ムービーファイルで出力しよう

書き出せるムービーファイルの種類

これも時代の流れでしょうか…モバイル端末が普及した現在では、純粋なアニメーション作品(インタラクティブ性の無いもの)を、swfファイルで出力するメリットは無くなりました。
理由は、スマートフォンやタブレットPCで、Flashplayer をサポートしないのが流行っているということが大きいです。
それともうひとつ、回線速度の高速化で、ムービーファイルでもサクサクと再生できるようになったことも要因です。
そんな背景もあって、アニメーション作品はムービーファイルとして出力することが時代のスタンダードです。

ムービーファイルといっても、その種類はいくつもあります。
Flash の場合は、直接出力できるファイル形式としては、avi と mov の2種類から選択できます。
一昔前までは、Windows 向けの avi、MAC 向けの mov などと言われていましたが、現在ではどちらがどちらに最適だとか、ほとんど関係ありません。
過去に画質を比較した結果から、個人的には mov で出力するようにしていますが、編集ソフトとの相性や、単なる好みなどで選んで良いと思います。

ムービーファイルの活用方法

ムービーファイルとして書き出した動画は、メディアプレーヤーなどでローカル再生できるのはもちろんですが、他にもいろいろな再生方法があります。
例えば…

モニターがあって、ムービーファイルの再生に対応している環境であれば、どこでもアニメーションを再生できるということになります。

また、avi も mov も、アルファチャンネルを維持することができます。
つまり、ムービーの背景を透明の状態で出力できるので、アニメーション素材として他の作品の一部に利用することもできます。
例えば、他のムービーの前面にレイヤーとして配置することで、実写とアニメが合成された映像を簡単に制作できたり、AR(拡張現実)のアプリの中で動くアニメーションなどにも利用できます。

ムービーで書き出す場合の編集方法

ムービーファイルを制作するうえで最も注意する点は、オブジェクトをシンボルとして登録する際、『グラフィック』しか使えないことです。
細かい動きを、シンボルの中で入れ子の状態で作ろうと思えば、通常は『グラフィック』と『ムービークリップ』のどちらでも使用できます。
ところが『ムービークリップ』の中でアニメーションをさせた場合、メインのタイムライン上では、最初の1フレーム目のイラストが静止した状態で見えてしまいます。
swfファイルの場合は、『ムービークリップ』の中のアニメーションも、問題無く読み込んで再生してくれるのですが、ムービーファイルとして出力する場合はそうならないというわけです。
ムービーファイルの書き出しでは、メインのタイムライン上で再生される映像を、そのままフレーム順に読み込んでいくので、イラストが静止した状態に見える『ムービークリップ』では使い物になりません。
もちろんアクションスクリプトも全て無視されてしまうので、タイムラインをコントロールしようとする試みも無駄に終わります。
入れ子の状態で細かな動きのアニメーションを作る場合は、『グラフィック』シンボルで登録することを忘れないようにしましょう。

ムービーファイルの書き出し方法

ムービーファイルの書き出しは、メニューバーの『ファイル』→『書き出し』→『ムービーの書き出し』の順にクリックします。
次に、表示されるダイアログボックスで、ファイルの種類を『Windows AVI(.avi)』か『Quick Time(.mov)』を選択すれば OK! です。
swfファイルなどのように、『パブリッシュ設定』からの書き出しは行なえないので注意が必要です。
書き出しのオプション設定ができるダイアログボックスが表示されたら、ムービーの画面サイズ、ビデオ形式、サウンド形式を設定します。
例えば他のムービーの素材として書き出す場合は、背景を透明にするために、ビデオ形式を『32ビットカラー(アルファチャンネル)』にして、サウンド形式を『無効』にするなど、必要に応じて変更します。
ここでひとつ残念なのは、ムービーの画面サイズを、編集中のオリジナルのものより大きなサイズで書き出した場合、画質が劣化してぼやけた感じになってしまうということです。
つまり、書き出しの際にサイズ変更(例えばオリジナルより大きなサイズに)した場合は、一旦オリジナルのサイズで書き出した後に、リサイズされる仕組みのようです。
せっかくのベクターデータのメリット(拡大・縮小しても画質が劣化しない)が、ここでは活かされないということで、ちょっと残念です。
もしも、最初に制作した画面サイズよりも大きな画面サイズにしたい(高画質のまま)場合は、もともとのステージサイズから変更することになります。
ちょっと面倒に思えるかもしれませんが、作画を最初からやり直すことを考えれば、比較的簡単に画面サイズを高画質のまま大きくすることができるので、さすが Flash といったところです。

以上が、ムービーファイル制作の注意点と書き出し方法になります。
さらに必要に応じてファイル形式を変換するのであれば、『Adobe Media Encoder』などを使用することになるのですが、それはまた別のコーナーで解説することにします。

ムービーファイルでの出力は、現状では swfファイルよりは未来があると思うので、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。