風のささやき

唇で柔くはさんださくら貝流れし日々に失せし潮の香

砂浜の桜貝を拾って
唇に軽く挟んでも
冷たい感触だけが残ります

桜貝の暮らしていた
海の温度も
潮風の香りも
漂っては来ません

亡骸だけの貝殻は
まるで自分を見るようです
忘れることで軽くなって
色合いをなくし

その分、気持ちが
楽にもなるのですが

このところ
忘れることに
一生懸命な自分がいて

忘れて行く楽に
安住していていいのだろうかと
省みることもあります

色を失ってゆく貝殻を口にして。#2017 夏に

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