長男の年少さんの生活が終わってしまった。幼稚園に通い始め、あっという間の1年だった。入園した時に比べると、心も体もぐんと成長して、この1年、親の私もびっくりの連続だった。
終業式の日、年中さんのクラスが子供達にも伝えられた。先生から年中のクラス毎のカラー帽子が手渡され、自分が誰と同じ組になり、誰と別れてしまうのかを帽子の色でも実感したはずだ。3年保育からの年中の組は2つ。半分の友達とは違う組となる。
いろいろなドラマがあるのかしら?などとYaguは思っていたのだが、迎えに行った長男は「ほら!もも組さんになった!」と教えてくれただけだった。泣いた気配もなく「あぁ、近所の子達全員同じ組だからかなぁ〜。」などと思っていた。ところが後日、思いがけないところからその日の事を知った。
息子の通う幼稚園にはホームページがあり、そこに「掲示板」がある。そこに、長男の担任の先生からの書き込みがあった。
クラス帽子を配り終わった後、先生は自分ともこれでお別れなんだということを伝えたらしい。そしてクラスの1人1人を順番に、全員抱っこしたのだそうだ。子供達は順番を争うわけでもなく、その間みんなとにかく笑っていたのだと書いてあった。10行程の書き込みだったが、その日の様子を知るには十分だった。
やさしい素敵な先生に出会えて本当に良かった。感謝などという言葉では表現できないくらい、いろいろな気持ちでいっぱいになった。涙もろいYaguはポロポロと泣いてしまった。
◇◆◇
「今日で先生とお別れなんだよねぇ...」
終業式の朝、泣きそうな顔でそう言っていた長男。掲示板にあった、担任の先生からの書き込みを見た後に聞いてみた。
「ねぇ、いっぱい歌を歌ったの?」
「そうだよ。忘れてるのもあって大変だったんだよ。」
「先生、みんなを抱っこしてくれたの?」
「重たいよって言ったんだけど、抱っこしてくれたよ。『ホントだ、重たくなったね。』って
言ったよ。」
少し恥ずかしそうに、そう教えてくれた。でもそれ以上は何も言わず、終業式から1週間が経ったが、未だにその日の事は話題にもならない。入園時から、寂しい思いやどう言ったらよいのかわからないような複雑な気持ちを抱いていた時には、園での出来事を話さなかった。今回もそうなのだろう。
先生の名前もあの朝以来一度も出ていない。その代わりにというか、時々年中さんのクラス帽子を引っ張り出してきては、かぶったままで遊んでいる。年少の「つくし」はピンク色だったその帽子も、今度の「もも」は黄緑色。家の中でクラス帽子をかぶったその姿がとても頼もしく見えるのは、色のせいばかりではないようだ。
3歳で幼稚園に入り、この1年で長男は本当に成長した。親バカかもしれないが、本当にそう思う。出会いや別れ、歌や遊び、いろいろな経験をして、いろいろな思いをいっぱいの長男がいる。1年を振り返ってばかりのYaguとは違って、長男はこの先の年中での日々にも思いを馳せている。
年少の日々の思い出を胸に、年中のスタートまで秒読みに入っているようだ。
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