■ お弁当 ■


 ついに午前保育が終わり、お弁当が始まった。私にとって、自分の子供のお弁当作りというのは初めての事だ。 年少さんは嫌いな物の克服とか、栄養のバランスとかよりまず「食べるって楽しい!」が大切だ、という指示が出ているので、とりあえずは好物だらけで食べやすいお弁当を作らなくてはならない。

 作り始めて驚いたのが、弁当箱の小ささである。アルミのSSサイズのものや、タッパー形式のものは「こんなに小さいのじゃ、僕もうペコペコだよぉ〜。」と却下されたので、 子供用の弁当箱売り場の中ではまぁ標準的な大きさのものを用意したのだが、それでもやはり3歳児の弁当箱はかなり小さい。何をどう詰めたものか、考えるだけでクラクラしてきた。

 おにぎりを小さめに握った。1つ入れると、同じサイズのものはもう入らない。実に中途ハンパな大きさ。結局とても小さな1口サイズの俵おにぎりを5つ入れることになった。 ミートボールなども、入れる数より余りの方が多い。他にも少々おかずを入れて、なんとか初めてのお弁当が完成した。果たしてちゃんと食べてくれるだろうか...ちょっとドキドキ。袋に入れて、カバンに入れた。

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 幼稚園へ行く道。初めてのお弁当持参にすっかりゴキゲンの長男。「今日はお弁当なんだよね。カバンが重ったいね〜。」というので、カバンを持とうか?と声をかけると「ブッブ〜!自分で持てるよ。 こらっ、ママのお弁当じゃないでしょっ!」と何故か怒られる私。かなり調子良い。しまいには「おべんと〜、おべんと〜、おっべっんっとっうぉ〜♪」と何やら即興の歌まで飛び出した。足取りも軽やかである。 お弁当を食べるということは、いつもより離れている時間が長くなる。帰りまでこのゴキゲンが続けば良いが...

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 そしてお迎え。いつものように、うちの子は笑顔だった。先生にさようならの挨拶をしてぴょ〜んと飛び込んできた。「今日も泣かなかったよ!」「お弁当は?」「ぜぇ〜んぶ食〜べま〜したぁ〜。」 おぉっ!パーフェクト!なんかとても感激してしまった。お弁当。大変だけど、なかなか楽しいかも。明日も頑張って作るぞっ。よし、明日は大好きなきゅうりの浅漬けを、もう1つ増やしてやるとしよう。


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