前回の「こうなっててもぞもぞ」発言に、すっかり有頂天になったYagu。そして次の日。今度は出かける車の中で聞いてみた。運転席のうしろに座っている長男には、私の顔色が直接は見えない。
ふざけておかしな方向に進みにくいのではないかという作戦だ。
「ねぇ。お腹の中の事覚えてるなんてすごいね。」
「あったりまえでしょー。覚えてるってぇ!」
と強気なので、とりあえず昨日のように話してみることにした。
「もぞもぞってしてたんだねー。」
「そうだよ、もう!そう言ったでしょ!!」
「そうだったね。」(ポイント3:しつこさを感じさせないように)
「もぞもぞしてたって、お腹の中ってかゆいの?」
「かゆくないない。何言ってんの?かゆくないよ。気持ち良いから寝ちゃうんだよ。」
なんとなく嬉しい発言だった。そうか、気持ち良い場所だったのか。そうかそうか...
「あれ?気持ち良かったのに、なんで出てきちゃったの?」
うまい!我ながら、あまりにも自然な話運びである。
「それがねぇ〜、ぼくが大きくなってきてねぇ〜...」
うんうん、うんうん...
「なんかせまくなったから出る事にしたんだよねぇ〜。」
おぉ!ホントっぽい、ホントっぽいぞ!!
「へぇ〜、どうやって出てきたの?」
この問いには少し考え込んだ長男。
「あ、思い出した。あのね、んんんんんんんんんんんって出てきたんだよ。穴から。」
...え?
穴から出てきた、と確かに言った。これは現実とあっている。自然分娩だったので、彼は確かに穴から出てきている。やはり真実なのだろうか?さらに話を続ける。動揺を悟られてはならない。長男のテンションをあげては、また話がおかしくなるからだ。
「穴から出てきたのぉ?」
「そうだよ、せっまいのよぉ。その穴からぁ、んんんんんって出たの。」
やはりそうらしい。大きくなって、せまくなったから出てきたというのもそのとおりだ。その類の話を言って聞かせたことなどないので、これはまさしく彼の記憶である。
何かの本で見た胎内記憶の話では「なんで生まれてきたの?」という問いに「パパとママに会いたかったから。」というような答えをしていた。うちの子はどうだろうか?淡い期待を胸に、そっと聞いてみた。
「ねぇ、なんで生まれてきたの?」
すると彼はなぜか憤慨してこう言った。
「電話でもいっぱい話をしてたでしょ!(また言ってる...)」
「なんで出てきたかというとぉ、葉っぱをね、たくさん集めないといけなかったの!
だっていっぱい落ちてるでしょ!!」
...は、葉っぱだとぉ?!
この頃、散歩に出ると落ちている葉っぱを持って歩くのが、長男の趣味だった。
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