■ 作戦大失敗 ■


 子供が幼稚園に入るにあたり、Yaguは密かに心に誓っていた事がある。「ひっそりと過ごそう。穏やかな毎日を送ろう。」 早い話が、また役員だのなんだの引き受けたりしないぞーと思っていたのだ。

 ところが、ふたを開けてみたらどうだろう?入園初日の入園式からクラスのバザー委員になってしまい、後日その代表者顔合わせでは、事もあろうにバザー委員の書記まで引き受けてしまった。 日陰でひっそり...どころか、日なたに飛び出て真っ黒焦げである。こんなはずではなかったのだが...

◇◆◇

 代表者顔合わせには、入園式の過ちを繰り返さぬように小道具を装備(子守りを頼めなかったので、下の子をおんぶ)して臨んだ。「これでカンペキ!誰もこんな子連れ狼に役員やれなんて言わないはず!」だったのに、なかなか決まらなくてイライラ。 で、またやってしまった。パソコンやワープロ、できる方は?の声に、ついうっかりバカ正直に手を上げてしまって書記に決定。なぜ上げた、この右手!っと思ってももう遅い。

 それでも部長、副部長などが決まらず「どうですか?もうちょっと上の方は?」と執行部の方が「こいつはちょろい。」とばかりに聞いてきた時には、かろうじて「いや、やはり経験者の方がやった方が...」とわかったようなわからんような言葉でかわす事ができた。 苦しいながらもYaguにしては上出来である。よく聞いていると皆さん断り上手だ。「委員になっただけでも私には重荷で...」「下の子にまだ手がかかりますし...(私はどうなるんだ?)」 「委員だけでもやっていけるか不安で...」どうしてそんな言葉が思いつくのだろう、と感心してしまう。私にこの言葉が言えれば...

◇◆◇

 4役決定後、やっと嫌なダンマリから解放された私に、いろいろな人が声をかけてきた。「一度断ったのに引き受けるなんてすごい。とっても活動的なんですね。」「下の子いるのにえら〜い!」 「役員初めてで書記なんて、下の子もいるのに!行動派なんですね。」などなどえらい持ち上げられようである。確かにやっている事は非常にポジティブなのだが、動機があまりにネガティブで素直に喜べない。 こんなに誉められて「いやぁ、決まったら帰れるでしょう!」なんて言えない。ガマン比べの勝者と敗者で、明暗がはっきりと別れていた。安堵の顔で部屋を去る彼女達。トホホのひきつり笑顔で見送る私。

 来年の目標。「ひっそりと暮らそう!穏やかな毎日を送ろう!」よ〜し、頑張るぞ!!


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