Flash とは?

Macromadia社から、Flash というソフトウェアが発売されるまでは、個人でアニメーションを制作し、その作品を世界に向けて発信するというのは夢のまた夢でした。
それまでのアニメーションといえば、大勢のスタッフが原画・動画や美術などの役割分担をし、原画を元にセル画を描き、セルの裏面から着色し、完成したセル画を背景のイラストと重ね合わせ、大変高価な機材で一枚一枚撮影し… 時間と手間とお金がとてもとても掛かるものでした。
現在でもテレビアニメや劇場アニメ、OVAなどは、そのような技術が主流だと思いますが、もちろん手間暇かかっているだけあって、クオリティーは驚くほど高いですよね。
つまり、一人である程度のクオリティーを保ちつつ、10分ぐらいのアニメーションを制作するという事は、当時はどうあがいても物理的に不可能だったのです。
ところが時代の流れは速いもので、旧マクロメディア社(現:アドビシステムズ)から、アニメーションを制作するためのソフト『Flash』が発売されるやいなや、あっという間に世界中に広がりました。
Flash は、パソコンが随時計算することにより絵の動きを制御するモーショントゥイーンや、ベクターデータを採用することにより、より少ない枚数の絵(データサイズ)で、なめらかな動きのアニメーションを作ることができます。
また、絵の動きをパソコンに計算させるとは言っても、特に難しいプログラミングが必要な訳ではなく、マウスやタブレットで描いたり動かしたりと、直感的に作業ができ、自分の思いを形にする事が容易に出来るような、使いやすいインターフェースを採用しています。
これにより、アニメ大国である日本はもとより、個人でアニメを作りたいと願いつつ悶々としていた世界中のクリエイター達がニャーと鳴いたのです。

今では Flashアニメーションを見るためのプラグインである『フラッシュプレイヤー』はほとんどのパソコンに標準でインストールされています。
これは、すでにインターネットとFlash が、切っても切れない関係にあるということだと思います。
では、数人でがんばって手描きアニメーションを制作したとして、以前はどのような形で発表していたのでしょうか?
そうです!自分たちで見て楽しむぐらいしかなかったのです。たぶん。
テレビでの放送枠を獲得するなどという事は、ほとんど無理だったのではないかと思います。
数年前まではテレビ放送の価値が非常に高く、メディアのほとんどを支配しているといってもいいぐらいでした。これもたぶん。
ところが、Flash が世界中に広がっていくのと同時に、インターネットなるものが、さらにすごいスピードで世界中に張り巡らされていき、テレビに迫る勢いで急速にメディアとして確立されていきました。
インターネットが広まったからこそ Flash も広まったと言った方が正しいでしょう。
このインターネットの世界こそが、Flashアニメーションに限らず、さまざまなクリエイティブ作品の発表の場として、より重要なものになっていきました。
とにかく、一人でもがんばればアニメーションを作ることができる夢のソフト『Flash』と、良い作品を作れば世界のどこかで誰かが絶賛してくれる、『インターネット』という作品発表の場が出来た事で、クリエイター達の夢は広がってきましたし、これからも無限に広がっていくと思います。

現在の『Flash』はアニメーションだけにとどまらず、Flash 内で使用できるアクションスクリプトというプログラミング言語の発達で、多彩な動的コンテンツを作る事が可能となり、よりインタラクティブ性の高いものへと発展し続けています。
一例としては、オンラインゲームや CGI を利用したフォーム、動画や音楽の読み込み・再生をするためのプレーヤー等です。
ホームページ自体を全面 FLASH で制作することも可能で、一部の大手企業やデザイン重視のサイトではよく見かける光景ですが、好みの分かれる所でもあります。
個人的には、工夫してすばやい読み込みや快適な動作が出来るようであれば、全画面 Flash でも特に問題は無いのではないかと思います。
また、Flash は単にイラストを作成するための描画ツール (ドローソフト) としてもかなりの性能を備えています。
例えば Photoshop ばりの『レイヤー機能』を使えば、イラストを描く際に他の部分に影響されることなく、ある一部分に集中して描くといった事も出来ますし、もちろん円形・線形の2種類のグラデーションやアルファチャンネルによる半透明なイラストも描画できます。
そしてなにより一番の魅力は画像のデータに、ベクター形式を採用していることです。
このベクター形式の採用により、Flash で描いた絵はデータサイズが軽く、どれだけ拡大・縮小・回転などを繰り返しても画質が劣化することなく、いつまでも美しいままです。

このように、WEB上でのクリエイティブ&多彩な表現が可能なソフトとして、今最も熱い『FLASH』ですが、やはりそれなりに高価なソフトです。
購入できる場所としては、ヨドバシカメラ等全国の家電量販店や、アドビのオンラインストア等です。
ただ私としては、手元に製品の CD がないと落ち着かない方なので、オンラインにてダウンロードで購入するのはどうかと…
また、専門書や雑誌に、30日間の無料トライアル版の CD が付いているものもありますので、どんな感じの使い心地なのか試してみるのもいいかもしれませんね。

さて、『FLASH』の魅力をお伝えしてきましたが、まだまだこれぐらいですべてを書ききれるものではありません。
がんばって描いたイラストが、自分の思いのままに動かせると思うとワクワクしませんか?ドキドキしませんか?ウシシシ、ケケケケと笑いたくなりませんか?
フォトショップなどで描いたビットマップ形式のデータを取り込んで、アニメの背景にし、動きのあるキャラクターなどはベクターデータで作るなど、日本のアニメーションらしい表現も簡単に(素材作りは大変ですが)出来ます。
また、ヨーロッパ風の切り絵を使ったアニメーションや、粘土を使ったクレイアニメなども自由自在に作る事が出来ます。
さぁ、皆さんも Flashアニメーション制作の世界へ来ませんか?Let's Try!


※追記(2015年8月20日)
サイトの更新をすっかり忘れてしまい、かなりの月日が経ってしまいました。
いや、忘れていたという言い方では、更新する意志はあったんだけど…というニュアンスになってしまいますね。
正確には、「ただ面倒になって放置していただけなのであーる」というのが紛れも無い事実です。

サイトを開設した当時、Flash はリッチコンテンツなどと呼ばれてモテはやされていたのですが、2015年の現在では、少々事情が変わってきています。
というのも、パソコンを購入すると、Flash Player が標準でインストールされていたのも今は昔。
スマートフォンやタブレットPCでは、セキュリティ上の問題や、バッテリーの消費を抑えるという理由から、Flash Player をサポートしていないものがほとんどです。
パソコン向けの各インターネットブラウザーも、標準ではサポートしない方針だったりと、ここ数年で、Flash Player は完全に嫌われ者と化してしまいました。

ネット上で「Flash オワコン」「Flash フルボッコ」などと言われると、Flash を愛する身としては、心にグサリと来ます。
ただし、これらの言葉には少々勘違いも含まれます。
問題があるのは、ブラウザー上のプラグインである『Flash Player』であって、アニメーションを制作するソフトウェアとしての『Flash』ではありません。
Flash はブラウザー上で動くアニメしか作ることができないわけではなく、最終的な表示方法に応じて、さまざまなタイプのムービーファイルを書き出すことができます。
例えば…

といった感じです。
ブラウザー上で遊べるゲームのように、双方向性のあるインタラクティブコンテンツを制作するには、リアルタイムにレンダリングを行なえる機能を備えた、swf形式で書き出す必要があります。
上記の中で Flash Player 上で動くのは swf形式のみで、この場合は最初に書いたように、セキュリティやバッテリーの問題が絡んでくるので注意が必要というわけですね。

テレビアニメーションなどのように、双方向性の無いアニメーション作品ということであれば、用途に合わせて最適な書き出しをすれば良いだけです。
むしろ、純粋なアニメーション作品であれば、ムービーファイルとして書き出すのが現在では自然なことで、それこそ swf形式の出番はありません。
例え Flash Player が無くなったとしても、アニメーション作家にとっては全く問題無いということになります。

そんな時代の中にあって、久しぶりにサイトを更新してみようと思ったのは、やはり Flash がアニメーション制作ツールとして、いかに優れているかということを再度確認するためです。
別に誰かにそれを伝えようというわけではなく、自分自身が納得できればそれで OK! なのです。
気まぐれでサイトを制作して、気まぐれで更新をサボって、気まぐれで更新を再開して、おそらく近いうちに、また気まぐれでサイトの更新をしなくなるはずですが、Flash でのアニメーション制作に興味のある方は、しばらくお付き合いください。

今回は、更新のために新たに解説用の flaファイルを制作する時間は無いので、過去の個人的な制作物などの中から、使えそうな部分を切り出したりして、解説用の flaファイルへと流用してみることとしました。
注意事項としては、2015年の更新分からは、解説用の flaファイルが、『Flash CS5』以降のバージョンでしか開くことができなくなっています。
これは時代の流れとともに、私の制作環境も変化しているためです。
今回は過去のファイルの中身にも手を加えようと思ったのですが、一度でも再編集をすると、保存形式が最新のものになってしまい、もうマクロメディア時代の Flash ではファイルを開くことができなくなってしまいます。
そのため、過去の flaファイルに関しては、一切手を加えることなく、当時の状態のままにしています。
新旧のファイルで作り方に統一感が無かったり、だんだん手抜きになってくるかもしれませんが、それもオチャメなやつだと思って許してください。

繰り返しになりますが、誰かに何かを伝えるつもりはなく、自分自身が納得できるかどうかというだけなので、基本的にユーザーのことは一切考えていません!キリッ
ただ、ひとつだけ多くの人達に伝えたいことは、アニメーション制作ツールとしての『Flash』がすばらしいことは紛れも無い事実だということです。