写真を切り抜こう

写真の切り抜きとは

Flash では、画像ファイルを加工することもできます。
例えば、『写真の切り抜き』です。
写真の切り抜きができれば、写真の中から特定の部分だけを切り抜いて、イラストやアニメーションの素材として使用することができます。
ベクターデータを得意とする Flash なだけに、写真の切り抜きができるというのは、ちょっとうれしい機能だと言えます。
とは言っても、さすがに Photoshop のように、画像ファイルの加工に特化しているソフトウェアではないので、切り抜く範囲を自動検出したり、アウトラインのぼかし具合を自由に調整したりということはできません。
最も美しい仕上がりを目指すのであれば、Photoshop で切り抜いた画像を、、背景を透過させたpng形式で保存して、それを素材として Flash に読み込むのがベストです。
ただし、いろいろな事情により、Flash だけで作業を完結させる必要がある場合には、十分役に立つ機能です。

写真の切り抜き例

まずは、具体的にどのような切り抜きができるのかを、サンプルを例に見てみましょう。

普通に背景と共に撮影した自動車の写真から、自動車部分だけを切り抜いてみました。
ここでは、背景が無くなっていることを確認しやすくするためにアニメーションさせていますが、もちろん静止画の一部としても使用できます。
Flash で描いたイラストはフラットな表現になりがちですが、写真素材を使えることで表現の幅も広がりそうです。

写真を切り抜く準備をする

写真を切り抜くには、まずは画像の『分解』をするところからはじまります。
『分解』コマンドは、オブジェクトなどを選択状態の時に、メニューバーの『修正』→『分解』から実行できます。
通常のグループ化されたオブジェクトの場合は、『分解』をすることで、個々のオブジェクトがグループ解除された状態となり、さらに『分解』を繰り返すと、最終的にはこれ以上分解できない状態(選択したときに網掛けになる状態)になります。
シンボルの場合も同じく、『分解』することでシンボルが解除され、最終的には網掛け状態になります。
テキストの場合は、1度目の『分解』をすると、テキストブロックが個々の文字に分割され、さらに2度目の『分解』をすると、完全に分解されて図形と同じ扱いとなり、網掛け状態になります。
テキストでの注意点としては、1度目の『分解』では、まだテキスト属性は失われていないため、テキストツールで文字の修正が可能ですが、2度目の『分解』をすると、完全に図形となって、テキスト属性が失われるという点です。

いずれにしても、オブジェクトやテキストを『分解』することで、最終的には『選択した時に網掛けになる状態』にすることができます。
網掛け状態になると、形を自由に歪ませたり、オブジェクト同士を重ね合わせて型抜きできたり、消しゴムツールで自由な範囲を削除できたりと、グラフィックに関する自由度が増し、表現の幅が広がるというメリットがあります。
もちろんこの特徴は、画像にも適用されます。
画像を分解して網掛け状態にすることで、『写真の切り抜き』などができるようになるというわけです。

写真の切り抜き方法

写真を切り抜くには、読み込んだ画像ファイルをステージ上に配置して、選択状態にしておきます。
その後、メニューバーの『修正』→『分解』コマンドを実行すれば、写真が分解されて網掛け状態になります。
網掛け状態になると、形を自由に歪ませたり、オブジェクト同士を重ね合わせて型抜きできたり、消しゴムツールで自由な範囲を削除できたりと、グラフィックに関する自由度が増すので、あとは煮るなり焼くなり好きなようにしてください。
写真を切り抜く場合は、『消しゴムツール』を使って、必要無い部分をせっせと消していけば OK! です。
サンプルファイルの場合は、自動車の背景部分を消しゴムツールでひたすら消していきました。
消しゴム作業は、ペンタブレットがあるとスムーズなラインどりがしやすいので便利ですが、マウスでも手をプルプルさせながらがんばれば問題ありません。

繰り返しになりますが、切り抜いた写真素材が使えると、イラストやアニメーションの表現の幅が広がるので、おもしろいことがいろいろできるようになります。
例えば、ハウルの城の動きのように、ヨーロッパ調の切り絵風アニメーションなんかもお手軽に作ることができるかもしれません。
これはもう、やるっきゃナイト!