによる意思表示が、突然劇的に変わったのだ。 なんというか「そうか、言葉ってもんがあるんだな。こりゃー便利だわ。」とやっと気付いたようなカンジ。頑固なまでに伝書鳩を飛ばしていた人が、やっと携帯電話の便利さに気付いて使い始めたようなカンジだ。

◇◆◇

 Yaguは次男の入園までに「No」を伝える「いや」だけは言えればと思っていたのだが、これがまた覚えるのがとても早く、そればかりか気に入らないとなんでも「いや!」または「ぃあうっ!(違う)」とイヤイヤ星人になってしまった。まぁ仕方がない。 それ以外にも「ちょうだい」「ありがとう」など、ちゃんと言えなくても友達と遊ぶ上で言えた方がいいかなぁという言葉をまず教えていこう、と思っていた。が、思うようにならないのが子育てである。 最近少し子音も出始めたのだが...

  「イェ〜イ!」
  「ぶっぶー(不正解)」
  「ポンポーン(正解・ピンポーン)」
  「ぉお〜あんふー(ポケモンのソーナンスの真似)」

などを始めとして、おそらく知らなくても生活にはなんら支障のないような、いわゆる「+α」的な言葉から、どんどん出始めている。

◇◆◇

 言葉が出始めると、上の子の小さい頃をよく思い出すようになった。こんな事があった。散歩中に蟻を見つけ「あぃ!あぃ!」と大喜び。すると近所のMくんが頭に「?」を抱えて近づいてきた。「ほら、蟻だよ。」と教えると「あぃ?」とわからないようだった。 うちの子の方が言葉が早いのかな?と思ったその時、アイスを持って外に出てきたMくんのママの姿にMくんは「ちょうだい!」とハッキリと言った。うちはそんな高等な言葉は何1つ言えなかった。その時は「そうか。うちは長男だけどMくんは同じ年でも3人兄弟の末っ子。 サバイバルに勝ち残って行かなくっちゃだからそういう言葉を先に覚えるんだな。」なんて思ったりしたのだが、その3年後の今。うちの末っ子は...あれ?

 どうやらうちの子供達は、そういう別に知らなくても困らないような言葉から覚えていくらしい。そういえば、一昨日あたり突然コケのポーズと一緒に出た「ぁうっ!(ガクッ)」もそうだ。前述の「ぶっぶー」もそれはそれは的確な使い方をしてくれて、次男の言葉の解読を間違うと「ぶっぶー」と言われた上にニヤッとされる。 その後きちんと何を言ったか教えてくれる発語能力があるわけでもなく、間違った解読をし続けて「ぶっぶー!ぶぶぶぶー!」とやられ続ける。子供の出すナゾナゾやクイズに答えられなかったのと同じ悔しさだ。ちきしょー、今度は当てて見せる!しかしコイツは本当にしゃべれないのか?と、コケにされている気さえしてくる「ぶっぶー!」なのだ。

 まぁいいだろう。1年前には想像もできなかった成長ぶりだ。入園には間に合いそうにないけれど、これからもこの調子でゆっくり楽しくやっていこうと思っている。


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